EC業界News1週間まとめ〜東急、大和ハウス系が連携IROZA舞台裏、Amazonプライム結果

石郷“145”マナブ

7月10〜16日のNewsをサクッと振り返り

こんにちは。
海外ではポケモンGOが凄く話題になっているみたいですね。僕個人としては岩田聡前社長を強くリスペクトしていて、この作品にも彼の影響があるということで、凄く注目しています。「誰しも完璧ではない。苦手なことを、得意な人がフォローしあうことで、組織が組織である必要があります。」彼のその言葉は今でも僕の心に輝いている。きっと笑顔があふれるのは、彼がいたから、だと信じています。だから、この作品も、最後に関わった作品だとしたら、魅力あふれた作品なはずなんです、きっと。

さて、余談が長くなっちゃいましたね。今週読まれたのは、下記になります。

速報・IROZAが東急、大和ハウス系と提携!変わる小売物流
https://ecnomikata.com/ecnews/10030/
楽天役員が語る「店舗とのコミュニケーション」施策
https://ecnomikata.com/ecnews/9985/
【速報】Amazonプライムデー2016結果!1位はあの商品?
https://ecnomikata.com/ecnews/10112/
【第一回】想いを“声”に乗せて〜さくらフォレストが説く[接客の極意]
https://ecnomikata.com/column/10014/
【第2回】EC店舗を襲う不正の今~あなたは見抜ける?不正注文の具体例~
https://ecnomikata.com/column/9953/
Amazonプライムデーとは?~最もお得な買い物の方法〜
https://ecnomikata.com/ecnews/9982/

IROZAはオムニチャネルの革命を起こす

IROZAはオムニチャネルの革命を起こす

 今週の流れで面白かったのが、IROZAの動きです。IROZAと言っても、馴染みのない方もいると思いますが、もともとはネットショップで、今回は、オムニチャネルに最適なシステムの発表を、東急グループと、大和ハウス系の企業と共に行ったので、大きな話題となりました。

 IROZAという店は、物を買うときの動機って意外とブランドであったりするところを、敢えてブランドという切り口ではなく、色をテーマに集めて、それで商品を売る、なんとも個性的な店で、話題を集めました。こういう切り口である事で、例えば、今回はこの色で、洋服を買おうと言って、セレクトしていくと、考えもしなかったブランドの商品を選んでいたり、とその意外性がお客様を熱狂させるのです。

ただ、彼らが考えていたのは、それだけじゃなかった。実はこの切り口を持って、いわゆる百貨店などの期間限定店舗への提案をしていったわけです。ネットショップで扱うこの切り口と商品をそのまま、リアルに持ち込んだ。すると、それは各地で話題を集める事になったのですが、これらのネットショップと、リアルなお店の在庫状況なども、より効率的に無駄がないようにするべく、自らシステムを自前で作っていったのです。

 つまり、彼らの真の狙いは、ここにあったのです。店として成功し、その仕組みを自ら作成していれば、その仕組みを丸ごと、他の店舗に売り込む事ができます。その中で、彼らは今回の記者会見で発表したのが、受注から出荷までの仕組みをすべてケアするシステム「Monopos」なのです。

東急、大和ハウスを巻き込むことで、インフラ強化

 特に、百貨店などとネットショップを関連付けて、状況に合わせて、どちらでも買えるようにし、常に、在庫状況を連動させながら、オムニチャネルと徹底させているので、特にこのシステムは、実店舗を持っている企業、あるいは、今はネットショップだけど、実店舗を持ちたい企業に最適なシステムになっていますが、それを考えている企業って、右肩上がりの成長を考えているところでは、どこの企業も当たり前のようにして考えているのではないでしょうか。ここがIROZAの考えのミソです。

でも、彼らはそのシステムを作るだけでは済ませなかったわけです。いくらその仕組みをどうぞ、といったところで、実店舗を出すところがなければ意味がありません。いざそれをやるにも、オムニチャネルに伴い、倉庫での在庫管理の仕方も変わってくるでしょう。そこで、最初から、IROZAは東急と提携し、ネットショップで実績を上げている商品は、東急百貨店をはじめとする、東急グループのリテール事業で扱える可能性を作ったわけです。しかも、東急百貨店にもメリットがあって、ネットショップにしかない、先進的な商品を扱える可能性があるほか、既に東急百貨店に入っているテナントに、オムニチャネルをやりやすい環境を提示でき、ブランドの持つ可能性を最大化できるわけです。

 また、東急百貨店に入ろうと検討しているブランドに対して、ほかの百貨店にはない差別化要因にもなります。そして、倉庫などの管理などに不安を抱える事を想定し、あらかじめ、Monoposのシステムを熟知した、大和ハウス系のフレームワークスがそれに見合った倉庫を用意している。こうやって、システムの提案はきっかけにすぎなくて、リアルなお店を巻き込み、バックヤード側もしっかり押さえた上で、このシステムを使えばいいですよ、というところが、今までのシステム、オムニチャネルを推進している企業にはなかった発想です。最初から、東急や大和ハウスといった大手企業との連携を意識して、オムニチャネルを推進していけば、確実です。

LINEが社会インフラとして確固たる地位をつかんだ先には・・・

LINEが社会インフラとして確固たる地位をつかんだ先には・・・

 あとは、LINEの上場のニュースも話題になりました。初値は4900円でした。無料対話アプリとして、もうスマホを持つ人には当たり前の存在。スタンプが流通され、それがコミュニケーションがより活性化されて、流行に拍車をかけ、そのUIの良さはまた、企業にも応用され、ビジネスコネクトとなって、企業とお客様をつなぐためのツールになる。なによりもこの会社の強さは、LINEという社会のインフラを備えている点にあります。

 ちょっと海外に目を向けてみましょうか。海外のテンセント(騰訊控股)という会社は、時価総額285億ドル(約2兆9000億円)にものぼりますが、この会社ってなんの会社かご存じの方おりますでしょうか?実は、同じく対話アプリ「WeChat(微信)」を運営している会社で、その利用者は7億6000万人以上とも言われています。それだけインフラを作る会社の影響力というのは、社会からも期待が強く、また、新しいビジネスが生まれやすく、生まれなきゃいけないという社会的な使命もあります。それだけに、LINEもまだまだ海外では弱いとは言われますが、日本ではインフラとして確固たる地位にあり、もちろん、発表する事業内容によりますが、関心度は高くなっていくものと思われます。

 そして、その中には、少なからず、人々の生活に密着するECサイトもまた、LINEがなんらか関連性を持ってくる可能性が十分に考えられ、その意味で、上場し、資金調達したことには、この業界もまた注目する必要があるように思います。

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ヤマト運輸は文化を作り、業績を作る。営業益も増加

ヤマト運輸は文化を作り、業績を作る。営業益も増加

 あと、日本経済新聞社の報じたところによれば、ヤマトHDが、営業利益が前年同期比2割増え、50億円程度という情報もありました。ヤマト運輸といえば、今から遡ること、40年前、1976年1月20日『宅急便』は、誕生したのでした。センセーショナルな「電話1本で集荷・1個でも家庭へ集荷・翌日配達・運賃は安くて明瞭・荷造りが簡単」というコンセプトです。ヤマト運輸というのは、新しい文化とインフラを作る会社なんだなと思いました。

 いうなれば、宅急便は「知人」の個人宅などの何かを届けるという文化だったわけですが、いまや、全く顔を知ることのないネット上の「誰か」に送るという全く今までにない文化、フリマアプリの会社と連携することで、作り上げて、それを商売に変えている。らくらくメルカリ便等、出品者の利便性を図り、多くがヤマト運輸を活用しようとしています。4〜6月期で営業増益になるのは、3年ぶりといいますから、やはり、その意味はあったでしょう。おそらくですが、今後、ヤマト運輸のCtoCに対する強化策はあるでしょう。

 あと、文化を作る会社として、もうひとつだけ。ヤマトグループって、文化については、地域にももたらしている。それをしっかり、ビジネスにつなげようとしていて、ヤマトって人間いう血流みたいなもんだなって思うんです。写真は、ながさきしまねこプロジェクトと言って、長崎の離島の生産者の作物を、東京など都会の飲食の人に知らしめることで、お互いに活性化を図ろうという動きなんですね。まさにそれを知らしめるために、長崎の美しすぎる海女ちゃんこと、大川香菜さんが東京に来て、その作物の素晴らしさについて話していました。送料などのネックを乗り越える、その価値を伝えないと。価格で買えないプラスの価値を。いいものはもっと広がらないといけないなって、そう思います。

年々拡大する、Amazonプライムデーの影響力

年々拡大する、Amazonプライムデーの影響力

 その他で言えば、やはりAmazonプライムデーです。今年は去年以上に力が入っていた印象があります。盛んにTVCMが打たれ、企画ものもおおかったですね。プライムナウでは芸能人が届けるなどの話題性もありました。

 でも、実際にはどうだったのでしょうか?その結果が気になるところです。これに関してですが、昨年のプライムデーと比較して、注文数は世界で60%以上の増加。また、世界では、Fire TV、Fireタブレット、Kindle電子書籍リーダーなど、Amazonの各デバイスでも過去最高の注文数を記録しました。さらに、世界のAmazonプライム会員の買い物すべての割引価格分を合計すると、昨年比で2倍以上となったそうです。

面白いのは、世界10カ国で同時開催していたわけですが、国ごとに売れているものが結構違います。
· 日本:フルグラ 800g ×6袋(メーカー名:カルビー)
· アメリカ:7つの用途に使える圧力鍋(メーカー名:Instant Pot)
· イギリス:Bluetooth接続が可能な電動歯ブラシ(メーカー名:オーラルB)
· スペイン:USBメモリースティック(メーカー名:サンディスク)
· イタリア:USBフラッシュドライブ(メーカー名:Lexar)
· ドイツおよびオーストリア:フライパン(メーカー名:ティファール)
· フランスおよびベルギー:『ゲーム・オブ・スローンズ』のDVD 第1章から第4章
· カナダ:ヘッドホン(メーカー名:ゼンハイザー)
ネット通販に対して求めているものが国によって違うのかな、という印象を持ちました。ということは越境ECにおいても、そういうことは考慮したほうがいいのかなと思った次第です。

きっと暑い1週間になるのかな。楽天は湘南で期間限定のビーチをやっているらしいし、いよいよ夏本番ですね。暑さに負けず、熱く燃える1週間をお過ごしください。
笑顔あふれる素敵な一週間でありますよう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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