中国のPan-Entertainmentライブストリーミング市場の急成長

賈 韶蕾

中国のPan-Entertainmentライブストリーミング市場の急成長

2016年、中国のPan-Entertainmentライブストリーミング市場の収益が208.3億元に達し、前年から180.1%の成長率を記録しました。収益の90%以上は視聴者からの課金収入によるものです。残りは、共同経営企業であるゲーム会社から発生した収益です。

Pan-Entertainmentライブストリーミング市場の急速な拡がりの背景には、いくつかの理由が考えられます。
まず、ネットユーザーがアクセスしやすい環境を作り出したことが、視聴者数を伸ばす結果に繋がりました。
次に、オンライン決済システムの浸透とその便利さから、視聴者が作品を手軽に購入できるようになりました。
その結果、課金して視聴するユーザーが増加し、ARPU(通信事業者の1契約あたりの売上をあらわす数値)も増加しました。

また、ライブストリーミングのコンテンツは常に更新されており、視聴者の人気や購買意欲を高めています。

Pan-Entertainmentライブストリーミング市場は2015年の急成長以降、2016年11月まで成長を維持していました。しかし、月間視聴者数は2016年12月以降低迷しています。

2017年第1四半期末、モバイル端末による視聴者数は1億700万人にまで低下しました。

2016年前半に視聴者数が急増したことで、これ以上視聴者数が伸びないという上限を達しました。
現在、市場は成長期を経て収穫期を迎えています。
人気のプラットフォームでは、視聴者獲得の激しい競争が繰り広げられるでしょう。

2016年は様々な企業がライブストリーミング市場に参入してきました。

2017年初め、大手企業は安定した視聴者数を獲得しました。今後も視聴者は大企業に集中することが見込まれています。中小企業は未だ不安定期にあり、新たな視聴者獲得の為の費用捻出など様々な課題に直面することになりそうです。

また、小規模企業も多数存在し、中には野卑なコンテンツを配信するプラットフォームも存在します。
現状では、これらのコンテンツを規制することや、政府が取り締まりを行うことが困難な状態です。
政府が厳しい規制を働きかければ、将来的にこれらのプラットフォームは閉鎖されるでしょう。


著者

賈 韶蕾 (SHAOLEI JIA)

中国山西省出身、2010年来日し、2015年に(株)ヴァリューズに入社。
化粧品や日用品のメーカー企業を中心にコンサルティングを行う。
来日後は日本語の勉強をしながら、日本の人気商品を中国で販売するビジネスを3年間行っていたため、
この“転売”経験を活かし、現在は日本市場のマーケティング調査だけではなく、中国市場の分析事業も担当している。

https://www.valuesccg.com/-/china/