熊本県震源の地震、今、ここから、ECにできること(4/19更新)

ECのミカタ編集部

2016年4月14日、熊本県を震源とする最大震度7の地震が発生し、その後も大きな余震が続いている。災害時は情報が錯綜し、特にインターネットは、誤った情報も拡散されがちだが、一方で頼りになる面が多くあるというのも事実。そこで、被災地の方に役立つであろう情報を提供すると共に、今回の地震でインターネット、中でもEC関連企業がどのような働きをしているのかをまとめてみた(情報随時更新中)。この記事が、今、そしてこれから、ECサイトができることを考えるきっかけになれば幸いだ。

災害時の安否確認は電話以外を

 災害時には、被災地への電話が集中し、つながりにくくなりがちだ。そうなると、緊急の電話もつながらないという事態が発生する恐れがある。そうならないためにも、災害時の安否確認方法として、「災害用伝言ダイヤル(171)」「災害用ブロードバンド伝言板 (web171)」「災害用伝言板」「災害用伝言サービス」などのサービスが提供されている。それぞれのサービスの紹介は以下の通り(総務省「災害発生時の安否確認における「災害用伝言サービス」の活用」参照)。この他、メールやSNSなどの連絡方法も、災害時に比較的利用しやすいと言われる。

●災害用伝言ダイヤル(171):NTT(東西)が提供。「171」にかけると、ガイダンスに従って、被災地の電話番号宛に安否情報(伝言)を音声で録音(登録)し、全国からその音声を再生(確認)することができる。

●災害用ブロードバンド伝言板(web171):NTT(東西)が提供。災害用伝言ダイヤルのウェブ版。被災地の電話番号宛に文字・動画・静止画・音声を登録し、全国からその音声等を確認することができる。

●災害用伝言板:災害時に携帯各社が提供。NTTドコモ・ソフトバンク・auの3社ともに昨日より開設されている。被災地から伝言を文字によって登録し、全国からその伝言を確認することができる。利用は、各社の対応アプリ他、各社公式サイトトップ画面の案内より。

●災害用伝言サービス:災害時に携帯各社が提供。被災地からの伝言を音声で登録し、全国からその音声を登録できる。利用は、各社の対応アプリ他、各社公式サイトトップ画面の案内より。

商品発送時に注意、宅配各社の遅延

 今回の地震を受けて、ヤマト運輸・日本郵便・佐川急便など、宅配各社において九州地方発着の宅配便に停止・遅延が生じている。遅延状況については各社のホームページにて随時更新されている。4月19日10時半時点で各社ホームページで案内されている状況は以下の通り(随時更新予定)。Twitterでヤマト運輸を名乗る偽アカウントが現れるなどもあったようなので(削除要請済の模様)、情報確認の際は必ず公式サイトを確認するようにしてほしい。

●ヤマト運輸
・熊本県への荷物の荷受および熊本県全域での集荷と店頭荷受中止
・宮崎県、鹿児島県にて荷物のお届け遅延
※その他地域にても遅延が発生する可能性あり。

●佐川急便
・熊本県上益城群、菊池群(菊陽町)、阿蘇市、阿蘇郡にて集荷・配達不能
※その他地域では再開
・熊本県全域(上記エリアを除く)、大分県、宮崎県、鹿児島県にて集荷・配達遅延

●日本郵便
・熊本県上益城群、阿蘇市、阿蘇郡にて一時引受停止
※他の地域ではゆうパック引受再開
・九州地方にて郵便物、ゆうパックお届けに遅延

 EC店舗においては、発送元が九州地方である場合、また九州地方のお客様への注文品お届けに影響が出ることが考えられる。単純に遅れが出るというだけでなく、九州在住のお客様、九州に家族や友人、知人がいる方々は、落ち着かない時間を過ごしているはずだ。遅延の対応を行う際には、その点も心に留めて連絡などを行うことができれば、単に商品の売買ではない、お客様にとっての力になれるだろう。

楽天、ヤフーで募金の受付を開始

 楽天では「楽天クラッチ募金」、Yahoo!Japanにおいては「Yahoo!基金」による「熊本地震災害緊急支援募金」が開始された。楽天クラッチ募金では、「楽天銀行」による銀行送金、電子マネー「楽天Edy」、「楽天スーパーポイント」、「クレジットカード」による募金方法を選ぶことができる。Yahoo!基金の募金は、「Yahoo!ウォレット」もしくは「Tポイント」を使用することができる。また、Yahoo!基金の募金では、ヤフーが寄付金額と同額を出すことにより寄付金が2倍になる「マッチング募金」を行い、開始間もなく目標額の2,000万円に達している。(通常の寄付金は引き続き受付中)

 こういった素早い対応は、インターネットを利用する強みだろう。特にEC各社は決済や配送の仕組みを既に持っているため、募金や支援物資などもすぐに対応することができる。また、Yahoo!のマッチング募金が既に目標額に達していることからも、消費者側に「何か力になりたい」という想いが強く存在することが分かる。こういった想いにすぐに応えることは、ECがただモノを売るだけでない、社会のインフラとして価値を発揮できる部分であるはずだ。

 今後、被害の現状が明らかになってくるにつれ、被災地で必要とされるモノやコトは変化していく。その過程で、EC事業者がそれぞれに力を発揮できる場面が必ずあるはずだ。


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