ヤフー、リユースで新境地〜ヤフオク!が喝采を受ける理由

石郷“145”マナブ

ヤフオク!とクラウドファンディングの融合で笑顔を!

 クラウドファンディングとオークションを合わせたら……、そんな取り組みで、実は、大いなる喝采を受けるヤフーの取り組みを知っているだろうか。一言言いたい、そう言って、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)の会議室に集まったのは、同社が運営する「ヤフオク!」萱畑 洋平氏を筆頭にする「reU funding(リユー ファンディング)」の企画スタッフ達だ。

 正直、僕の中で、オークションはともすれば、“お買い得な個人間の商取引”という感じで、「安さ」重視という印象もなくはなかった。だが、萱畑さんらと話をして、ハッとしたことがある。それは、価値に相応した価格がつくのが本来、オークションであり、だからこそ、彼らは、出品された商品一つ一つの“価値”の大事さを伝えることに重きを置いた企画を出していこう、という想いに溢れていた。「環境省によれば、国内で4割の人しかリユースしていないという現実があり、だから、リユースの推進をし、それを一つの文化にしていきたいというのが、ヤフーの思いなのです」と萱畑さんは言う。

 まさに、今回集結したこのメンバーは、その想いの延長線上にある。「reU funding(リユー ファンディング)」は、冒頭にも書いたとおり、クラウドファウンディングとオークションをあわせた、全く新しい形で様々な価値を提供するプロジェクトだ。

 まず誰かが夢や想いを提案し、その実現のためには、資金が必要だとして、自ら持っている大切な品物をオークションにかけ、資金を集める。それだけにとどまらない。もし、その夢や想いに賛同したいという人が現れたら、その人たちもまた、自らの自宅などに眠る大切な品をオークションにかけ、それでその動きに協力をするのだ。当然、そのオークションにかけたその品物に興味を抱いて欲しいと思った人たちは、そこでお金を支払う意思を見せ、楽札されたところで、集まったお金は、最初に提案した人のその夢や想いに当てられるというわけだ。

 いわゆるクラウドファンディングでお金を集めて夢を実現するという発想に、ヤフオク!が持つオークションを組み合わせたのがこの企画なのだ。

ヤフー「reU funding」に倉木麻衣も賛同!物への想いが世界を救う!

ヤフー「reU funding」に倉木麻衣も賛同!物への想いが世界を救う!

 どんなものがあるのだろうか。すると、先日スタートしたばかりの、歌手 倉木麻衣さんのプロジェクトを紹介してくれた。ことの背景は、倉木麻衣さんが2014年3月、カンボジアの村に生まれて初めて訪問して、そこに小学校がないことに気がついたことにある。どんなに子供たちが勉強をしたいと思っても、子どもたちは学ぶことができない。学びの場を建てたい、それが彼女が見つけた夢だった。

 寺子屋の必要性を感じ、2016年の寺子屋完成に向けて、たくさんの人たちに支援を募って、既に資金の協力が得られていたが、彼女の想いは、そこにとどまることなく、例えば、その寺子屋の運営など、もっと長期的な視点で支援ができるようにと考えた結果、今回、この「reU funding(リユー ファンディング)」に参加する決意を見せた。「reU funding」に参加し、集めたお金で、もっともっとカンボジアの子供達に夢を与えたいと思ったのだった。

 具体的に説明しよう。「reU funding」では、まず第一に、倉木麻衣さんが、倉木麻衣手作りコースター(12/17現在価格:51,000円)など、プロジェクトの実行者自らが出品をする。そこで集められた資金を元に、カンボジアの学びの場の支援するために、だ。ただ、先ほど、説明したとおり、その支援するための資金については、倉木麻衣さんのオークションでの売り上げ以外にもあるのが、「reU funding」のポイントでもある。

 この倉木麻衣さんの想いに共感した人各々が自分の家に眠っているものを“出品”し、また、誰かがその大切にされたものを“落札”ことで、お金を集め、その倉木さんの想いに賛同し、共に夢を実現させる当事者になるということになる。

ものを大事に、人への想いを大事に、共に夢を叶える同志達

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 つまり、こうすることで、倉木麻衣さんがカンボジアの子どもたちを支援するという行動に共感した人の輪は、出品し、落札したりする、その行動の中で広がり、より大きな動きを生んで、支援の内容も大きくなっていく。それぞれの行動が誰かの力になる。実際、倉木麻衣さんの目標金額は100万円だったところが、既に95万円弱(12/18時点)で集まっている。

 自分たちの大切にした想いのこもった商品が、誰かの手に渡ることで新たな価値を生む。その価値によって得られた資金は、やがて、誰かの笑顔となる。とりたてて敷居の高い話ではない。一人一人の心にある誰かを思いやる気持ちと手元にある大切な品物。必要なのはただそれだけだ。ものへの想いが、人への想いにつながる、それもECと言えるかわからないが、インターネットを通して。だから、そんなヤフーの想いをリスペクトしつつ、僕はこの動きが少しでも広がることを切に祈るのだ。

企画・構成 石郷“145” マナブ


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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