「父の日特集」に見る楽天•ヤフー等のモール戦略とは?
2016年の父の日がいつなのか、ご存知だろうか?
母の日に比べて世間一般的におざなりにされがちではあるのだが、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon.co.jp、ポンパレモール、DeNAショッピングの5大モールでは特集が組まれている。そこから今後のEC業界のトレンドを読みといていこうと思う(2ページ目には各モールの特徴をまとめた比較表も有)。
ちなみに、2016年の父の日は6月19日。お忘れなく!
目利きが厳選!楽天の『「ロク充」にする鉄板ギフト60選』
今年の楽天市場では、定番ギフトであるお酒やファッションに加え、名入れができたりとこだわりのある商品も掲載されている。また、通常の人気ランキングだけでなく、口コミ(レビュー)での人気ランキングや予算別、送料の有無などでもギフトを探すことができ、消費者にとって選ぶ基準が多数用意されている。
また、楽天市場では「お父さんを『ロク充』にする鉄板ギフト60選」という企画を実施。料理やアウトドア、音楽やお酒など、そのうちのプロ達がキュレーションした厳選ギフトを掲載している。
「選ぶのが大変だけれど、いいものを贈りたい!」という方はこちらの企画や特選ショップリストから選ぶこともできる。
Yahoo!の父の日は「すごい父の日」
Yahoo!ショッピングでは「すごい父の日2016」と銘打ち、1,500人のお父さんに実施した調査をもとに「2016年のお父さんが欲しいもの BEST10!」というコンテンツや「★4つ以上高レビューギフト」などから商品を探すことができるよになっている。
Yahoo!ショッピングで特徴的なものは、「地ビール特集」や「ロマンスの日×父の日」だろうか。このロマンスの日というのは、日本ロマンチスト協会が制定したもので、真実の愛の象徴である「青」に最愛というメッセージを込め”何かひとつ青いもの”を送る日だそうだ。そこでYahoo!ショッピングでは青いパッケージのお酒やアパレル商品、日常雑貨などから厳選して掲載している。
父の日のプレゼント選びもAmazonでスマートに
Amazonでは定番商品であるグルメギフト、お酒ギフトなどに加えてサントリーによる特選商品も掲載。
また、マガジンハウスが発行するライフスタイル情報誌「BRUTUS」との特別企画で小説家の朝井リョウさんをはじめとする著名人がセレクトした商品も掲載。セレクトした商品に対する思いや、お父さんとのエピソードが語られている。
他にも、Amazonソムリエが厳選したワインも掲載。Amazon.co.jpオンラインストアで、ワインの専門家から電話で個別にアドバイスを受けられる「Amazon ソムリエ サービス」を提供しているAmazonだからこその企画ともいえる。
そして、何と言ってもAmazonプライム会員ならば、「お急ぎ便」で当日でも荷物を受け取ることができる(対象外商品も有)のは大きいだろう。
ポンパレモールは「父の日プレゼント診断」で簡単セレクト
ポンパレモールでは、定番商品に加え、「お父さんのタイプから選ぶ 父の日プレゼント診断」から商品を選ぶことができるようになっている。いくつかの質問がフローチャートとなっており、お父さんのタイプにピッタリなジャンル、そして商品が掲載されている。
また、ポンパレモールと「じゃらんゴルフ」でのキャンペーンも開催されており、ポンパレモールで使えるクーポンだけでなく、じゃらんゴルフで使えるポイントのプレゼントなども行われいる。
そして、じゃらんゴルフのキャンペーンだけでなく期間限定で、5,000円以上の商品購入で500円OFF、3,000円以上の商品購入で300円OFFのクーポンが”早割”として準備されている商品も。配布期間は6月5日までとなっている。
サイトのデザインにもおなじみのキャラクター、ポンタ多様されているが、リクルートポイントが貯まり、そのポイントが“Ponta”ポイントに交換できるのはユーザーにとっても嬉しい。
次のページはDeNAショッピングの父の日戦略!
そして、各モールから見るこれからのトレンドとは?
DeNAは「お父さんのせつないホンネ」を参考にプレゼント選び
DeNAショッピングでは、定番の商品はもちろんのこと、他のモールとは異なり、「仕事関連」というジャンルも用意されている。楽天市場の企画が60オーバーのお父さんたちが趣味を楽しむことを目的にしているのに対して、こちらではまだまだ現役で仕事を楽しむお父さんへのプレゼントもフォーカスしている。
これも、DeNAショッピングのユーザーに30〜40代のファミリー層に加えて、スマートフォンやタブレットに慣れている若い層が多数存在するからと考えることもできるだろう。
また、「お父さんのせつないホンネ」という父の日に関するアンケート結果や父の日のエピソードなどが掲載されており、プレゼントを選ぶ際の参考となる。
そしてDeNAショッピングではau決済も可能なため、モバイルで完結するのもDeNAだからこそと言える。
今の時代はやはり”キュレーション”
こうして比較してみると各モール、それぞれの特性を生かし、それぞれのユーザー層を捉えた企画を行っていることがわかる。例えば、先にも述べたがDeNAショッピングではユーザーに若い層が多いため、仕事を頑張るお父さんへのプレゼントカテゴリも作成されている。その一方で、楽天市場のメイン層は比較的年齢が高いため、その父親となればすでに仕事を引退している方が多く、今年の企画が「ロク充」なのも頷ける。
また、商品の差別化が必要なのは、独自ドメインやモール出店者だけの問題ではなく、モール自体の問題ともなってくる。それには、商品をただ並べるのではなく、1つのコンテンツとして集め直すことで、新たな商品の見せ方を提案しているのである。商品の見せ方を変えることで、消費者にとっても商品が新鮮に映るため、購入につながる可能性もある。
同じく楽天とDeNAの話となってしまうのだが、楽天市場ではキュレーションメディアの「ROOM」というものがあるし、DeNAは女性向けのキュレーションメディア「MERY」を運営している株式会社ペロリを買収している。
他にも、キュレーションではないのだが、Amazonやヤフーは女性向けの美容情報を掲載するメディアを持っており、ポンパレモールを運営しているリクルートライフスタイルもいうまでもなく、ホットペッパーなどの情報を”集めている”媒体を持っている。
情報が溢れている現代だからこそ、”メディア”とまではいかないものの、「キュレーション(インターネット上の情報を収集しまとめる)」という考え方はますます一般的になり、多くのコンテンツに活用されていくのではないだろうか。