【アリババ】2017年10~12月期決算を発表。「独身の日」の効果やいかに

ECのミカタ編集部

 アリババが2017年10~12月期決算を発表した。「独身の日」の効果などもあり前年比を大幅に越えてきた。ざっくりと各部門の数字を見ていきたいと思う。

 売上は前年比56%増の830.28億人民元(127.61億ドル)となった。基幹事業であるEC事業における売上は、前年度比57%増の732.44億人民元(112.57億ドル)となっており、「独身の日」の効果を実感する。

 大きな伸びを見せたのがクラウド事業。売上は前年比104%増の35.99億人民元(5.53億ドル)となった。規模は小さいながらも、引き続き大きな伸び率を見せている。

 デジタルメディアとエンターテインメントにおける売上は前年比33%増の54.13億人民元(8.32億ドル)で、イノベーション関連などの売上は、前年度比9%減の7億7,200万人民元(1.19億ドル)となった。

 中国の小売市場における年間アクティブユーザーは、2017年9月30日までの12ヶ月間で2700万人増加し、5.15億人に達したという。過去12四半期で最大の純増だ。2017年12月の中国小売市場におけるモバイルMAUは、2017年9月より3100万人増加し、5.8億人に達している。

長期的視点においても手を緩めないアリババ

 当期純利益は233.32億人民元(35.86億ドル)で、営業利益は259.96億人民元(39.96億ドル)という結果となった。営業利益率は31%とそこまで上がっていない。そこには投資での要因があり、10~12月期に物流サービスの菜鳥網絡を連結子会社にしていることに起因する。

 また、中国の大型スーパーを運営するサンアート・リテールに4割近く出資したり、生鮮食品スーパーの店舗網を拡大したりするなど出資を重ねた。これらは短期的には利益を圧迫する要因となるが、リアルとネットの融合をニューリテール戦略(新小売)として進めるアリババにとって、長期的な視点で見た時に有効であるということだ。

アントフィナンシャルの株式33%取得。加速する「ニューリテール戦略」

 また、アリババグループとアントフィナンシャルグループ(以下「アントフィナンシャル」)は両社間で2014年に締結した契約に基づき、アリババグループがアントフィナンシャルグループの株式を33%取得したと発表している。

 アリババとアントフィナンシャルが関係を深めることは、モバイル決済によるニューリテール戦略(新小売)を推進し、アリペイとの連携によるユーザーの獲得と維持の強化、グローバルな金融サービスの展開など、様々な点において、戦略的な利点をもたらすとしている。

 いまのアリババは向かった目標にロケットのように突き進む勢いがある。とにかく巨大資本を投じて「最強の小売」を目指しており、リアルとネットの垣根を、そして国境をも越えたシームレスな販売網を構築しようとしている。拡大する中国の市場を牽引するその勢いはまだまだ加速を続けそうだ。


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