ゆうパックで骨を送る?驚きの新しい供養の形

利根川 舞

記者の論点:先月上旬に「お坊さん便」が話題となったばかりではあるが、この「送骨」システムも仏教界に衝撃を与えそうだ。

誰でも簡単に梱包送骨できる「送骨」システム登場

 NPO法人グッドライフ(以下「グッドライフ」)は、大利根霊園(千葉県野田市)と、永代供養付総額3万円からの“樹木葬合葬墓「菩提」・「慈悲観音」”を共同企画した。そして今回、この活動を全国的に展開するために、誰でも簡単に梱包送骨できる「送骨」システムを導入するという。

3月の上旬に、株式会社みんれび(以下「みんれび社」)の「お坊さん便」が世間を賑わせたばかりであるが、今回のこの取り組みも仏教界で話題になりそうな予感がする。

遺骨を寺院・霊園等に持参せず「ゆうパック」で郵送・納骨する「送骨」という葬送方式は、時代の流れに応じ、自然発生してきたものと言える。特に少子高齢化・非婚化の影響で、誰にも看取られず亡くなる「孤独死」が社会問題となっており、グッドライフでは、そのような場合にも対応し、活動を広げるため「送骨」システムを導入するという。

法律上、「送骨」は禁止されておらず、送られてくる遺骨は、墓地埋葬法上の許可を受けた永代供養墓に納骨されることがほとんどで、違法性もない。

今回新たに導入される「送骨」システムでは、「手順書」に従って、誰でも簡単に梱包「送骨」できるようになっているという。まず、ホームページから申込書をダウンロードもしくは郵送し、必要事項を記入の上、必要書類とともに送付する。後日ゆうパックの着払いで「送骨」パックが送付され、同封されている手順写真に従って郵送するだけだ。着払い代金には、墓地使用料その他事務手数料の一切が含まれており、すべてそこで回収する仕組みとなっている。

「誰でも等しく供養されること」を目指して

 葬送方式の変化の著しい現代において、遺骨を郵送することに、抵抗を感じる人も少なくない。世の中には、不幸にも「引き取り手のないお骨」が多く存在する。グッドライフの理想とするところは「誰でも等しく供養されること」であって、そのようなお骨をできる限り引き取り、供養することを目的にこの度「送骨」システムを導入するに至ったそうだ。

「送骨」システムでは、グッドライフが家族に代わって、骨葬を行うこともできる。骨葬とは、焼骨を安置して行う葬儀方式を指す。通常の葬儀では(1)通夜、(2)葬儀・告別式、(3)出棺、(4)火葬の順だが、骨葬では、先に火葬を行い焼骨にしてから葬儀を行う。

最近増えている直葬(火葬を行うだけの葬送方式)では、葬儀を行行わない。そのため、火葬に立ち会えなかった方々とその後様々なトラブルに発展するケースもあるようだ。このような場合にも、骨葬を行うことで別れの場を提供し、区切りをつけることができるのだ。

「ゆうパック」で送骨ができる、と言われても一瞬、頭に”?”が浮かぶ人もいるのではないだろうか。また、かなりの衝撃を受けるだろう。しかし、この「ゆうパック」での送骨システムやみんれび社の「お坊さん便」は時代に即しているサービスであることは間違いない。

インフラの整備や時代の変化に伴って、EC通販業界が変化してきたように、仏教界においても変化が求められているのだろう。ところが、歴史を知り、文化を重んじてきた人々にとって、急激な変化は受け付けにくいものだ。どちらかが正しいのか、決着をつけるのも難しいのならば、お互いが歩み寄って行くしかないだろう。その思いやりこそが、消費者の利便性や幸せにつながっていくのではないだろうか。


記者プロフィール

利根川 舞

メディア編集部
ロックを聴きつつ平安時代に思いを馳せる文学人間。タイムマシンができたら平安時代に行きたいです。
ライブハウスやフェス会場に出没しては、笑って、泣いて、叫ぶ姿が目撃されている。ACIDMANや10-FEET、ROTTENGRAFFTYが大好き。

サービスやその場の雰囲気がイメージしやすくなるような記事を書いていきたいと思います。

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