販売戦略の立て方「食品、酒、飲料」
■食品は差別化しやすい!
他の商材と比較しても食品は販売戦略は立てやすいジャンルです。何故なら、同じ商品だとしても生産者や産地が異なることでの差別化が生まれますし、必ず商品になるまでの「ストーリー」が存在するからです。ストーリーこそお客様の購買意欲を掻き立てる一大コンテンツになりえます。
しかし、食品はリアル店舗でも溢れているため、ネットショップで購入する理由をいかに明確化できるか販売戦略において第一に考える必要があります。①価格 ②利便性 ③希少性 ④信頼性 ⑤安心・安全といった要素と消費者ニーズがマッチングすることで売上は上がります。
■専門分野への1点集中
ネットショップ黎明期とは異なり、成熟期を迎えた現在では食品の専門性がより問われてきています。思うように売上が伸びないときに商材を増やして売上を稼ごうとするショップもあれば、売上が順調に伸びているときに商材を増やして売上増をねらうショップもありますが、いたずらに幅を広げるのは避けるべきです。実際によくある話ですが、スイーツ専門店が利益を稼ぐために、仕入れが簡単で粗利率の高い健康食品を販売し始めることがあります。
しかし、健康食品のノウハウがなければ簡単に売れるわけでもなく、さらに悪いことに、本来のスイーツのイメージを損なうことにもなります。総合店は別ですが、これから競争に勝ち残るためには専門分野に1点集中して差別化を図る事が肝心です。
■メロンを買う時に、カニを売っている店で買いますか?
専門分野に集中する理由は2つあります。1つは、出店数が膨大に増えて、特長を打ち出さないと目立たないからです。「何でも取り扱っています」ではなく、「○○ならお任せください」というスタンスがお客様の記憶に留まります。
もう1つは、お客様の目が肥えたからです。メロンを買うならカニもメロンも売っている店ではなく、くだもの専門店で買おうと考えるのは自然の心理です。商材の種類だけの話ではなく、価格帯に関しても特化すべきです。安い商品を売っているショップで、たまたま高額な商品を取り扱っても、安さを売りにしたイメージのもとでは、なかなか売れません。
逆に、高額商品を取り扱うショップが安い商品を売る場合は、そのときには売れるかもしれませんが、長い目で見ればショップのイメージを損なうこととなり、結局、どっちつかずのショップになる危険性をはらんでいます。
■商品の強みを説明できますか?
食品業界の生産者へ話を聞くと「美味しいから。食べてみればわかる」という生産者の方は多くいます。職人気質で商品に絶対的な自信を持っている事が伺えますが、消費者に対する情報としては弱いです。美味しいという根拠をもっと掘り下げた情報として伝えて、初めて購買意欲が沸きはじめます。
一例ですが、梨一筋40年の生産者の方に話を伺った際「見た目汚いだろ?でも、これが美味しい証拠なんだ」と仰ってました。汚い理由は袋がけしていないのですが、太陽の光をいっぱい浴びて育てたので糖度も高く美味しいとの話でした。試食したら本当に甘くて驚きました。このような話は必ずあると思いますが、残念ながら上手にネット上へ情報反映してない事が多いです。梨物語の脚本を作るくらいの姿勢で取材をしないとなかなか情報引き出せないと思いますので、これには時間をかけてでも理解するのが望ましいです。
■お客様の心をとらえる写真
食品は何と言ってもファーストビューで「美味しそう」と思わせられなければ、購買に繋がることはありません。飲食店に入って注文する際に写真有りと写真無しでどちらを注文するでしょうか?一般的には写真有りで、「今が旬のおすすめ一覧」などを選択する事は多いと思います。ネットショップも全く同じで、「美味しそう」というイメージを見せる事が重要です。
例えば、メロンを販売するのに、メロンの玉をドンと見せるのではなく、メロンを切って果汁溢れるような写真を掲載します。折角の良い商品も、撮影一つで台無しになってしまうため、販売前の撮影には力を入れてください。
■まとめ
食品の販売戦略は、専門性を追求して、商品の強みを「お客様の求める情報として伝える」ことが重要になります。自身のショップの一押しが分からなかったり、商品について深く説明できない場合には今一度販売戦略を見直すことが必要となります。オンリーワン勝負で成功している食品店舗は数多くいます。何でも買えるショップより、「そこでしか買えない」ショップとしてブランディングした結果です。
商品自体のこだわり以外にも、商品に対する付加価値(スイーツやお酒の名入れギフトなど)を付けて成功しているショップも多いです。競合との差別化に悩まれたり、販売戦略の立て方が分からなければ是非ご相談ください。