マーケティングオートメーションでのシナリオ設計:第1回

若尾 和広 [PR]

若尾和広のコラムはこちら
コラム#2:マーケティングオートメーションでのシナリオ設計
http://ecnomikata.com/ecnews/marketing/6473/

「どのような顧客とコミュニケーションしたいのかを考えることがマーケティングオートメーションの第一歩」

マーケティングオートメーション(以下MA)とはOne to Oneマーケティングの概念にもとづいて企業から顧客へのメッセージの自動配信化とコンテンツ最適化を行うものとされています。そして通常はMAシステムが自動化を行うルールを「シナリオ」として設計し設定します。このコラムではMAでのシナリオ設計についての考え方をご紹介したいと思います。

One to Oneマーケティングにおいては、「誰に」「いつ」「何を」「どのような形(経路)で」コミュニケーションするかが重要となります。MAシステムでのシナリオにおいても、この考え方にもとづき「誰に(ターゲット設定)」と「いつ(シナリオ起動イベントからの配信タイミングの設定)」「何を(コンテンツ・インセンティブ設定)」「経路(チャネル選択)」の4つの内容を決めていきます。

この4つの設定項目の中で重要なのが最初の「誰に」です。One to Oneマーケティングは企業と顧客のコミュニケーションである以上、「誰に」対してメッセージを送るのか確定しないとその他の項目も決定出来ません。(人間どうしのコミュニケーションでも相手がどんな人なのかを考えて話し方や話す内容を変えるのに似ています)この「誰に」を考えるための軸として大きく以下の3つの考え方があります。

1.顧客ライフサイクル軸
CRM(CostomerRelationshipManagement)の考え方に沿って顧客を企業との関係性で識別するもの。
例)「見込み客」「初期客」「一般客」「優良顧客」「離反客」などの区分けがある。
 
2.ビヘイビア(顧客行動)軸
顧客の取った行動(ビヘイビア)で顧客を識別するもの。
例)「特定の商品を買った」「特定の商品を見た」「Webサイト・ECサイトに来訪した」などの区分けがある。

3.顧客属性軸
企業が知り得た顧客属性で識別するもの。顧客から会員登録時やアンケートなどで取得する情報が主体だが近年では顧客の行動から推定した属性情報を使用することもある。
例)「性別」「年代」「居住・勤務エリア」「ライフステージ」

これらの軸は単独で使用することもあれば、組合せて使用することもあります。
例)化粧品通販などでのサンプル購入者引き上げ⇒「初期客」かつ「"サンプル商品"購入者」で「30代女性」など

企業がMAで顧客とコミュニケーションするにあたっては、上記の軸を使用してすべての顧客を上記のいずれかの軸に当てはめ、販促目的に応じてコミュニケーションする対象を絞り込むことになります。必ずしもすべての顧客グループにシナリオを設定しないとならない訳ではなく、「CVRを向上したい」「顧客の定着化を行いたい」などの販促目的(課題)の上位の対象からシナリオ設計を行います。

それぞれの軸には以下の特性があります。
・顧客ライフサイクル軸は必ず顧客がどこか1つのセグメントに入り重複しない
・ビヘイビア軸は主に直近の行動を利用するので時間経過で変化する
・顧客属性は昨今の個人情報保護の流れで取得しづらくなっている(だから行動から推定)

このため「顧客ライフサイクル軸で顧客をセグメントし」「直前行動のビヘイビア軸でシナリオを起動(トリガー)し」「条件によって対象を顧客属性軸で絞り込む」などの顧客ターゲット設計が一般的となっています。

第2回ではこれらの顧客へ「いつ」オファーやメッセージを送るのが良いのかを書きたいと思います。


著者

若尾 和広 (Kazuhiro Wakao)

株式会社ブレインパッド、副本部長。通販・EC企業の顧客分析やポイントカードなどを活用したID付POSデータの分析よりマーケティング戦略の立案、マーケティングオートメーションシステムの開発を行っています。データ分析からマーケティング戦略立案、システム開発/プロモーションプランニングなどを一気通貫でコンサルティング可能です。

http://www.brainpad.co.jp/