【越境EC】顧客満足度と効率化を両立する自動梱包とは
越境ECを始めるうえで課題の一つとなるのが物流環境だ。速くて正確な物流環境が整っている日本と異なり、国によって運送のルールの違いや運送キャリアの確保が難しいだけでなく、長距離を配送されていく商品をエンドユーザーに安全に届けるための梱包にも工夫が必要だ。
自社EC「doorzo(どうぞ)」を運営するSIG Service株式会社では、越境ECにおける梱包の課題を株式会社ダイワハイテックスの自動梱包サービスを導入することで解決に導いた。どのような工夫がなされ、両社が重視している顧客満足度が向上したのか。話をうかがった。
市場拡大を続ける越境EC
経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によると、令和2年の日本国内のEC市場規模は、BtoCでは19.3兆円(前年19.4兆円、前年比0.43%減)とほぼ横ばいの状態が続いている。BtoBに至っては334.9兆円(前年353.0兆円、前年比5.1%減)に減少しているが、越境ECとなると話は別だ。特に中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は、前年比で17.8%も増加しており、さらなる成長が期待されている。今後も越境ECに参入する企業は増えるだろう。
しかしその一方で越境ECに参入したものの、「期待を上回るような成果が得られない」「社内のリソースが足りず、運用に苦労している」といった企業の声も聞く。言語や商習慣の違いからトラブルに見舞われ、参入は簡単ではない。
成長著しい今だからこそ、少しでも早く越境ECに参入したい。そう考える企業の参入障壁を下げる方法はあるのだろうか。SIG Service株式会社の張章代表取締役社長は、「当社の『doorzo』を使っていただけると、越境ECをとても簡単に始められます」と答える。
手間もコストもかからないユニークな越境EC
SIG Serviceの自社EC「doorzo」は、中国のユーザーを中心に利用者数が増えている注目の越境ECだ。SIG Serviceが独自に開発したシステムを使って、自社ECに掲載した商品データを取り込むだけで、商品が「doorzo」に出品される。多言語や海外決算対応など越境ECで課題となるローカライズが[doorzo」を利用すると不要なので、出品において手間がかからないうえに、導入費用も手数料も無料で始められる。加えてユニークなのは代理購入というスタイルだ。
「ユーザーが購入した商品を当社が代理購入します。出品いただく企業にとっては、当社に商品をお送りいただくだけで、当社が梱包から出荷だけでなく、配送中にトラブル等が発生した場合も当社カスタマーサポートが自社で対応します。『doorzo』を利用いただくことで越境ECへの参入ハードルはとても低くなると思います」(張氏)
越境ECを始めたい企業側にとっては至れり尽くせりといったサービスだ。また張氏は購入をしてくれるユーザーの満足度をとても重視している。
「越境ECでお買い物をしているユーザーは、海外から商品を取り寄せているわけですから、期待度はとても高いです。それなのに商品が届かなかったり、箱がぐちゃぐちゃになっていると顧客満足度が下がってしまい、もう二度と注文してくれなくなるでしょう。だから商品を大切にお届けして、顧客満足度を最大限に高めたいと思っています」(張氏)
『doorzo』では専用アプリを使って簡単に商品を購入できるようにしたことで、利便性が向上しリピーターが急増している。出品する企業側とユーザー、両方の満足度を追求し続けているそうだ。
顧客満足度を上げるためにCARGOWELLを導入
「doorzo」では現在、1日2,000個前後の商品を梱包・発送している。顧客満足度を追求するために少しでも速く商品を発送できる体制を整えて効率性を高めようと、ダイワハイテックスが提供しているCARGOWELL(カーゴウェル)の自動梱包サービスを導入した。
「梱包に必要な機器を自社製造し、こちらの要望に合わせて梱包から送り状の貼り付けまで梱包作業をワンストップでご提案いただける会社は少なく、ダイワハイテックスさんにお願いするしかないと思いました」(張氏)
「CARGOWELLの自動梱包サービスは、メール便の自動梱包やダンボールの製函、梱包、封函、送り状発行、自動貼り付けなど梱包作業に必要な業務をお客様の配送業務に合わせてカスタマイズした梱包ラインや梱包システムをご提案する通販支援サービスです。当社は包装機の開発・製造からスタートしている会社ということもあり、ご要望に合った包装機の開発を得意とし、梱包作業の効率化やコスト削減につながるご提案を行っています」(芝田氏)
段ボール自体をシュリンクするという改善案を梱包ラインに反映
CARGOWELLを導入してから作業時間は大幅に軽減されたと語る張氏だが、それ以外にも梱包の質を高めることで、越境ECで生じやすいトラブルを回避するなど、より顧客満足度を上げることにつながるというメリットも得られたと感じているという。
「万が一、発送した商品に破損やトラブルが発生するとお客様に無事商品を届けられないだけでなく、配送費の負担も発生してしまいます。そこで商品を無事に届けるために、商品を入れた段ボールを梱包用テープでグルグル巻きにして発送していました。
しかし手作業での梱包は商品毎にサイズや形が異なるので作業効率がわるく、何より見栄えが悪かったのです」 (張氏)
「張さんから話を聞いて、段ボール自体をシュリンクしてみてはどうかとご提案しました。ダンボールごとシュリンクすることで手作業でテープを巻くより効率が上がりますし、見栄えもよくなると思いました。すでに当社梱包ライン『Bos-Line』を導入していましたが、既存のラインを活かしながら新たにダンボールをシュリンクする機能を追加致しました。日本国内では段ボールをシュリンクすることはありませんが、海外となると輸送にかかる工程や人が多いので越境ECならではの対策だと思いますし、今後越境ECに取り組むお客様の課題解決につながる方法の一つかもしれません」(芝田氏)
梱包ラインのカスタマイズだけでなく、システムや運用フローでも改善されたことがあるという。
「越境ECではインボイスが送り状と紐付いているので送り状を自動で貼り付けるオートラベラーのシステムを工夫する必要がありました。そこで張さんと相談し、システムだけでなくオートラベラーを活かせるよう配送キャリアや梱包フローを調整することでこの課題を解決することができました。」(芝田氏)
「こちらの要望を伝えると、ダイワハイテックスさんは素早く対応してくださいます。私たちの課題を一緒に解決しようとする姿勢を常にもっていらっしゃると思いますね」(張氏)
ユーザーと出品企業、双方にメリットがある越境ECに
ニーズに合わせて梱包ラインを見直すなど、細やかな対応を可能にしているのは、ダイワハイテックスが梱包機器の自社開発を強みとしているからではないだろうか。
「現場を見せていただきながらお客様のご要望を丁寧に聞き、改善に向けたご提案を重視しているので、当社の自動梱包サービスはオーダーメイドが当たり前なんです。エンドユーザーにきれいな状態で商品を届けることは、越境ECにおいても差別化になるし、顧客満足度を上げることにつながると思います」(芝田氏)
「おっしゃるとおりです。それから大きな商品は今も手作業でテープを巻いています。みなさんまとめ買いが多いため梱包サイズが大きくなるので 、大きなサイズの梱包も改善できないかダイワハイテックスさんに相談してみたいと思っています」(張氏)
「そうですね。既存のラインでは大きなサイズには対応できないのでまだ改善の余地があると思います」(芝田氏)
「ありがとうございます。お客様に早く、無事商品を届けることで越境ECユーザーの満足度もさらに高まると思います。ぜひ協力いただきたいです」(張氏)
「CARGOWELLの自動梱包で現場の効率化を図ることで、お客様の業務効率化だけでなく、『doorzo』をご利用されているエンドユーザーの顧客満足度にもつながります。ぜひ協力させてください」(芝田氏)