心地よい購入体験がリピートを呼ぶ、行動分析で見えたCVRアップ法
ECと実店舗での販売は、同じ小売業として比較されることが多いが、中でも最も大きな違いは、ユーザーの行動を把握できるか否かにある。ユーザーの行動のほとんど全てを把握できるECサイトにおいては、その優位性を存分に発揮し、ユーザーが心地よく購入できる仕組みを整えることが、リピーターを生み、さらには売上伸長につながっていくのだ。
今回取材したのは、リアルタイムにユーザーを分析し、適切なタイミングでオファーを送ることでCVRを向上させるWEB接客ツール「Fanplayr」。アメリカからFanplayr CEO Simon Yencken氏とCOO Derek Adelman氏、JAMU株式会社 CEOの上田 英明氏をお招きし、データを活用した行動分析について伺った。
ボッコーニ大学との共同研究でわかったユーザーの行動
まずは、ECサイト上のユーザーの行動からどんなことがわかるのか。Simon Yencken氏は、1年間かけてイタリアのボッコーニ大学(ミラノ)と共同研究したユーザーの行動分析の結果より、ECサイトにおけるユーザーの購買行動の特徴を説明してくれた。調査対象となっているのは、ヨーロッパで1年間にFanplayrに訪れた、抽出した一部の2,200万セッションのデータだ。
大きな特徴として、2015年に比べて商品ページの閲覧数は増加しているものの、各ショップのCVRが下がっていることがある。2014年の第1四半期には、商品ページの閲覧数は1セッションにつき2.09ページだったのに対し、2015年の第1四半期には1セッションあたり2.28ページと増加傾向にある。一方CVRは、2014年第1四半期の2.54%から、2015年第1四半期の2.32%に減少。同時にカートへの追加率も8.31%から7.39%に減少している。
また、興味深い結果として、ユーザーがECサイトに訪れた際の入り口となったページが、CVRに影響を与えているということが明らかになっている。入り口となったページが「ブログ」だった場合、CVRは0%に近い数字になっているが、「商品ページ」だった場合には約1.3%となり、サイトの平均値を上回る数字となっているのだ。
続いて、滞在時間とCVの関係について。ECサイト全体の売上の86%が、平均滞在時間を上回ったユーザーから購入されており、長く滞在するユーザーほど、購入する可能性が高いということが明らかになっている。
行動分析を顧客とのエンゲージメントへ
では、ユーザーの行動分析をどのように購買につなげるか。それは、心地良い購入体験から生まれるエンゲージメントに鍵がある。Fanplayrは、リアルタイムにユーザーの行動を分析、その結果オファーが必要だと判断したユーザーにのみ、メッセージやクーポンなどを提示する仕組みだ。すると、求めていた情報やクーポンを利用でき、ECサイトに対して好印象を持つ。そして、良い印象を持ったECサイトにはまた訪れ、また購入してくれるという良いサイクルが生まれるのだ。
Fanplayrが特徴的なのは、行動分析の結果、「クーポンをほとんど提示しない」という選択だ。これは純粋に、すでに購入を決めているユーザーであればクーポンがなくとも購入するからという理由に加え、ECサイトに利益を出してもらうためでもある。誰彼構わずクーポンを出すという行為は、利益率の低下にもなりかねない危険な行為であり、行動分析の結果、本当にプッシュが必要な人にだけ、クーポンを出すというのが適切なアプローチなのだ。
そんなFanplayrが掲げる3つのコンセプトがある。1つ目は、ECサイトの売上や利益を伸ばすこと。2つ目は、サイトの訪問者に対し、有益な経験を提供すること。3つ目は、ECサイトとその顧客の間で良い関係を構築し、ECサイトのロイヤリティを高めること。つまりユーザー分析に基づくアクションを軸に、心地よいユーザー体験を作り、リピーターを生むのがFanplayrの役割ということだ。
ユーザーの行動データは手元にあるとしても、それを分析し、分析結果を反映したアクションを実施するのは、そう簡単にできることではない。ECサイトだからこそできるユーザーの行動分析をしっかり活かし、売上アップにつなげたいという方は、FanplayrのWEB接客ツールを活用してみてはいかがだろうか。