ECの要「配送」へ、佐川急便が贈る環境配慮

福島 れい

持続的な成長に向け、環境に優しい取り組みを!

EC業界が盛り上がりを見せ、流通する商品が増える一方で問題となっていることがある。それは「配送」に関してだ。配達時に受け取り主が不在であることが原因で発生する再配達は国を挙げて解決するべく問題となっているし、配送を担う人員も不足していると話題になっている。EC業界が今後も安定した成長を続けていくには、安定した「配送業」が実現することが必須条件とも言える。

今回は佐川急便株式会社(以下、佐川急便)より、配送における環境配慮の話題が届いているのでお伝えしたい。佐川急便の3つの拠点「TOKYO SERVICE CENTER」、「祇園佐川急便」、「京都(麩屋町)営業所」において、新たに環境省の「カーボン・ニュートラル認証」を取得したという。これにより、カーボン・ニュートラル認証の対象となる拠点は計6か所となった。

「カーボン・ニュートラル認証」とは世界的に課題となっている地球温暖化への取組として、環境省が2012年に5月に開始した「カーボン・オフセット制度」に基づいて認定されるものである。温室効果ガス(CO2)の排出削減努力を促進することを目的としており、「カーボン・ニュートラル認証」を受けることは、事業活動から排出される温室効果ガス排出総量の全部を他の場所での排出削減・吸収量でオフセット(埋め合わせ)できていると認められていることを意味する。

佐川急便では、対象となる事業所での温室効果ガス(CO2)排出量を算出し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、佐川林業株式会社が創出したオフセット・クレジット(J‐VER)でオフセット(埋め合わせ)することで、カーボン・ニュートラルを実現しており、今回、6拠点でのカーボン・ニュートラル認証(番号CN004‐01認証有効期間 2016年3月21日~2019年3月20日)取得となった。

佐川がグループで挑む、環境配慮とは?

オフセット・クレジット(J‐VER)とは、環境省による「カーボン・オフセットに用いられるVER(Verified Emission Reduction)の認証基準に関する検討会」におけるオフセット・クレジット(J‐VER)制度に基づいて発行される、国内における自主的な温室効果ガス排出削減・吸収プロジェクトから生じた排出削減・吸収量。つまり、佐川急便の6拠点において削減しきれなかった温室効果ガスの排出量に、佐川林業の事業で生じた排出削減・吸収量を充てることでカーボン・ニュートラル、計算上の温室効果ガスの排出なしを実現したという。

今後も佐川急便では、環境にやさしい環境対応車の導入、台車や自転車で集荷・配達するサービスセンターの展開など、事業活動における環境負荷の低減に取り組むとともに、カーボン・オフセット制度の活用により、事業所のCO2排出量をゼロにするなど、事業活動全体における環境負荷低減に積極的に取り組んでいくという。

今回の佐川急便における環境配慮の話題から思い浮かぶのは、「エコ配」だ。エコ配は自転車を主な配送手段とすることで、CO2の排出量を削減、業界平均の約70%まで抑えている。並行して、集荷エリアの特価や荷物サイズの標準化などにより、低価格を実現していることで支持を得ている。

荷物を移動させるという行為において、温室効果ガス(CO2)の排出は現状のところ避けれらない。だからといってなんの配慮もしなくてよいというわけでもないのだ。配送業界、そしてEC業界が成長するにおいて荷物の流通量は必ず増加する。その時生じる課題に対して、各企業がしっかり対策を講じ、成長を持続させていくこと、そのための配慮が求められているのではないだろうか。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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