【第1回】♠欲しい!をもたらす表現マジック〜ゲーム産業からこんにちは!〜

幅 朝徳

 ゲーム産業という異業種からやってきた、EC業界の「新参者」がお届けする、ボーイ・ミーツ・ガール風コラム。ゲーム業界で培った最先端技術で、EC業界に新風を巻き起こします。

消費者のみなさんに「欲しい!」と思ってもらえるための、まるでマジックのような表現や手法を、実際のユースケースや豊富なデモとともにご紹介。

 FLASHが動かない!
 全画面でしか動画を再生できない!
 複数動画の同時再生や自動再生もできない!

そんな「ないものだらけ」の、まるで牢獄のような「スマホ動画」の世界を、ミドルウェア技術のチカラで解放します。

マジックは、タネ明かしよりもパフォーマンスのほうが好き!という方にはピッタリなコラムです。毎号、カップヌードルの待ち時間くらいで読めるボリュームでお届けします!

CRI・ミドルウェア
エヴァンジェリスト
幅朝徳

ゲームと聞いて、何を思い浮かべますか?
最近だと、「ポケモンGO」や「プレイステーションVR」でしょうか。

私たちの暮らす世の中はさまざまなハードやソフトで溢れていますが、実は、私たちの身の回りにあるそうしたモノやコトのなかで、つねに時代の最先端技術を果敢に採り入れてきたのが、ゲーム産業なのです。

私は、そんなゲーム産業の世界から、このEC業界にやってきた「新参者」です。

CRI・ミドルウェアという社名はピンと来ないかもしれませんが、下記のロゴマークを見たことのある方は多いかと思います。
ゲームそのものはつくりませんが、ゲームをつくるための「映像や音声の技術」を、全世界のゲームクリエイターにお届けしており、その数は、3,300タイトル以上になります。

▲ゲームのパッケージやゲーム起動画面でお目にかかったことがあるかもしれません

なぜ、ゲーム産業からいきなり、EC業界にやってきたのか?

おそらく、このコラムを読みはじめていただいた方の多くは不思議に感じるのではないかと思います。

その疑問にお答えする前に、ぜひ、みなさんに答えていただきたい質問があります。
直感で構いませんので、マル「◯」か、バツ「✕」かで、お答えください。


  1. インターネットアクセスの60%以上は、スマホではなく「PC」からである
  2. 全世界インターネットトラフィックに占める「動画」の割合は、30%程度である
  3. Webよりも「アプリ」のほうが目立ちやすく、集客効果も相対的に高い
  4. 消費者にとって「動画」はまだ馴染みが浅く、視聴頻度はそれほど多くはない
  5. PCとスマホでは、Webの「表現手法」に大差はなくレスポンシブデザインは容易い
  6. 消費者のスマホ歴も長くなり、「パケット代負担」を意識する人は少なくなった
  7. ガラケー時代の「FLASH」を活用した演出は、スマホでももちろん簡単につくれる
  8. デザインスキルの高いWeb制作会社は、「スマホ」のWebコンテンツも得意である
  9. 動画マーケティングはマス広告的なものなので、緻密な「効果測定」は困難である
  10. PCのWebと同様、スマホのWeb動画も「自動再生」や「再生制御」は簡単にできる
  11. PCのWebと同様、スマホのWeb動画も全画面再生「以外」の再生スタイルが選べる
  12. facebookスマホアプリ上でできることは、自社のスマホWebページでも当然できる

・・・いかがでしたでしょうか。マルとバツの数は、それぞれ何個になりましたか?それでは、いよいよ答え合わせです。

▲答え合わせの準備はよろしいですか?

じつは、
これ、すべて「バツ(✕)」なんです。つまり「間違い」です。

詳しい解説は、今後の連載コラムのなかで触れていきたいと思いますので、ぜひ、引き続きウォッチしていただければと思います。

インターネットアクセスの過半数以上はスマホからとなっており、すでにPCからのアクセスを抜いています。あつかう商材によって多少の違いはあるかもしれませんが、ECの領域でも、スマホファーストの時代がすでに訪れているといって良いでしょう。

また、全世界のインターネットトラフィックの7割以上は「動画」が占めており、数年後には9割を超えるという予測もあります。PCによる動画視聴者数は横ばいであるのに対し、スマホによる動画視聴は7年間で5倍になっており、全体の半分を占めるほどになっています。

まさに、今後のECでの勝敗は、「スマホ」と「動画」を、どう乗りこなしていくか、に懸かっていると断言できます。

米国Indovo社が2015年に行った調査によると、動画を視聴したユーザは、そうでないユーザに比べて、その商品の購買率が1.68倍にもなったと報告しています。


「よし、さっそく今日からウチも、スマホ動画をはじめるぞ!」

そんなふうに決意される経営者の方も多いかと思います。
でも、ちょっと待ってください。

じつは、PCの世界ではもはや当たり前の存在となったこの「動画」が、「スマホ」の世界では、ちょっと厄介なものになっているんです。

▲意外なほどスマホブラウザと動画のカンケイはシビアなのです…


上記の質問にもありましたが、「FLASHは、スマホのブラウザでは一切動きません!」。さらに、「自動再生」や「再生制御」、「埋め込み再生(インライン再生)」などは、基本的にすべてNGです。また、全画面再生でしか動画を再生できないという、スマホ動画の不自由さの呪縛から、逃れられないのです。

ブランディングやCMであれば問題ありませんが、ECサイトでは致命的です。だって、「購入」ボタンも「買い物かごに入れる」ボタンも、動画が全画面再生されたら、ぜんぶ消えてしまうのですから!

もちろん、ネイティブアプリ(App)を開発すれば「なんでも」できます。でも、アプリ開発を経験されたり、工数見積を取ったことのある方ならおそらくお気づきだと思いますが、かなりのコスト負担になります。少なくとも、Web構築の数倍は必要になりますし、iOSやAndroidのバージョンUPのたびにメンテナンスコストが発生してしまいます。

スマホの「ブラウザ」で出来ることと、
スマホの「アプリ」で出来ることには、大きな乖離が生じてしまっているのです。

もちろん、スマホブラウザであっても、力技(チカラワザ)でアプリのような表現を実現することはできます。
ただ、そのためには非常に高度なエンジニアリングスキルを持つJavaScriptプログラマ(場合によってはサーバサイドエンジニアも)を抱える必要がでてきます。さらに、コンテンツを企画/制作するためには、デザインスキルやセンスに長けたクリエイターも不可欠です。


私が、ゲーム産業から、このEC業界にやってきた理由は、まさにここにあります。

かつて、日本のゲーム業界は「家内制手工業」の時代が長く続きました。ゲーム企業それぞれが、自社のゲームを他社と差別化するための要素技術(=大工さんにおけるノコギリやカンナにあたる道具類一式)を独自開発していました。

もちろんそれは悪いことではなく、日本がゲーム開発先進国として、ゲーム文化が全世界的に広がることのきっかけになったわけです。ただ、自社技術に固執しすぎてしまったため、第三者から提供される要素技術を積極的に躊躇なく採り込んできた北米や海外のゲーム企業に、優位性を与えることになってしまいました。

日本でも、この危機感から、他社の要素技術を活用することに抵抗感がなくなっていきました。パソコンの世界にもWindowsとMacがあるように、ゲームの世界にも、プレステやXbox、Wiiといった複数機種のバリエーションがあります。ビジネスチャンスを最大化するためには、なるべく多くの機種で、自社のゲームソフトを動かす必要があります。でも、機種ごとに開発環境は異なり、個別のノウハウが必要です。

そこを解決してきたのが、当社の要素技術、つまり、ノコギリやカンナといった道具だったわけです。大工さんは家を建てるプロですが、ノコギリやカンナを作るプロではありません。特定の家しか建てられない道具ではなく、どんな家づくりにも対応した道具が多くの企業にとって重宝されたというわけです。

「餅は餅屋」という考え方で作られた、IT業界におけるこうしたノコギリやカンナのことを、専門用語で「ミドルウェア」と呼びます。もともとは、ハードウェアとソフトウェアのあいだに位置することから「ミドルウェア」と呼ばれるようになりました。

▲再生環境側のデコボコを「ミドルウェア」が吸収

ゲーム業界における「ゲーム機の種類」は、EC業界における「ブラウザの種類」に該当します。

つまり、EC業界でみなさんのビジネスチャンスを最大化するためには、Windows/MacOS、iOS/Android、IE/Edge/Firefox、Safari/Chrome、などなど、OSとブラウザがいかなる組み合わせであっても、同じようなユーザ体験(UX=User Experience)を実現するための技術が必要になってくるわけです。

冒頭にも書きましたが、ゲーム産業は、映像や音声など、表現系の最先端技術によって成り立っています。そして、その最先端の技術を、ミドルウェアとして提供すべく研究開発してきたのが当社ということになります。

今回、ゲームの最先端技術を惜しみなく注ぎ込むことで、EC業界に新たなムーブメントをひきおこすべく、みなさんの悩みを解決できるかもしれない技術を開発しました。そうした技術(ミドルウェア)をきっかけに、EC業界のみなさんと日々交流しながら、願わくば、数年後にはECが私のホームグラウンドになれれば、と。そんな覚悟をもって参りました。

EC業界のさまざまな著名人がひしめくこのコーナーで、かなりアウェーな感じの当コラム(汗)。

繰り返しになりますが、私はEC業界ではまだまだ新参者ですので、この連載では、いわゆる“ボーイ・ミーツ・ガール”的に、異業種どうしのコラボを実例とともにご紹介しつつ、私がゲーム業界で学んだノウハウのなかでEC業界でも役立ちそうなものを解説してまいります。

また、『欲しい!をもたらす、表現マジック』というコラムのタイトルのとおり、消費者のみなさんが貴社の商品を「欲しい!」と思ってもらえるための、まるでマジックのような「表現」をいろいろとご紹介していきたいと思います。

はじめのうちは、映画「ターミネーター2」でタイムトリップしてきたシュワちゃんよろしく、敵か“ミカタ”か分からない怪しいヤツに見えてしまうかもしれませんが、、、。


詳しくは、次回からの本連載の記事でご紹介したいと思いますが、せっかくなので「予告編」的にご紹介。

お時間のある方は、ぜひもう少しおつきあい下さい。

まずは、最近リリースしたばかりの、EC業界向けWeb動画ソリューションです。


【スマホ動画なのにここまで出来る!】LiveAct PRO デモサイト
http://liveact.cri-mw.jp/demo/
スマホでぜひご覧ください

▲スマホのQRコードリーダでぜひどうぞ!


そして、EC業界での、ホットなニュースを2件ほど。

EC業界はまだ新参者の当社ですが、光栄なことに、ECサイト構築実績No.1のecbeingさんとの戦略的業務提携が決定しました!

さらに、TVショッピング番組「ショップジャパン」でおなじみのオークローンマーケティングさんが手掛けたまったく新しい動画コマースECサイト「STORICO(ストリコ)」の動画システムを支える技術として、当社ミドルウェアを全面採用いただきました!

【ニュースリリース】
CRI、WEB動画ミドルウェアで
ECサイト構築 業界実績 No.1の ecbeing と提携
http://www.cri-mw.co.jp/newsrelease/2016/e78k1e000000hnjc.html

▲ゲーム系ミドルウェアNo.1と、ECサイト構築実績No.1の奇跡のコラボです!

【ニュースリリース】
CRI、独自動画技術をブラウザ向けに展開
高度なサイトを実現するWEB動画ミドルウェア「LiveAct® PRO」
採用第一弾は「ショップジャパン」を運営するオークローンマーケティングの
革新的な動画コマース、STORICO(ストリコ)
http://www.cri-mw.co.jp/newsrelease/2016/e78k1e000000geea.html

▲著名キュレーターによる動画コマースは必見です!

それでは、次号【第2回】のコラムでお会いしましょう。
みなさんのビジネスが、ドラマティックでマジカルなものになりますように!


著者

幅 朝徳 (Haba Tomonori)

学習院大学卒業後、CSK総合研究所に入社。ゲームプランナーを経て、現CRIに創業期から参画。任天堂・ソニー・マイクロソフトの家庭用ゲーム機向けビジネスに従事する傍ら、モバイル事業の責任者としてスマートフォン向けの新規事業立ち上げを行う。その後、ゲームで培った技術やノウハウを異業種に展開すべく、大手製薬会社向けのSFAシステムを開発、業界シェアNo.1を獲得。最近は、大手電機メーカーへのコンサルティングや異業種領域での「動画の活用手法」のエヴァンジェリスト活動などを手掛ける。

2016年10月、満を持して、EC業界でのミドルウェア事業をスタート。

Web上のあらゆる動画を手軽に扱うことのできる技術「LiveAct PRO」や、MP4等の動画ファイルサイズが画質そのまま半分になる「DietCoder」など、EC業界でも急速にニーズが高まりつつある技術やソリューションの研究開発や事業推進のために、多忙な日々を送っている。

Web動画ソリューション「LiveAct PRO」:http://www.cri-mw.co.jp/liveact/
CRI・ミドルウェア:http://www.cri-mw.co.jp/