受賞店舗が効果を語る「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」

福島 れい

 「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」という取組をご存じだろうか?これは、昨年から始まった、地域の素晴らしさを域外の消費者に直接伝えようとする新たなチャレンジを表彰し、地域に眠る名品やそれを支えるストーリーを発掘するものだ。この「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」が2016年も開催される事になった。今回は、先週金曜に発表された「2016年度 ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」の概要と、昨年受賞者の受賞後の変化を中心に、地方創生について考えてみたい。

地域に眠る名品を発掘!「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」

 「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」は、地域に眠る名品とそれを支えるストーリーや取組を発掘し、「ヒト・モノ・コト」それぞれの表彰を通じて、地域のチャレンジをより多くの人に知ってもらい、”地域のファン化”を支援するもの。民間企業24社および組織(幹事社12社、会員企業・団体12社および組織)が力を結集し、後援として内閣府、経済産業省が加わることで地方創生を目指している。

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部参事官 村上 敬亮さん

 当日、登壇した村上参事官は”地方創生”をこのように語った。「地方の農家は”売る”ことを人任せにしてしまっていて、お客さんがどんな顔で食べているのか、なぜこの金額で買ってくれているのかということを、わかってはいない。地方だけでなく、全国で人口が減っている日本において、農地を守るためだと言って、作ることだけに専念していては、供給過多になり、モノの値段は下がり、農家に利益が残らないのです。そこで必要なのが、どうすれば上手に売れるのか、生産者に伝え、良いものを上手に売ってもらうことです。」と。

昨年の「地方創生賞」 長濱さん、木村さんが語る受賞後

昨年の「地方創生賞」 長濱さん、木村さんが語る受賞後左 :米・雑穀のみちのく農業研究所 長濱洋平さん
中央:実行委員長 古田 秘馬さん
右 :おやさいクレヨン 木村尚子さん

「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」は、地方の“良いもの”について認知拡大をし、他の地域の人に対しても購入機会を設ける、そんな地方創生なのだ。それが奏功している事は、名品オブ・ザ・イヤー受賞店舗の成長において裏打ちされている。昨年「ヒト部門」で地方創生賞を受賞した 米・雑穀のみちのく農業研究所 長濱洋平さんは、受賞後、地域の60歳以上の方を雇用できるようになったのが大きな変化だと語る。「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」を受賞したことで、農家の方々からの信頼がアップし、手伝ってもらえるようになったのだそう。また、昨年「コト部門」で地方創生賞を受賞した おやさいクレヨン 木村尚子さんは受賞後、メディアに取り上げられたことなどがきっかけで、さらに売上数が増加し、新商品も発売し、海外展開も進めているという。

 実は長濱さんは、「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」でECのミカタの記者と出会ったのち、これまでの米・雑穀のみちのく農業研究所の道のりを熱くコラムに執筆いただいてる。ちょうど前回は、長濱さんと木村さんの対談を掲載したばかり。お二人の取り組みや商品、地域にかける思いが感じられる内容になっているため、こちらもご覧いただきたい。

長濱さんと木村さんの対談コラムはこちらから

 「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」の魅力をお伝えしてきたところで、「2016年度 ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」の詳細を記載する。表彰の対象になるのは、33の「部門賞」と「地方創生賞」の2つだ。受賞者の権利として、「受賞名品は、販促機会に受賞ロゴを使用できる」ほか、「部門賞ごとに、各事業者の特徴を生かした販促機会」が提供される。

 さらに今年は出張ビジネススクールや地域プロデュースサポートといったサポートプログラムや地域商社協議会として定期セミナーを開催し、さらに各自治体や取り組みをサポートしていく運びだ。

 「地方創生」は、多くの地域で取り組むべき、大きな課題だ。しかし一方で、地方自治体や地元の人だけで上手く地域をアピールするのはそう簡単なことではないのだ。今回取材した「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」では、単純によく売れているモノが表彰されるわけではなく、各地域の認知アップや雇用創出など、なんらかの形で地域に貢献しているモノやヒト、コトが表彰される。地域の活性化を、その地域の外から支援するという新しい形の支援と言えるだろう。2016年度 ふるさと名品オブ・ザ・イヤーの表彰は2017年3月。地域の商品を取り扱うショップや、地域貢献に積極的に参加しているショップは、自らのPRと地域のさらなる発展に向け、参加してみてはいかがだろうか?


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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