手づくりを愛す。「Creema」でフード販売可能に

利根川 舞

これまで、アクセサリーから家具まで幅広い商品を取り扱ってきたハンドメイドマーケットプレイス「Creema」。「フード」カテゴリが追加され、手づくりにこだわったフードを販売できるようになる。

 作活動に取り組む全国のクリエイターと、生活者が、オンライン上で作品を直接売買できるハンドメイドマーケットプレイス「Creema」。その、「Creema」に手作り食品を販売する「フード」カテゴリが新設された。

「Creema」の「フード」カテゴリには、手づくりにこだわったクッキーやケーキなどの焼き菓子、パンや調味料などを出品することができ、生活者は作り手から直接購入することができる。リリース時で、約100店舗、1,000店以上の食品が出品されている。

このサービスの特徴は3つ。まず、丁寧な手づくりにこだわったおいしさだ。職人やパティシエが営む個店をはじめとする中小規模の店舗による、大量製造ではない、丁寧な手づくりのフードが出品されている。天然酵母のパンや無添加のジャム、オーガニックの紅茶など、食材・味・製法にもこだわりがある商品ばかりとなっている。

2つ目は日本各地の食品を作り手から、直接買える楽しさだ。日本各地の手づくりフードをWEBやアプリで作り手から直接購入できるため、新たな食との出会いが広がる。フードの出品は事前審査制となり、営業許可証が必須であるため、個人間の売買でも安心して購入することができる。

3つ目には、作り手に直接オーダーメイド可能なクッキーや、ギフトセットも豊富に取り揃えられている。誕生日や結婚式などの特別な日や、母の日などの贈り物にも最適だ。

創作者たちの新しい場所「Creema」

創作者たちの新しい場所「Creema」

 「Creema」は株式会社クリーマ(以下「クリーマ社」)が運営。現在、全国5万人を超えるクリエイターが手掛けた220万点ものオリジナル作品が出品されており、日本及びアジア最大級のハンドメイドマーケットプレイスに成長している。「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで巨大な新しい経済圏を確立する」ことを目指し、2010 年にサービスを開始した。

モノがあふれる世の中において、ようやく「本質的な良いもの」が見直されてきた。近年の「ファストフード」や「ファストファッション」に代表される、「ファスト」なサービスを経験した今、こだわりのある丁寧なものづくり、作り手の物語に触れられるものへの共感がますます高まっている。

EC事業者が”本当にいいもの”を消費者に届けたいという思いがあるように、ハンドメイドの世界には、作品も食品も、「手づくりを愛しこだわっているものづくり」という共通の価値観がある。そして、クリーマが主催する「ハンドメイドインジャパンフェス」などの大規模なクラフトイベントにおいても、手づくりフードを求める人は多いという。そのような中で、「フード」カテゴリの新設に至ったそうだ。

「Creema」が、大切にしている「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで巨大な新しい経済圏を確立する」ということ。

EC業界も、この考えから学び取れることがあるように思う。誰もが取り組みやすいこともあり、ECサイトは今、溢れかえってしまっている。そうなると、必要なのが差別化だ。それこそ「Creema」が言うように、ECでも”フェアで巨大な新しい経済圏を確立”することができれば、そんな問題などたやすく解決できるのかもしれない。

それが、夢物語だと言われてしまえば、そこで終わりなのだが、やってみなければわからないこともある。

急激に成長してきたEC業界であるが、より良い商品やサービスを提供するために整備や改善していかなけばならない部分は多い。ありものを安さで勝負するのではなく、ハンドメイドの作品さながらに、自らオリジナリティー溢れる商品なり、店のブランディングをすることで、”フェアで巨大な新しい経済圏を確立”することが、これからのEC業界に必要なことなのではないか。「Creema」の取り組みを応援しながらも、EC業界の可能性に満ち溢れた未来を思うのである。


記者プロフィール

利根川 舞

メディア編集部
ロックを聴きつつ平安時代に思いを馳せる文学人間。タイムマシンができたら平安時代に行きたいです。
ライブハウスやフェス会場に出没しては、笑って、泣いて、叫ぶ姿が目撃されている。ACIDMANや10-FEET、ROTTENGRAFFTYが大好き。

サービスやその場の雰囲気がイメージしやすくなるような記事を書いていきたいと思います。

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