売上拡大のカギは「リピート率」—リピーターを増やすための戦略4選

松原吉輝

「新規顧客は増えているのに、なかなかリピートされない…」そんな悩みを抱えていませんか?EC事業の成長には、単発の購入で終わらせず、継続的に買ってもらう仕組み作りが重要です。本記事では、リピート率を高めるための具体的な戦略をご紹介します。

リピート率の重要性

売上を伸ばすためには新規顧客の獲得も重要ですが、一方で優良顧客=リピーターを育てていかないと、EC事業の売上・運営は安定しません。
売上の80%は20%の優良顧客によるもの(80:20の法則)と言われるように、優良顧客の育成は事業の成長に欠かせない要素です。

また「1:5の法則」というマーケティング用語があり、これは「新規顧客獲得にかかるコストはリピーター獲得コストの5倍」という意味で、新規顧客の獲得にはリサーチや広告、各種プロモーション施策など、多くの時間や費用がかかります。一方で、既存顧客へのアプローチはメール・LINE・SNSなど、新規獲得に比べて低コストで行うことができます。

事業の成長には「新規顧客の獲得」と「リピーターの育成」はどちらも欠かせません。その上で、競争が激化し、新規顧客獲得のハードルが上がっているEC業界において、リピーター育成の重要性は一層高まっているといえるでしょう。

なぜリピート率が低いのか?

リピート率が低い場合、次のようなケースが想定されます。

①初回購入時の満足度が低い
初回購入時の商品・サービスへの満足度は、2回目以降の購入を左右する重要な要素です。満足度を下げている要素を分析し、改善を行いましょう。


②商品特性上、リピートされにくい
ランドセルなどの一回の購入で顧客ニーズが満たされる商品、頻繁に買い替えない大型家具などの商品の場合は、口コミ対策に力を入れる方が効果的でしょう。


③競合他社への乗り換え
競合他社との違いを分析し、自社の強みや訴求ポイントを見直しましょう。商品の強みや特徴が、顧客からみて分かりやすく商品ページに反映されているかどうかもチェックポイントです。訴求したい要素が視覚的に目立つような画像・テキストが大切です。


④ショップや商品を忘れられている
消耗品や食品などは使い終わると忘れてしまうことも多く、また楽天などのECモールで購入した場合は、そのショップよりも「楽天で買った」という印象が強く、どのショップで買ったのか覚えていない顧客も少なくありません。


⑤リピート対策の不足
初回購入後、顧客に対してのリマインドはできていますか?
そもそもの対策が不十分であったり、実施している対策が商品や顧客特性に合っていないことも考えられます。

リピート率を上げるには

①顧客との接点を増やす
顧客との接点を継続的に持つことは、リピート率向上に不可欠です。LINE、メール、SNS、広告など、複数のチャネルを組み合わせ、適切なアプローチを行いましょう。

1.LINEお友達に対して
定期的にLINE配信を行いましょう。拡張ツールを導入することで、柔軟性の高いシナリオ配信(ステップメールのような機能)や細かなセグメント配信など、パーソナライズされた配信が可能です。

2.メール会員に対して
新商品やセールの案内以外にも、レビュー紹介や商品活用例(アレンジやコーディネートetc)、スタッフブログ紹介などを配信し、顧客との関係性を深めましょう。

3.開封無し顧客に対して
LINEやメルマガを開封しない顧客に対して接点を持つには、InstagramやXなどSNSでの情報発信が効果的です。

4.過去顧客に対して
過去に商品を購入したことがある顧客は、ショップ名やブランド名で検索するため、指名系ワードや、顧客属性の趣味嗜好に合わせたピンポイントの広告を配信しましょう。過去顧客は購入可能性・リピートの可能性が高く、全配信対象の中でも高いROASが期待できる母集団なので、単価が高い指名系ワードも配信する価値があるといえるでしょう。

5.離反顧客に対して
新規顧客の獲得施策として準顕在層・潜在層へ行う広告配信が、結果的に離反顧客に対するアプローチにも繋がります。
リスティング広告のビッグワード、ミドルワードでアプローチする場合、Instagram広告の趣味嗜好でアプローチする場合、どちらも配信対象者に離反顧客(他ブランドへ流れた顧客含む)が含まれているためです。



②同梱物の工夫
商品が手元に届いたタイミングは、EC事業者にとっては貴重な接客のチャンスです。
丁寧な梱包はもちろん、同梱物にも工夫をすることで、顧客満足度の向上に繋がります。同梱物の例としては、お礼のメッセージや商品のカタログ、商品の使い方紹介、試供品などがあります。


③会員登録の促進
自社サイトの会員になることで得られる特典を提示し、会員登録を促します。
会員登録してもらえれば、ECサイト離脱後でもメルマガやLINEなどで顧客にアプローチすることができ、リピーター育成に繋げることができます。

必須の入力項目を減らしたり、ソーシャルログイン(LINEやGoogleアカウントでログインできる機能)を導入することで、顧客の登録のし易さ・利便性が向上し、会員登録数を増やしましょう。



④クーポンの配布
初回購入時に「次回使えるクーポン」を提供したり、既存顧客向けのセールやキャンペーンを実施することで、再購入を検討しやすくなります。
ロイヤリティの向上には、誕生月に使えるクーポンや会員ランクに応じたクーポン・キャンペーンなども効果的です。

クーポンやセールは頻度が多すぎると
・セール時以外買われなくなる
・安売りイメージがつく
といった可能性もあるので、ブランドイメージや運営方針に沿った運用が大切です。

まとめ

競争が激しいEC業界において、事業の安定と成長にはリピーターの育成が不可欠です。新規顧客の獲得にはコストがかかりますが、リピーターの育成は比較的低コストで行うことができる上、リピーターは売上の大部分を支える重要な要素となります。顧客満足度の向上や、適切なリマインド施策、会員登録の促進、SNSやLINEを活用した接点強化など、多角的なアプローチでリピーターを増やしましょう。




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著者

松原吉輝

マーケティング会社にて大手・中小合わせて500社の支援を事業責任者として行う。その後、経営再建のために15名ほどの会社の社長業を担い、2016年に「EC運営代行」のGIVE&GIVE(株)を創業。
クライアントは大手・中小企業とあり、楽天市場では優良店を次々と輩出。現在はECの枠を超えたマーケティング、ブランディング、プロモーション支援まで行う。
2021年、未就学児~中学生への教育支援事業として「協育・共育プラットフォーム」を提供す(株)weclipを設立。世田谷区の起業家支援プログラムのメンターも行う。他に、カベウチサービス、飲食業、アルコールアイスクリームブランドの開発・販売も行う。

HP(https://g-give.co.jp/

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