モール内の商品トレンドや競合状況を分析・把握して、戦略的なEC運営を。
多くのショップがしのぎを削るECの世界では、市場のトレンドや競合ショップの動向をどれだけ的確に把握できるのかが、極めて重要なキー・ファクターとなる。しかし、中小・中堅のECショップが独自にそうしたマーケット情報を収集・分析するのは容易ではない。そこで注目したいのが、株式会社アドウェイズ(以下、アドウェイズ)が展開する、日本EC市場の購買データ分析ツール『Nint(ニント)』だ。同社の西尾 宗哲氏に『Nint』について伺った。
中国のEC市場で培ったノウハウをベースに、日本市場に上陸した『Nint』
中国のEC市場が、日本のEC市場に比べて圧倒的なマーケットボリュームを持っていることは、EC関係者なら誰でも知っていることである。
アドウェイズの『Nint』は、その中国EC市場で誕生したEC市場の購買データ分析ツールである。
『Nint』には、ECショップ向けのサービスである『Nint for ECommerce』と、メーカー・小売企業向けの『Nint for Research』、中国市場への進出を考える企業向けの『Nint for China』の3種類のサービスがある。
楽天、Yahooショッピングなどへ出店している方々が成功を目指すのであれば「Nint for ECommerce」のデータが有益だ。
「そもそも中国のECショッピングモールでは、公開されている情報が多く、どんな商品がどれだけ売れているか、というデータすらオープンにされています。しかし、オープンにされているとはいっても、商品点数もショップの数も膨大ですから、それらのデータを収集・分析することは誰にでもできるというものではありません。『Nint』ではそうした膨大なデータをクロール技術を用いて収集し、分析して顧客に提供しています。その仕組みとノウハウをベースに日本のEC市場向けに開発されたのが日本版『Nint』です。」と西尾氏は開発の経緯を説明する。『Nint』が日本に上陸したのは2014年で、現在までの累計で400を超えるショップが導入しているそうだ。
様々なマーケティングデータを、たった2日のタイムラグでスピーディに提供
『Nint』によって提供されるデータは多種多様だ。商品単位の時系列での販売状況や、カテゴリー単位の販売状況などの販売推計データはもとより、競合するECショップの販売推計データも提供される。さらには、競合他社が当該モール内で、どのようなプロモーション施策を実施したのか、どんなメールマガジンを発行したのか、といった分析データも提供される。
「商品単位、ショップ単位での売れ筋状況はもとより、ライバルショップが、どういう値下げをしたのか、どのようなポイント施策を展開したのか、というプロモーション施策の状況についても把握・分析して情報提供しています。」と西尾氏は言う。
「競合の状況が見えていないと、自社で、ある商品が2倍売れたと喜びますが、もし他社が5倍売っているとしたら。必ずしも2倍売れたからといって喜んではいられません。むしろ、市場のシェアを他社に奪われている可能性があるかわけですから、危機感をもつべき状況だということになります」。確かに、自社の売れ筋だけを指標にしていたのでは、マーケットのトレンドを的確に把握しているとは言い難いし、競争優位性を高めることもできない。
「よく例えば話として使うのですが、『Nint』を利用していないショップ様は、目隠ししてボクシングの試合をしているようなものです。『Nint』を活用しているショップ様はしっかりと両目を使って状況を把握して戦っているわけですから、どちらに勝ち目があるのかは明らかです。」と西尾氏。
しかも『Nint』では、提供される分析データのタイムラグはわずかに2日だという。ある月の15日の販売データが17日には確認できるのである。時々刻々トレンドが変化するEC市場にあって、これほどのスピーディさで重要なデータにアクセスできるのはうれしい限りだ。
見えにくいトレンドさえも、見える化してしまう『Nint』の強み
ECの世界では、思わぬ商品が思わぬタイミングで売れる、ということが多々ある。
「例えば、Tシャツという商品ひとつを取り上げても、リアル店舗では5月くらいから売れ行きが伸び始めますが、モールなどでは3月くらいから伸び始めたりします。『Nint』のデータは、月単位、年単位での売上推移データなども提供されるので、競合他社に先んじて、特定商品の販売を強化する、といったことも可能になります。また、こうした売れ行き情報を把握できるということは、適切な仕入管理にも有効だということです。」と、西尾氏はECシッョプの在庫管理・仕入管理にも『Nint』が有効であることを説明する。
自社の販売実績データだけを見ていても、市場全体のトレンドを把握することはできない。そうした見えにくいトレンドさえも、“見える化”してしまう『Nint』は、実に心強い武器だといえるのではないだろうか。
“ビッグデータ”の重要性が叫ばれるようになって久しいが、一部の大手を除けば、それを真に有効活用できるECショップは決して多くはない。しかし『Nint』があれば、状況は一変するかもしれない。