楽天Kobo、4時間で完売した電子書籍端末の開発秘話

ECのミカタ編集部

 楽天株式会社の子会社であるRakuten Kobo Inc.(以下、Kobo社)は、日本を含む世界10ヵ国で、7.8インチの防水電子書籍リーダー「Kobo Aura One」を販売開始した。現代は、スマートフォンやタブレットを利用して電子書籍を楽しむことができるにも関わらず、なぜ、専用端末にこだわるのか。そこには、読書家への想いが大きく関係していた。

 昨日9月6日に開催された「Kobo Aura One」の説明会で語られた話を基に、電子書籍の未来について考えていく。

「Kobo Aura One」に搭載されている機能

「Kobo Aura One」に搭載されている機能

 「Kobo Aura One」とは、進化した防水機能に、自動調光やブルーライトを低減する機能が搭載された、7.8インチの電子書籍リーダーである。屋外でも、浴室でも、ベッドの中でも、好きな場所で電子書籍を読むことができる。この「Kobo Aura One」は、本を愛する読書家のために作られたため、様々な工夫がある。

 まずは、目にやさしい「ComforLight PRO」技術を採用していることだ。これはフロントライトであり、直接目に光が入らないため目にやさしく、長時間でも目に負担をかけることなく、読書を楽しむことができる。

 続いては、ブルーライトを低減していることである。ブルーライトが睡眠の妨げと言われていることをご存知だろうか。それを防ぐために、ナチュラルライトを使用し、ライトの色を徐々に変化させる調色機能が搭載されている。「自動」調整機能をオンにすると、就寝時間(21:00~3:00まで、30分刻みで設定可能)に合わせて、真っ白な昼光色からブルーライトの露光量を減らし、安眠をサポートする仕組みとなっている。

 今回の「Kobo Aura One」は、従前モデルの「Kobo Aura H2O」よりも一回り大きくなった、7.8インチの大型ディスプレイを採用している。また、ディスプレイの解像度も1,872×1,404(300ppi)へ向上した。その他に、フラットスクリーンでよりめくりやすく、6.9mmの薄さで約230gと軽量のため、長時間の使用にも快適だ。

 さらに、防水機能を強化し、水深2mで最大60分の使用が可能とされる防水性が備えられている。端末の内部に塗布されたコーディング技術により、ポート(USBケーブル接続口)カバーがなくても浸水に耐えることができるため、これまで以上に好きな時に好きな場所で読書を楽しむことができるのだ。

顧客とのミーティングがヒット商品の鍵に

 「Kobo Aura One」を開発するにあたって、実際に読書家の顧客を含めたミーティングを開催した。やはり、日頃から本を読む読書家に色々と聞くことによって、読書の仕方や電子書籍に求めることをより詳しく知ることができる。ミーティングでは、スクリーンの大きさやライト、防水に関してなど、様々な意見が飛び交った。このような意見を形にし、読書家にとって最も利用したい形が「Kobo Aura One」となったのだ。

 そもそも、「Kobo Aura Oneは「どんな場所でも本が読める専用端末が欲しい」という読者の声から誕生した。現代では、スマートフォンやタブレットの進化によって、それらを利用して電子書籍を読むことができるようになった。しかし、読書家にとっては、「専用の端末で読みたい」という願いがあるのだ。そのような読書家のために、プレミアム電子書籍リーダー「Kobo Aura One」は存在する。

 もしかしたら、「電子書籍を読むために高額を払って専用端末を買うなんてもったいない」と思うかもしれない。しかし、音楽が好きな人が高額なヘッドホンを購入したり、スポーツが好きな人が高額なスポーツ用品を集めたりすることと同様に、本を読むことが好きな人はプレミアム電子書籍に投資するのだ。そのため、「本を読むことが好きな人にとって最高のものを」という想いで「Kobo Aura One」を読書家と共に開設した。

 その想いが共感を呼んだのか、「Kobo Aura One」は販売開始からわずか4時間で在庫切れとなった。ここまで売れるとは想定外の結果だったという。それほどに、読書家は「Kobo Aura One」を望んでいるのだろう。

新商品開発のヒントを握る顧客の声

 今回の「Kobo Aura One」の人気は、顧客の声を実現した使い勝手の良さが、大きな要因となっている。同様に、EC店舗での商品開発でも、ミーティングなどの機会を設け、顧客の声を聞くことは効果的だろう。商品を実際に利用する顧客にしか分からないこともあるのだ。

 例えば、今回の「スクリーン」を例として挙げると、どのくらいのスクリーンの大きさが良いのか、顧客と話していくことで、一般的な本と同じ大きさが良いということがわかった。これにより、「電子書籍」であっても、実際に本を読む感覚で読書を楽しむことができる。

 さらに、顧客と話し合うことは、信頼関係に繋がる。真剣に商品を考える姿勢を見ると、顧客として嬉しく思うことだろう。一度、信頼関係が強く結ばれることによって、今後も利用し続けてくれる。毎回の新商品を楽しみに待っていてくれるかもしれない。そのような信頼関係を築くためにも、ミーティングなどで顧客の声を直接聞くことは、EC店舗に必要とされていることなのかもしれない。


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