広告の「価格」表記に要注意!通販広告実態調査(JADMA調べ)

福島 れい

事例で確認!広告の適正表示

 商品の魅力を伝え、購入を促す”広告”。商品をよりよく見せるため、各社が様々な工夫を凝らしている。その一方で、誇張表現や誤認表示など適切とは言い難い広告が存在するのも事実だ。今回は、公益社団法人 日本通信販売協会(以下、JADMA)が行った「通信販売取引改善のための通販広告実態調査」から、適切な広告表現について考えてみたい。今回の調査でJADMAは、新聞折り込みチラシとテレビ通販広告を対象に、「消費者の立場に立ち、消費者の不利益にならないか、誤認によるトラブルの可能性がないか」という視点で問題点を挙げている。

 まず、調査結果の中から、不適切表記がされている広告の事例を見てみよう。
 こちらのおせち料理の早期受注の広告。基本事項がコンパクトに記載されているように見えるが、1つ大きな問題がある。どこかお分かりだろうか?

 問題があるのは、”販売価格”の部分だ。税表示がないため販売価格が税込みであるのか、税抜価格であるのか分からない。また、支払い方法の記載も必要だ。消費税や支払方法などの記載は特商法に定められており、遵守しなければならない。

 続いてはこちらのオールインワンクリームの広告をご覧いただきたい。「先着100名限定の半額キャンペーン」の告知になっている。

 一見、問題がなさそうに見えるこの広告だが、ショップサイトを訪れると50g/5,121円(税込)の商品のみで広告掲載商品が見当たらず、通常価格は存在しないこととなり、二重価格の信憑性が疑われるのだ。キャンペーン商品であるならば、容量換算3,579円(税込)相当という表示が好ましい。

2015年度通販広告実態調査の結果

 上記で取り上げた2つの事例を踏まえつつ、今回の調査結果の特徴を以下にまとめる。

適正な記載がなされていた項目
・「価格」
・「消費税」
・「送料」
・「返品特約」などの基本的な記載

問題点
・通常価格が存在しないと思われる事例が見られた。(「限定価格」「二重価格」「お試し価格」などに対して該当商品が存在しない)
・「おひとりさま1回限り初回限定購入」と記載がありながら、複数回購入できるケースが見られた。
・「支払い時期」の記載がされていない。
・「社名」の記載が適切でなく屋号のみが表示されている。
・会社の所在地が明瞭でない。


 集客の要となる広告だからこそ、できる限りインパクトのある、商品の魅力を引き出す記載をしたくなるものだが、過剰な表現や、記載漏れが原因となる消費者とのトラブルが発生しているのも事実だ。法令を遵守するのは勿論のこと、消費者に誤解を与えることのない、信頼のおける広告表現を心がけることは、商品を提供する店舗の責任と言えるのではないだろうか。

 不適切な広告表現によって獲得した消費者が、1度目の購入後、本当に満足出来るだろうか。思っていたものと違う、誠意のない広告を打ち出す店舗を信頼できないなどと、次回の購入を控える可能性も十分に考えられる。そうなれば、次々と新規のお客様を獲得するため、不適切な広告を繰り返すということになってしまうだろう。

 そうではなく、誠実な広告表現で獲得したお客様に、次回も購入してもらえるよう丁寧な接客をしリピーターになってもらうよう事業を行うことこそが、売上の伸長、店舗の成長に繋がっていくのではないだろうか。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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