EC業界News1週間まとめ〜ふるさと納税とECの可能性/モニプラファンブログに見るコミュニティの重要性

石郷“145”マナブ

こんにちは。
メディア編集部石郷です。

今週、読まれた記事はこちら。
■【速報】アマゾンがフルフィルメントセンターからの発送商品の配送料を最大1.5倍に値上げへ
https://ecnomikata.com/ecnews/18444/
■【第4回】お客さんの「教えて」に向き合うコトでアクセスも売上も伸びた
https://ecnomikata.com/column/18406/
■新婚・脱サラ→3度の倒産危機!崖っぷちEC運営から唯一無二の在庫管理システムを生み出した真実の物語
https://ecnomikata.com/original_news/18207/
■株式会社スタートトゥデイテクノロジーズ」が発足。ファッションは技術の力で変わるのか
https://ecnomikata.com/ecnews/18425/

アナログな地方の生産者に光を当てたさとふるの仕組み

 今のテクノロジーはいろんな可能性を秘めていて、例えば、地方の復興にも大きな力になれるんだな、と思いました。実は、先日、さとふるの青木さんと話をする機会があり、まさにそれを思いました。というのは、僕自身、ふるさと納税サイトの存在は知っていて、ここで地方の生産物を選び、寄付金を払って手に入れることは知っていたけど、その中身、実態というのはわかっていそうでわかっていませんでした。

 さとふるの話を聞いてみると、当然ながらさとふるが間に入って、地方自治体へとその金額を収める訳ですが、ここポイントなのはお礼品としてその地方自治体から送られる商品とその地方の生産者との関わり合い方なのです。さとふるから話を聞きわかったのが、生産者自体はネットに知見があるわけではないので、さとふるが配送業社に指示をして、生産者から生産物を回収し、その足で寄付者に商品を届けているのです。

 つまり生産者自体はさとふるから言われた数量を用意していることに注力し、誰に送られたかまではタッチしていません。これでにより、生産者が通常の生産に支障をきたすことなく、地方独自の生産物を全国に知らしめ、それが地方自治体にも大きな負担をかけることなく税金を納める形になって、活性化につながっていくというわけです。うまくできた仕組みだなと思いました。

 今ある環境で、今のテクノロジーを取り入れ、それぞれの持つ潜在的な可能性を最大化させるという意味では、今の時代の進歩がもたらした地域の復興策だと言えます。

楽天と釜石市の取り組みで地域復興策、この手があったかと。

 今週、楽天が釜石市と共に地域の復興策をしていくというニュースがありましたが、そのニュースを見ていて、僕が響いたのは楽天スーパーポイントの活用でした。楽天ペイとのタッチポイントを釜石市内に増やすことで決済の利便性が高まるだけでなく、そこで生まれるポイントや楽天市場で手に入れたポイントが消費行動を触発し、結果、その地域での活性化に繋がります。ECで培ったことがそのまま、地域経済の向上につながり、その街の活性化につなげることができるとしたら意味のあることだと思います。

 その上で、僕は思います。今回のさとふるや楽天の話との文脈で語るとすれば、その地域の価値を理解した上で、その地方独自の商品をやっぱりECというプラットフォームに乗せてその地域の人自らが発信していくべきだし、そう促していけたらと思います。先日、さとふるの青木さんや田中さんにまさに話したのはその部分で、せっかく全国津々浦々の生産者の思いを込めた生産物が世に示され、かつそれに興味を示す寄付者がいて、ニーズがあることがわかったとすれば、これからのさとふるの役目は、今の形での地域復興の立場からさらに発展して、この生産者をいかにしてネット通販へと導き、自らの手でもそれを販売できるようにしていける環境を作ることが大事なのではないかと。

 だから、僕は地方でも自分たちの価値がネットを通じて広めていかなければならないし、その為にはECに対しての理解を今一度、深める場が必要だと思っていて、今回、福岡で開催される「EC Nexus」の主催者と出会い、意気投合して、ECのミカタもそこで協力させていただくこととしして、EC業界をそういう視点からも盛り上げたいと思いました。別に宣伝するつもりもないですが、でも、そういう意志を持って、僕は協力させていただいているので、そういう動きが地域から広まればいいな、と心から思っています。

モニプラファンブログは思う以上にアットフォームだった

 それ以外では、ECのミカタ通信の中で、アライドアーキテクツの藤田佳佑さんに取材でお会いした時に、モニプラファンブログの話を聞いて、同社のイメージがガラリと変わりました(藤田さん、怒らないでね)。同社はデータ分析の印象が強かったのですが、モニプラファンブログが極めてアットホームで人間味のある「コミュニティ」を大事にするサービスだったからです。

 僕は昨年末からキーワードとして「コミュニティ」という言葉を重視しています。ネットが身近な存在となり、一人一人が情報発信できるようになった今、企業はこうした発信する多くの共感できるファンと密なやり取りをすることで、コミュニティを作ることができます。モニプラファンブログというと、商品のサンプルを提供して、その感想を書いてもらって、というイメージが先行しますが、僕が聞いていて思ったのは、その商品サンプルの提供はきっかけにすぎなくて、それをきっかけにして、ユーザーとの関係を構築するかに、大事な部分があるわけです。

これからの勝ち組は企業にファンとのコミュニティが作れるか

 発信するユーザーがそこで商品をフックに個人のブランディングをしながらも、その企業の商品の価値を伝えていく伝道者となり、ファンと企業のお互いがウィンウィンになるので活性化しやすい。しかも、そこでのファンと企業のやりとりは結果、社員の姿など企業の内面をも映し出しているので、そこに共感する人は結果、そのコミュニティの輪に加わることになって、このコミュニティ内の人には、「共感」というファンと企業との間に共通認識があるがゆえに、それが最大化して行きます。

 モニプラファンブログって、そのコミュニティのプラットフォームであり、これって、ネットでありながら、アナログだなと。藤田さんがヒューマニズムなんですと笑顔浮かべて話す姿に象徴されるように、人間味溢れるやりとりこそが何においてもベースであって、それこそが人の心を動かすのだと思いました。こういう動きは、ECのミカタ通信にも書きましたが、まさに1億総レビュー時代であり、一人一人が自分らしく生き、そこに様々な価値が生まれてくるんだと思います。

 最後に付け加えると、先ほど、最初に地域の話題を僕は触れましたが、まだネットを活用しきれていない地方の生産者は誇れる生産物を持っていますから、まずはそこに何人かでもその生産者に対してのファンが生まれてしかるべきだと思うし、一人一人の生産者のコミュニティが生まれるようにしてその文脈でECにトライしてもらえたら、今までその地方だけではできなかった素敵な体験ができるのではないか、と思っていたりもします。

 今日はこの辺で。
笑顔あふれる一週間でありますように。
また、来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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