ショールーミングストアでカラコンECの新たな可能性を拓く

野中 真規子

フリュー株式会社 カラコン事業部
左:商品企画課 課長代理 福田奈緒子氏
右:事業部長代理 近藤真由香氏

フリュー株式会社は、オリジナルのカラコン(カラーコンタクトレンズ)『BELLSiQUE(ベルシーク)』を体験できるショールーミングストアを8月より期間限定で出店した。東急プラザ表参道原宿に同日オープンした、リアル店舗とWEBの融合を実現する“REAL TO WEB”プロジェクト『WTW OMOTESANDO(ダブルティーオモテサンドウ)』のスペース内に展開している。ショールーミングストアの詳細や狙いについて、同社カラコン事業部の事業部長代理 近藤真由香氏と、商品企画課 課長代理 福田奈緒子氏に伺った。

リアルで商品を体感、想いを理解してもらえる場を

――ショールーミングストアをオープンした理由や背景について教えてください。

近藤氏:今回ショールーミングストアを打ち出しているBELLSiQUEは、弊社が6月にリリースしたオリジナルのカラコンブランドです。弊社では他にも様々なタイプのカラコンを展開してまいりましたが、年齢を問わず自分らしくカラコンを使いこなす楽しさを広める為に、今回は初めて「大人向け」を意識し、レンズも今までにないデザインを開発しました。

リリースにあたり、これまでとは違うターゲット層を取り込む必要がありましたが、商品の特徴や想いは、WEBだけではわかっていただくことが難しいので、実際に商品を体感いただき、想いを理解していただくために、東急プラザ表参道原宿に『BELLSiQUEショールーミングストア by Mew contact(ミューコンタクト)』を設けました。

オープンは新型コロナウイルス流行のタイミングと重なりましたが、実はコロナをきっかけに、「実店舗」の新たな価値を出したいという目標も生まれたんです。

外出自粛で、“ものを買うだけならWEBでもできる”と多くの人が気づいた中、店舗に来る意味や、リアルだからこそできる体験を追求したい。たとえば実物を手に取って見られたり、高度管理医療機器のため試着はできないものの、模型で試すことができ、“試してよかった”と思ったら、弊社ECサイトのMew contact(ミューコンタクト)で、その場でも、家に帰ってからでも、買っていただける。今だからこそ、そうした導線を試してみたいと思いました。

ストアに設置されているQRコードやショップカードでECサイトへの誘導を行う。

また、カラコンは販売店舗で高度医療機器販売許可の免許が必要であり、免許のない雑貨屋さん等は売ることができません。しかし、その場で販売するのではなく、「ECサイトへ誘導する」という手法をとることで、小売店さんにおける免許取得の課題が解消できます。この「リアル to WEB」のスタイルを浸透させることで、免許を取るのが難しい店舗さんでもカラコンを販売するのが「当たり前」にできれば、顧客接点を増やし、カラコン購入への敷居を下げることができるんじゃないかと思います。今回のショールーミングストアは、そうした新たな可能性への第一歩にしたいとも考えました。

ストアは明治通りに面した東急プラザ1階のSUITS COMPANYさんの店舗から、階段を下っていったところにあります。通りを挟んで向こう側にはラフォーレ原宿さんや竹下通りなど若い方向けの店舗が並びますが、通りのこちら側は高めの年齢層をターゲットにした店舗が高く、東急プラザもその一つで、商品コンセプトにフィットした立地です。

弊社ではライフスタイルショップのWTWさんの、リアル店舗とWEBの融合を実現する“REAL TO WEB”プロジェクト『WTW OMOTESANDO(ダブルティーオモテサンドウ)』の取り組みとのコラボという形で、スペースの一部を使わせていただくことになりました。同スペースでは弊社製品の他にも、WTWさんをはじめとするブランドの服や化粧品などをお試しいただけ、WEBで購入いただけるようになっています。

メイク同様、年齢を重ねても楽しめるアイテムとしてカラコンを提案

あらゆる角度で商品を理解できるようコンテンツを多く設置。

――BELLSiQUE(ベルシーク)について、詳しく教えてください。

福田氏:BELLSiQUEという名前は造語で、ベルは「美しい」、シークは「シック」「探す」といった意味を重ねており、その2つを合わせて「美しさを探求する」というコンセプトを表現しています。

私たちは「水彩カラー」と呼んでいますが、水に溶け込むようにナチュラルに瞳の色になじむデザインです。従来の、サイズが大きく派手な色味で「盛る」カラコンと比べて、独特のカラーを繊細なデザインでナチュラルに瞳になじませられるのが特徴です。

カラコンの世界は、海外の製造工場が提案してきたデザインを選んでそのまま商品化するだけのOEM製品も多いのですが、弊社ではオリジナルデザインを追求し、工場とのやりとりを重ねながら1年以上かけて制作します。「BELLSiQUE」は度あり、度なしとも展開しており、ワンデータイプのためケアの手間が掛からず衛生的に使えます。

カラコンは、なぜか30歳を超えると卒業しなければいけないイメージがあるようです。弊社でアンケートをとったところ、就職や結婚といったライフイベントが理由でカラコンをやめたという人と並んで、「とくに理由はないけど30歳を過ぎたから」という人も多く、「本当はカラコンをつけたいのに、周りの目を気にしてやめてしまう人」が一定数いることがわかりました。

メイクやファッションなら20代、30代、40代、と年齢に合わせて変えていけるのに、カラコンだけはつけるかつけないかの二択を迫られます。でも実際はメイクやファッションと同じように、自分を魅力的に見せるためのものですから、年齢や人目を気にせず、似合うものを選んで、おしゃれを楽しんで欲しい。そんな思いでこのブランドをスタートしました。イメージモデルには女優の安達祐実さんを起用し、大人の方に響くようなプロモーションを展開しています。

実物を手に取り、サイズ感や色の透け具合をチェックできる

眼球に似せた石でカラコンの使用感を確かめる事ができる。

――ショールーミングストア内での施策・工夫を教えてください。

近藤氏:いちばんの特徴は、実物を手にとり、「EYE model(眼球の模型)」
につけて試せるところです。カラコンの販売店でもサンプルが入った瓶は陳列されていますが、それだけでは実際に目につけた時の発色や透け感がわかりにくい。そこで実物が見られるほか、ピンセットで取り出して、目の色のタイプ別に用意した模型に乗せながら、つけた感じを体感していただける仕組みにしました。カラコンをつけたことがない方が見ても、サイズ感や色の感じがよくわかります。

WEBでも画像や店舗のスタッフがつけた写真やお客様のレビューは載せていますが、それだけではわからないところをショールーミングストアで確認していただけます。

欲しいレンズがあれば、ストアに掲示してあるQRコードを読み取り、ECサイトの「Mew contact」からご購入いただけます。10%オフのクーポンもついているのでお得です。17時までのご注文で即日発送しますので、翌日すぐ受け取ることも可能です。商品を持ち帰らずに済むのも、リアルto WEBならではのメリットです。

また、ショップカードも置いておりますので、お持ち帰りいただければ、その場で購入を決められなくても、あとで家に帰ってからゆっくり検討していただくことも可能です。

実店舗で試してWEBで買う、が当たり前の世の中にしたい

BELLSiQUEの商品はこちら(https://contact.mewshop.jp/products/670/

――今後の展望をお聞かせください。

近藤氏:ショールーミングストアだけで採算が取れるとは考えていません。元々弊社ではB to Cの通販でも、B to Bの卸しでも自社商品を販売してきました。その上で、今回このショールーミングストアで顧客接点を設けた次第です。

弊社では、「BELLSiQUE」ブランドを通じて、多くの大人の方にカラコンを楽しむことを浸透させていきたいと考えています。各小売店様にも商品は卸していますが、普通に商品を棚に並べているだけでは、商品開発に込めた想いを深く伝えきるには不十分かもしれません。想いを伝えるならD to Cという方法もありますが、より多くの方が、普段のお買い物の中で、ブランドとの接点を持っていただける、ショールーミングストアのような場も必要です。ここで初めてBELLSiQUEを知った方が、他店で見かけて買ってくれたり、Mew contactに来たときに思い出して買ってくれるようになると良いなと考えています。

雑貨店さんや美容院さんなど、高度医療機器販売許可の免許がないけれどカラコン販売をしてみたい、という店舗さんも多いのではないかと思います。このショールーミングストアをきっかけに、今後はそうした店舗さんともコラボしながら、幅広く商品を紹介する試みを広げたいですね。さらにはこうした取り組みを通じて、将来的には「実店舗で試してWEBで買う」が当たり前の世の中になればと考えています。


記者プロフィール

野中 真規子

ライター。著書(電子書籍)『片付けられない、という「思い込み」をなくして、今すぐ片付けるための本』(ハウスキーピング協会)が好評発売中。ECのミカタにおいては、ECサービスのお話から伝わる本質的なメッセージを受け取り、拡散することが歓びです。

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