新機能追加でアプリ市場を牽引「Yappli Summit」開催

ECのミカタ編集部

 従来よりもリーズナブルな価格で高品質なスマートフォンアプリを制作することができる「Yappli(ヤプリ)」を提供するファストメディア株式会社(以下、ファストメディア)は、「Yappli」を導入している企業向けに、「Yappli」新機能の追加そして今後の機能拡張を発表するべく「Yappli Summit(ヤプリサミット)」を開催した。

今後のアプリ市場とファストメディアの見つめる先

今後のアプリ市場とファストメディアの見つめる先代表取締役 庵原保文氏

 「Yappli Summit」が開催される華やかな会場には、日頃から「Yappli」を利用している様々な業界の企業が集まった。「Yappli」はアプリ制作のツールであるため、決済機能やカート機能が備わっているわけではないが、アプリがEC業界において年々影響力を持ってきていることからもわかるように、EC企業にとっても無視できないEC支援ツールとなっている。

 開会に伴い、代表取締役 庵原保文氏から、創業3年目を迎えたファストメディアの現状について説明があった。導入数が200アプリほどにもなる「Yappli」だが、そのアプリのジャンルとしては、“ECの集客をしたい”“O2Oで店舗の集客をしたい”といった要望から7割が小売業、残りの3割はオウンドメディアやBtoBなど様々な使用目的を持った企業が導入しているとのことだ。

 更に、話題はアプリ市場の伸びについても及んだ。国内スマホEC市場が年30%の伸びを見せている一方で、アプリを経由したEC“アプリEC”の世界での伸び率は68%にもなるとのこと。スマホECの倍以上の伸び率だ。

 事実、「Yappli」を導入している株式会社バロックジャパンリミテッドでは、自社ブランド「AZUL by moussy」のECサイトの売上のうち40%がアプリを経由した売上となっている。このように、アプリの影響力は着々と強まってきている。

 そして、スマホの進化も止まらない。実は今回、「Yappli」はアップル社のiPhone7販売(iOS10へのアップデート)に合わせて、およそ50以上もの機能を追加した。そのなかで、「Yappli」を利用しているEC企業が特に注目すべき機能をいくつか紹介したい。

EC企業が注目すべき新機能、「Yappli」の進化を見逃すな

EC企業が注目すべき新機能、「Yappli」の進化を見逃すな

 まず、既に提供されている機能でEC店舗が注目すべきものは以下の3つとなる。

①ポイントカード連動機能
 実店舗、EC店舗でのポイントをアプリでためることができ、オムニチャネルの役割を果たす。

②セグメントプッシュ通知機能
 様々な条件で顧客を絞りこみ、それぞれの顧客に適したプッシュ通知を配信できるため、顧客に継続性を持たせ購買に繋げる。

③スクロールメニュー
 横にスワイプするとページが切り替わるため、スムーズにコンテンツ移動ができ、顧客にストレスを感じさせない。

新機能の紹介

 そして、今後追加される機能でEC店舗が注目すべき機能は以下の3つ。

①カゴ落ち、リマーケティングプッシュ通知
 商品が買い物かごに入ったままの顧客に対してプッシュ通知を送ることで、商品に気付かせカゴ落ちを防ぐなど、細かいコミュニケーションを取っていくことでECサイトの売上に貢献する。

②インフィード動画に対応
 EC業界でも、VRやARはさることながら動画によるマーケティングが注目されている。そうした業界全体の動きを見越し、UXを考えたインフィード動画に対応していく。

③ECサイトとのデータ連動・連携
 APIを利用することで、アプリ運用の手間を削減し、EC業務の人手を省いていく。

 そのほかにも、しっかりとアプリで顧客を囲い込みながら、EC企業が本来の業務に打ち込める環境を整える新機能が発表された。

 また、「Yappli」を利用するEC企業にとっては、CMS(アプリの編集や機能追加を行う管理画面)のアップデートも興味深いのではないだろうか。従来の「CMS2.0」は豊富なUIを備えていたが、逆にそれが複雑さも生み出していた。

 そこで今後、「CMS2.0」が「CMS3.0」へとアップデートされることにより、様々なサポート機能を備え、より作業が行いやすくなった。今まで「Yappli」はアプリ制作をメインとしていたが、これからはECサイトと様々な機能と紐づけたり、プッシュ通知の精度を高めたり、仕組みそのものを進化させていく。

 そして「Yappli Summit」の最後には、「Yappli」を利用し著しい成果を上げた企業を表彰する「Yappli Award 2016」が行われた。

アプリを駆使する企業を表彰「Yappli Award 2016」

「Yappli Award 2016」では、プッシュ通知の開封率が高かった企業に贈られる「ベストプッシュ賞」、アクティブユーザー数が多かった企業に贈られる「ベストアクティブ率賞」、アプリをダウンロードしてもらうための施策を数多く展開し、尚且つそれがユニークだった企業に贈られる「ベストプロモーション賞」が発表された。

・ベストプッシュ賞
株式会社ライトオン(以下、ライトオン)…「ライトオン公式アプリ」

 メルマガの平均開封率が約9.7%、「Yappli」使用アプリのプッシュ通知平均開封率が30.8%なのに対し、ライトオンのプッシュ通知開封率は51.3%となった。これは、メルマガ開封率の5倍の数字になる。

 ライトオンのプッシュ通知は、30文字以内でスマホ画面に完結な文章と興味をひくキーワードを並べたこと、プッシュ通知のテキストを補う画像を上手くアプリ内に挿入したことなど、工夫のみられる戦略が功を奏し、多くの顧客の興味をひく結果となった。

・ベストアクティブ率賞
株式会社バロックジャパンリミテッド…「AZUL by moussy」

 月間アクティブユーザー率が、主要ECサイト平均7.7%、「Yappli」使用アプリ平均29.6%なのに対して、「AZUL by moussy」は58.4%にもなった。これは、「AZUL by moussy」のアプリをダウンロードしている顧客が月1回はアプリを起動していることになる。

 「AZUL by moussy」は、店舗で使用できるポイントカードをアプリにも実装し、EC店舗、実店舗ともにポイントを利用できる環境を顧客へと提供したことがアクティブ率へと繋がった。また、アパレルであるからこそ、スクロールして閲覧するジャンル別ファッションコーデのページに最適なUIを用いることで顧客に支持された。

・ベストプロモーション賞
株式会社東京デリカ…「SAC'S BAR」

 「SAC'S BAR」はアプリダウンロードを促すべく、多くの店舗が行っているような、クーポンの配信、SNS告知などの戦略から、実店舗内でCMを流す、実店舗別オリジナルPOPを作成し店舗別QRコードを作るなど、他社ではみられない施策で非常に高い月間ダウンロード数を稼いだ。

 また、「SAC'S BAR」は全国におよそ650店舗展開しているため、実店舗ごとの施策でアプリのダウンロード数を競わせるなど、スタッフと一緒に盛り上げる取り組みが評価された。


 これからの時代、自社でスマートフォンアプリを持つことは特に注目されるだろう。“スマホファースト”という言葉も誕生し、インターネットを活用する場がパソコンからスマートフォンやタブレットへと移っている。こうした現状のなかで躍進し続けるファストメディアだが、今度はアプリを利用する顧客との接触を上げられるマーケティングツールとしてアプリが活躍できるようサービスを強化していくとのことだ。

 2017年、今以上にアプリへ注目が集まることは間違いない。スマホ等デバイスが進化するなかで、「Yappli」はどのように進化していくのだろうか。そして、EC支援企業にとってもアプリが脅威になる日は近いかもしれない。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事