CROOZ第2四半期決算発表、SHOPLISTの伸びを実感

ECのミカタ編集部

クルーズ、事業転換でECへ注力

 2016年11月11日、クルーズ株式会社(以下、クルーズ)が第2四半期決算を発表し、代表取締役社長 小渕宏二氏らが登壇した。

 クルーズといえば10月13日に、大幅な戦略転換したことが記憶に新しい。今までメインだったゲーム事業からECへと事業構造転換し、アパレルECモールの「SHOPLIST」にヒト・モノ・カネといった経営資源を集中させるという。そしてSHOPLISTを強化し、クルーズグループの新事業の創出を狙いM&Aを積極化する方針だ。

 一方のゲーム事業は、従来ハイリスクハイリターンの開発方式をとっていた。しかしそれでは不安定であるため、少数精鋭の体制で開発ラインを一本に絞り、ローリスクな開発方式に変更。それに伴い従業員も406名から約219名に半減するという。

 SHOPLISTとは、レディースからメンズ、キッズまで様々なジャンルのファストファッションアイテムがまとめて購入できるECのショッピングモールである。現在、このSHOPLISTの成長が著しく、見逃せない存在となっている。そんな中でSHOPLISTに注力すると発表したクルーズ。今後SHOPLISTはEC業界へどのような影響をもたらしていくのか、第2四半期決算から読み解いていく。

クルーズ「SHOPLIST」へ集中、ゲーム事業譲渡へ

第2四半期決算の詳細

第2四半期決算の詳細全社業績

 今回の決算は7月~9月の業績のため、ゲーム事業譲渡の影響などは含まれない。しかしSHOPLISTの伸びを感じられる決算発表となった。

 売上高は80億4,800万円、営業利益は7億、営業利益率は8.7%という結果になった。

 その中でコマース事業は47億2,800万円で、全体の半分以上を占めている。これは前年同期比で+31%、過去最高四半期売上を更新した。

 SHOPLISTと言えば最近テレビCMなどでも見かける機会が多い。宣伝費においては4億8400万円を投下、今後も継続的に大規模プロモーションを実施すると発表した。今後も認知度は確実に上がっていくはずだ。

 クルーズはSHOPLISTの中長期目標を、年間ユニーク購入者数500万人、1人当たりの年間購入金額20,000円と掲げている。現在の年間ユニーク購入者数は約130万人、1人当たりの年間購入金額は約13,000円である。また1人当たりの年間購入回数を現在の2.56回から4回に増やすという。

 500万人という数字は、日本に住む16歳~45歳の総人口約4,600万人の11%だ。年間ユニーク購入者数、年間購入金額の目標を達成することができたとしたら、SHOPLISTは日本のアパレルECモールにおいて、更なる圧倒的な地位を手にしているのではないだろうか。なお目標達成するには自社の物流システムを整える必要があるが、それについては現在整備段階に入っている。

変化に強い会社、クルーズ

 思い返せばクルーズは創業から15年で5回以上メイン事業を転換してきた歴史がある。その結果最高売上更新回数は13回。そして営業赤字の回数は0回。彼らは自社のことを“変化に強い会社”という。最も強い者が生き延びるのではなく、最も賢い者が生き延びるのではなく、唯一生き残ることができるのは変化ができる者だ、と。

 SHOPLISTの規模は1年目で22億円、現在は150億円だ。自社EC事業が伸びるとともに、着実に成長するBtoC EC市場の中で、ゲーム事業から舵を切りEC事業へ。この方向転換は、変化のスピードが速いEC業界の中で、速い経営判断と言えるだろう。SHOPLISTは今後大きく成長を遂げることになるだろう。“変化に強い会社”を再度実感することになるのだろうか。


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