2017年夏 中国のオンラインゲームの収益が590億元を突破

賈 韶蕾

中国におけるオンラインゲーム収益の推移(2015年第二四半期〜2017年第二四半期)

2017年第二四半期、中国のオンラインゲームの収益が595億2000万元を突破しました。

成長率は、前年から38.8%、前期から2%の伸びを見せています。季節性要因の影響で、前期比成長率はほとんど変動しませんでした。2016年の急成長を経て、現在中国のPCゲーム、モバイルゲームのマーケットシェアはそれぞれ40%、60%を占めています。モバイルゲームに関しては現在も市場で成長し続けています。

Tencent、NetEase2社の2017年第二四半期におけるマーケットシェアを合計すると、市場全体の64.5%を占めています。
前年同期の62.9%からわずかではあるものの、伸びを見せています。

Tencent、NetEaseの2社は、他社と異なるマーケティング戦略とパフォーマンスを展開しており、市場を独占している状態です。

Tencentが安定した成長を続けているのは、オンラインゲーム「League of Legends」、「DNF」、「王者荣耀」の圧倒的な人気によるものです。

これらオンラインゲームの収益は284億元にも達しました。Tencentは、2017年第二四半期のにおけるマーケットシェア47.7%、前期比成長率+5.2%という結果を残しました。

また、Tencentはこの2年で初めてモバイルゲームの収益がPCゲームの収益を上回りました。2017年第二四半期、Tencentのモバイルゲーム収益は148億元に達した一方で、PCゲーム収益は136億円という結果でした。

これは中国オンラインゲーム産業において、モバイルゲーム主流の時代が到来したことを示しています。

対象的に、NetEaseは前期比成長率がこの2年で初めて低下しました。2017年第二四半期の収入は12.2%減少し、マーケットシェアは16.8%まで落ち込みました。同年第一四半期における19.5%から、減少したことが判ります。

NetEaseの4つのクライアントは、モバイルゲーム市場で活路を見出すことができず、この2年間NetEaseに安定した現金フローを頼っていました。

2016年末、NetEaseがリリースした「Yinyangshi」はオンラインゲーム市場で一時飛躍を遂げましたが、度重なるシステムエラーや、ゲームコンテンツとストーリーのマンネリ化もあって、徐々に人気が薄れて行きました。そうしている間に、モバイルゲーム市場での好機を逃してしまいました。

中国のモバイルゲーム市場で成長し続けるためには高い創造性や、誠実性、品質が必要です。例え大企業であっても、ゲームプレーヤーを飽きさせない為に、頻繁なアップデート、新たなゲームルールの提供、ゲームオペレーションの改善などが必要です。

このような工夫をしない限り、ゲーム市場の第一線で活躍を維持し続けることは不可能でしょう。

大手2社はさておき、他とは異なるパフォーマンスを見せた企業があります。37 Interactive Entertainmentはマーケットシェア2.13%で3位につけました。2013年に見せた飛躍にまでは届きませんでしたが、独自のマーケティング戦略と需要に沿った商品ラインナップのおかげで37 Interactive Entertainmentは2017年において100億元以上の市場規模を誇っています。

ウェブマーケットにおけるここ巨大なポジションは大きな収益を生み出します。一方で「Perfect World」と「Youzu Network」は、Pan-Entertainmentライブストリーミングにおける収益もある為、それぞれ4位、5位につけています。

上場しているモバイルゲーム企業について詳しく見てみると、Tencentは他社とは一線を画した活躍を続けています。

Changyouと共同製作したゲーム「WangzheRongyao」や「Tianlong Babu」の人気のおかげです。
一方で、NetEaseは満足した結果を残していません。

独自に製作したゲーム「Guangming Dalu」、「My World」をリリースしましたが、あまり人気が出ず、企業収益は徐々に減少していきました。圧倒的なマーケットシェアを誇るTencent、NetEaseの2社以外の企業はモバイルゲーム市場で激しい競争を繰り広げています。勿論、これらの企業が将来的に飛躍する可能性は大いにあります。

企業合併や企業買収は、飛躍への近道です。関連企業と合併することで、企業発展や成長を促し、合理的にビジネスを展開することができます。KunlunはXianlai Gameを買収し、チェスとカードゲーム市場へ参入しました。37 Interactive Entertainmentはゲーム開発企業であるZhiming Networkと、出版企業Mokun Technologyを買収しました。

それによってゲーム開発技術と出版技術を伸ばすことに成功しました。”大手2社と、その他の企業”という現在の市場構造は長期的に続く見込みです。企業合併や買収は今後ますます増えていくでしょう。

更に、Tencentがマーケットシェア拡大のために国内外で行っていてる中小企業の買収や、他社との資源統合はオンラインゲーム市場全体の底上げと発展を促すでしょう。


著者

賈 韶蕾 (SHAOLEI JIA)

中国山西省出身、2010年来日し、2015年に(株)ヴァリューズに入社。
化粧品や日用品のメーカー企業を中心にコンサルティングを行う。
来日後は日本語の勉強をしながら、日本の人気商品を中国で販売するビジネスを3年間行っていたため、
この“転売”経験を活かし、現在は日本市場のマーケティング調査だけではなく、中国市場の分析事業も担当している。

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