【第一回】「声」で繋がり、心が繋がる、その秘密。〜さくらフォレストが説く[接客の極意]

田上 薫

【第二回】未経験者があっという間にプロフェッショナルへ〜さくらフォレストが説く[接客の極意]
https://www.ecnomikata.com/column/10366/

「鹿児島の普通の女の子が、志事に巡り会うまで」

 私はコールセンターという仕事が大好きな、28歳です。少なく見積もっても、7年間で7万人以上と話しています。現在でも、自分にとってこれが本当に天職であり、一生死ぬまで続けるのか、と問われれば、それは、人間ですから、正直、そうだと断言できるわけではないかもしれません。

 でも今一番誇りをもっている【志事(しごと)】だと思っています。

 コールセンターは、一般的にはコストがかかる部門だとされていますが、通販で常に最前線にいて、一番大切なポジションだと理解しています。

 そして、たくさんの人が自分の好きなことを生かすことのできる職場だと思っています。この仕事の素晴らしさを、多くの人に伝える機会を与えていただいたことに感謝しています。

 私はもともと人とのつながりが大好きな、鹿児島出身の高学歴でもなく、地元の短期大学を卒業した、世間的に言えばフツウの女の子でした。

 こんな私が今では執行役員となり、コールセンターのリーダーとしていること、その延長線上で今回、このような機会を与えられるようになったこと。客観的に見たら、なんだか不思議です。

「ふつうの女の子だった私が、自分の特性を活かせて人様に発信できるようになったわけとは?」

 私はプライベートにおいても、飛行機で隣に座った人と、3時間ずっと話して仲良くなり、後日会って遊んだりとか新幹線で隣に座った人とずっと話して、後日お茶をしたりとか、また引っ越し先で、お隣さんと出会って3回目にして一緒に旅行したりとか「ぶっとんでいる」と周りによく言われます。

 さくらフォレストのコールセンターにおいても、コールセンターの域を超えて、お客様に会いにいく。マニュアルや、トークスクリプトがない。商品の注文じゃないお電話がかかってくる。

 ノルマがない。通話時間の制限がない。パートさん、社員関係なくやりたいことにチャレンジできる。商品以外のメールのやり取り、もはやメル友が許されている。

 このように、世間的に言うと「ぶっとんでいる」会社だったから、私のような人でも活かされたのだと思います。

 私のスタンスは仕事もプライベートも何も変わらない事が、何よりの強みです。

 通販では、いろいろな役割でたくさんの人が仕事をしています。さくらフォレストでの場合では、主に企画の人が新商品を作り、広告を運用します。

 そして新規お客様のWEB、電話注文を、コールセンターが受けたり質問にお答えしたりして、発送の手配をします。そしてロジさんが、梱包をして発送、配達業者さんがお荷物を運んで、お客様の手元に届けてくれる。コールセンターは、その通販の流れのたった一部なのです。

「たった一部でも大事。会社の顔という誇り」

 たった一部なのですが、私はお客様から「コールセンターは、会社の顔なんだよ」と教えられてきました。私がミスをした時も、「あなたしか私は知らないから、私にとっては貴女が会社の顔になるのよ。しっかりとしなさい。」とご指導をいただきました。

 そして喜んでいただいた際も「あなたのような人がいるから、この会社がいいなと感じるのよ。あなたたちは会社の鏡よ。いつも気遣ってくれてありがとう。」

 私は、こういったひとつひとつの言葉で成長をさせていただいたような気がします。

「一本のコンタクトで広がる世界観」

 私が気を付けている一本のコンタクトに込められた、その中身を、ちょっとお見せします。お電話で顔(表情)も見れないから難しそうだね、とよく言われます。

 実は、お電話は「音」の向こう側にあるたくさんの情報(お客様のヒント)にあふれています。

 たとえば、車のバックする「ピーピー」という音や、ウィンカーの「カチッカチッ」としている音がすると、こちらから「運転中ですか?お電話は改めますね!」とこちらから切る提案をする。すると「私は助手席に乗っているので大丈夫ですよ。」とか、「今、停車しているので大丈夫です」と言ってくださる。

 赤ちゃんの泣いている声や、小さいお子様の「お母さんー!」という声が聞こえたら、「いつも都合のよいお時間帯はいつですか?」と聞いてみます。

 駅のホームにいる人は駅のアナウンスの音ですぐにわかりますし、仕事の合間にお電話に出てくださる人も周りの静けさですぐにわかります。あとは歩きながら、お電話に出てくださる音もわかります。

 その時に、「お仕事中ですか?そんなときに失礼しました。お電話は改めた方がよろしいでしょうか?」と問いかけると、もちろん「またにして」という方もおりますが、「少しなら大丈夫ですよ」と言ってくださるかたも多くいらっしゃいます。

 少しの気遣いで、会話が始まることって普段からあると思います。


「次回は・・・」

 そんな些細な気遣いの大事さって、どんな人にだって心掛けられるかもしれないし、日常でも実践できることかもしれません。だから、私達の仕事は日常と同じなのです。

 そうやって日頃から、人間関係を大切に紡いでいく中で、様々なキッカケが生まれます。

 私たちの仕事は、それを本当に大事にしている。バイク好きのスタッフにはバイク好きのお客様が増え、子育て中のスタッフには、子育て中のお客様が増えます。お客様と繋がるんです。

 さて、そんな些細な気遣いから、お客様に喜んで購入していただいたり、実際にお客様にお会いするまでの秘訣を次回ではお伝えをしていこうと思います。


著者

田上 薫 (Tagami Kaoru)

1988年宮崎県生まれ、鹿児島県育ち。短期大学を卒業後、株式会社ココシスさくらフォレスト事業部(現在:さくらフォレスト株式会社)へ入社。これまでコールセンター部門として、主にクライアント2社に携わり、延べ7万人以上のお客様とお話しをしている。今年からはコールセンターという基礎に、CRMセンターとしても枠組みを広げていっている。

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