ヤマトHDが取り組む社会貢献、連携し地方に光を
ヤマトが取り組む”CSV(共通価値の創造)”に迫る
ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸より岡山県、秋田県と連携し事業を行っていくとの発表があった。ここで、脚光を浴びているのは、CSVという言葉だ。『え?CSV?』と思われた方に、説明しよう。
”CSV(共通価値の創造)”とは、”企業の事業を活かし、戦略的に社会貢献しよう”という経営学者マイケル・E・ポーターが提唱する考え方だ。ただ、我々がよく耳にするのは”CSR(企業の社会的責任)”かもしれない。CSRとは何が違うのだろう?
”CSR(企業の社会的責任)”とは事業によって社会に与えた影響を自社で対処しようという意図で、寄付や環境対策、法令順守などを行うものだ。その結果、事業から得る利益とは別物という捉えられる傾向が強く、取り組みに限界を感じる企業も少なくなかった。
一方で、”CSV(共通価値の創造)”とは、社会の課題解決と、事業による利益追求を同時に実現しようという考え方だ。実際の取り組みとしては、事業を行う地域において、社会貢献をしつつ、自社の事業基盤を強化するようなものになる。そう、これがヤマトが言う”CSV”の中身だ。
実際にヤマト運輸が取り組む”CSV(共通価値の創造)”を見てみよう。今回発表のあった秋田県との「県産品の国内外への販路拡大に向けた連携協定」は、秋田県とヤマト運輸、 ANA Cargoが連携して名産品「あきたこまち」の国内外への配送を強化、販路を拡大するというものだ。その結果、秋田県の活性化という社会貢献と、ヤマト運輸・ANA Cargoの事業拡大という利益追求のための取り組みが並行して実現している。これが、”CSV(共通価値の創造)”の具体例と言える。これにより、ヤマト運輸は社会貢献のためだけに資源を割く必要がないので、負担なく社会貢献ができるというわけだ。
ヤマトホールディングスはこのような地方自治体と連携した”CSV(共通価値の創造)”に以前から取り組んでおり、「お客様のために」「人のために」というヤマトホールディングスが掲げる想いを実践している。今年度(平成27年度)にヤマトホールディングスが地方自治体と連携した取り組みをまとめてみる。
上記の表から分かるようにホールディングスは様々な地方自治体と連携し取り組みを進めている。これらの取り組みがヤマトホールディングスの事業の発展に一役買っているという面ももちろんあるのだが、それ以上に各地方自治体が受ける恩恵は大きいように思う。高齢者への配慮や名産品の販促、災害対策などは必ず対応しなればならない事業だ。しかし、それらを地方自治体だけで賄うには課題が多いのが現実。この問題に積極的に取り組むヤマトホールディングス姿勢は、多くのユーザーから支持を集めるのではないだろうか。
この記事を書きながら思ったことがある。ヤマト運輸は、日本で初めて全国に物流網を整えた企業だ。誰もが手軽に日本中に荷物を届けられるようになったということ、そのものも”CSV(共通価値の創造)”に値するのではないだろうか。自社の事業が社会に、お客様にどんな影響を与えるのか、しっかり考えていきたい、そんな風に思った。