これからはカスタマーサポートが花形職業に。企業のファンはCSが作る
顧客からの問い合わせやクレームなどに対応する「カスタマーサポート(CS)」。顧客満足度を高めて売上拡大につなげる「攻め」の役割と、クレームなどを適切に処理して損失を防ぐ「守り」の役目を担う重要な業務だ。ただ、仕事の内容が属人的になりやすく、業務の均質化や効率化に苦労する企業も多い。質の高いCSを実現し、かつ、業務の生産性を上げるにはどうすればよいのか。
その答えを求めて、今回、1,700社以上が使っているCSサポートツール「Re:lation」を提供する株式会社インゲージの片貝恵氏と、プログラミングオンライン講座「CodeCamp」を手掛けるコードキャンプ株式会社でCSチームリーダーを務める藤本大輔氏による対談を実施。理想のCSの在り方や、「Re:lation」を活用してCSの質と効率を高める方法などをテーマにディスカッションした。
カスタマーサポートは、すべての企業にとって必要不可欠な業務
−−今回の対談では、質の高いCSを実現する方法や、ツールを活用してCSの生産性向上などを図る方法について、深掘りしていきたいと思います。まずは、そもそもCSに求められる役割とはどのようなものか教えてください。
コードキャンプ株式会社 カスタマーサポート チームリーダー 藤本大輔氏(以下、藤本):私が考えるCSの役割とは、自分たちのサービスや商品の良さを、より多くの人に理解してもらうこと。そして、コミュニケーションを通じて顧客の問題解決を図ることです。
お客さまに対して、どういった手段で、どのような伝え方をすれば、自分たちの商品やサービスの良さを理解していただけるのか。あるいは、お客さまの課題を解決できるのか。それを考え、実践するのがCSの役割だと思います。
−−コードキャンプさんは、どのようにCSに取り組んでいるのでしょうか。
藤本:弊社はプログラミングのオンライン講座「CodeCamp」を運営しており、受講生は約2万人、講師として登録しているプログラマーやエンジニアは常時約200人います。ですから、受講生と講師の両方から寄せられる問い合わせに、主にメールやチャットで対応しています。CS担当部署は現在3人体制です。
弊社はカスタマーサポートを充実させることが、受講生やエンジニアの方々から弊社が選ばれるための差別化要因の1つになると考えており、CSには非常に力を入れています。
−−CSの仕事は属人的になりやすく、業務の均質化が難しいことや、評価を定量化しにくいことなどが課題だと言われます。
藤本:おっしゃる通りです。そういった課題を解決するには、対応マニュアルを整備したり、専用ツールを使って業務フローや対応履歴を可視化したりすることが欠かせません。
私自身、コールセンターベンダーや事業会社で15年以上、CSに携わってきました。そこで実感したことは、マニュアルや専用ツールがないと、CSの生産性が落ちますし、なにより顧客対応の漏れなどが発生し、顧客満足度の低下を招いてしまう。CSをおろそかにすれば、中長期的にブランドを毀損し、企業の業績を下げることにもなるでしょう。
CSの仕事は商品開発や営業などと同じように、企業にとって欠かせない業務であると認識すべきです。そして、できれば創業当初から、CSの人やシステムにある程度の投資を行うことも必要だというのが私の考えです。
CSツールは機能に加え、使いやすいUIであることが重要
−−コードキャンプさんは、CSの品質や生産性を高めるために、インゲージさんが提供しているCSツール「Re:lation」を活用しているそうですね。
藤本: 2017年から「Re:lation」を使っています。
「Re:lation」を使うことで、毎日寄せられる問い合わせに対して、抜け漏れなく対応し、「社内の誰が、どのように対応し、どのような結果になったか」を管理できています。また、CSチームの日々の業務を可視化したり、CSの効果を定量的に評価したりする上でも「Re:lation」は役立っていますよ。
−−「Re:lation」はサービス開始から約4年で1,700社以上の導入実績があるそうですね。EC業界でも近年、注目を集めているツールの1つです。「Re:lation」の具体的な機能について、片貝さんから説明していただけますか?
株式会社インゲージ カスタマーサクセス部 片貝恵氏(以下、片貝):「Re:lation」は、メールや電話、LINE、SNS、問い合わせフォームなど、さまざまなチャネルから寄せられる問い合わせやクレームなどを、1つの管理画面で一元管理するツールです。
顧客ごとの対応履歴をタイムラインで表示するので、対応履歴を遡るのも簡単。CS担当者ごとに対応履歴を表示する機能もありますので、担当者の業務量を定量的に評価することにも役立ちます。
クラウド型のサービスなのでインストールの手間なしに常に最新バージョンが使えます。未対応・対応済みだけでなく、現在誰が対応しているのかどうかもわかるので対応漏れや重複連絡などを防ぐことができます。
藤本:「Re:lation」は、CS担当者が欲しい機能が、一通りそろっているんですよ。しかも、細部まで目が行き届いたUIがすばらしい。現場目線で、痒いところに手が届く機能とUIだと思います。
例えば、顧客ごとの対応履歴をタイムライン形式で遡れますし、顧客ごとの対応ステータスは一目で分かる。また、問い合わせへの回答文をCS担当者が作成し、その文章を上司が添削や承認を行う場合、添削前と添削後の文章が1つの画面上に二分割で表示されるので添削や確認を行いやすい。
とても細かいことなのですが、CSの現場をよく分かっているなと感じますね。
片貝:そうおっしゃっていただけると、とても光栄です。
CSの質を高めたり、生産性を上げたりするには、機能はもちろん大事ですが、なにより使いやすいUIでなくてはいけません。機能と使いやすさのために、日々改善しています。
週1回のアップデート、人工知能(AI)を活用した新機能も
藤本:「Re:lation」はものすごい頻度でアップデートしていますよね。平均すると週1回ぐらいアップデートしているんじゃないですか?
片貝:そうなんです。昨年は80回アップデートをリリースしました。平均すると週1回以上になりますね。お客様のビジネス環境の進化と共にCSに求められる機能は刻々と変化します。アップデートの回数は、私たちインゲージがお客様に「向き合う」ことのひとつの現れと思っています。
−−藤本さんの目から見て、「Re:lation」の機能の中で特に優れていると感じるものはありますか?
藤本:例えば、有料オプションではありますが、PCメールを受信拒否にしているユーザーに対して、携帯電話キャリアのメールサーバーからメールを送信できる機能は、とても便利だと思います。PCメールが届かないお客さまは一定の割合でいますから、特に小売系の企業では、重宝するのではないでしょうか。
−−問い合わせに対する回答マニュアルを、人工知能(AI)が推奨する機能が最近実装されたそうですね。
片貝:これ、すごいんです。独自開発のAIエンジンが、受信メールと返信用定型文の関係を自動で学習します。学習がたまると、今度は受信メールを元にAIがオススメ回答を表示するようになるんです。しかもライトプランから無料でお使いいただけます。
※現在は有償オプションでのご提供になります。
藤本:多くの企業は、頻繁に寄せられる問い合わせへの回答文をテンプレートとして管理していると思います。でも、テンプレートは、どんどん増えていくので、数百種類になってしまうこともある。
CS担当者は、そのテンプレートの中から適切な回答を選ぶわけですが、経験が浅いスタッフは選ぶだけでも時間がかかります。そういった課題をテクノロジーで解決するアプローチは、CSの質と生産性を向上するという目的に照らして、期待したい機能ですね。
「Re:lation」でCSの品質向上や業務効率化が実現
−−藤本さんにうかがいたいのですが、コードキャンプさんが「Re:lation」を導入したのは、どのような経緯だったのでしょうか?
藤本:私は2016年にコードキャンプのCS担当として入社しました。入社後、CSの体制を見直した際に、ツールの入れ替えも行いました。
入社した当時、すでにコードキャンプはCSに力を入れていましたが、さらにCSを強化するために、業務の可視化やマニュアル化の推進、CS部門におけるKPIの導入などを進める必要がありました。
そのためにいくつかのCSツールを検討する中で、「Re:lation」の無料トライアルを利用したところ、他のツールと比べてとても使いやすいと感じました。先ほどもお話ししたように、とにかくUIが優れているし、機能も豊富です。
また、導入時の開発は不要で、機能を使いこなすためのトレーニングも必要ない。こうした導入のしやすさもポイントでした。
正直、高額な海外製のCSツールにも引けを取らない機能が、「Re:lation」なら月額12,800円から、スタンダードプランでも29,800円で使えてしまうんですよ。CSのシステムを個別開発したい企業であれば別ですが、CSツールで迷ったら「Re:lation」を導入しておけば、間違いないと思いますよ。
あまり褒めてばかりだと、まるでインゲージさんの回し者みたいですが、CSに長年携わってきた者として、本心からお薦めできるツールです。
−−コードキャンプさんは「Re:lation」を導入したことで、どんなメリットがありましたか?
藤本:まず、問い合わせごとに「社内の誰が、いつ、どのような対応を実施したか」が可視化されるようになったので、案件ごとに最後まで、しっかり対応できる体制が整いました。解決した後に結果の振り返りも行えるので、CSのさらなる品質向上につながっていることは間違いありません。
また、「Re:lation」にはレポート機能が備わっていて、問い合わせの件数や内容、スタッフの稼働実績などを可視化できるようになりました。CSの質や生産性を上げるには、まずはCS業務の現状や実態を把握することが欠かせません。こうした点でも「Re:lation」は、弊社のCSを下支えしてくれています。
業務効率化で空いたリソースを使いCSの質を高めるべき
−−CSの質が上がったのはもちろんのこと、業務効率化によって人件費の削減にもつながっていますか?
藤本:1つ1つの案件における業務効率が上がったという意味では、人件費の削減にも効果があると思います。ただし、ここで強調しておきたいことは、CSを効率化する目的は、単なる人件費の削減ではないということです。
業務を効率化する目的は、スタッフのリソースに余裕を持たせて、より質の高いサポートを提供することだと、私は考えています。既存の業務量を10%減らせたのであれば、その10%分のリソースを使って、どのような価値をお客さまに提供できるのか。それを考えるべきだと思うんです。
CSはコストセンターと捉えられることも多いですが、お客さまと直接関わる部署であり、取り組み次第では会社の売り上げに貢献することだってできるはず。もちろんコスト削減の視点は大切ですが、その後に何をすれば会社にとってメリットが生まれるかを考えることが、CS部署のあるべき姿ではないでしょうか。
CS担当者が交流し、情報交換や切磋琢磨できる「ユーザー会」を開催
−−藤本さんは個人活動として、CS担当者が集まるコミュニティ「CS HACK」の運営を行なっているほか、CSの重要性を啓発する「カスタマーサポート エバンジェリスト」としても活動されていますね。今後、どのような活動を続けていくのでしょうか?
藤本:私は、CSが「格好いい仕事」と言われるようにしたいんです。CSが会社の花形と言われるようになって、新卒の希望職種のNo.1にしたいという思いがあります。また、CSはコストセンターと見なされることも多いので、そういった価値観も変えていきたい。CSの仕事はすごく価値があり、素晴らしい仕事だということを、さまざまな場所で発信していきたいです。
−−インゲージさんは今後、「Re:lation」をどのように改善していく計画があるのでしょうか。
片貝:大きな方向性としては、企業と消費者のコミュニケーションのチャネルが増えていく中で、マルチチャネル対応を一層進めていく計画です。また、モバイルアプリの開発も進めています。
機能のアップデートも引き続きどんどん行っていきますし、利便性を高めるためのUIの改善も続けていきます。
−−「Re:lation 」の提供を通じて、今後どのような価値を提供していくのか、展望をお聞かせください。
片貝:「藤本さんがおっしゃる「CSを格好いい仕事にしたい」という言葉に私たちインゲージは大変共感しています。Re:lationでこのことをサポートできるようにしていきたいです。
また、Re:lationユーザー間の交流の機会を作って、より一層CS向上の機会を提供していきたいと思っています。2月20日に新宿で初めてのユーザー交流会を開催しました。昨年の12月には大阪で新機能説明会も行いました。これらのイベントをこれからも継続的に開いていきます。
私たちは「CSこそが企業・ショップのファンを作る」と考えています。「素晴らしいCSを築くにはRe:lationしかない!」と言ってもらえるようこれからも頑張ってまいります。