EC業界News1週間まとめ〜レシートが金に変わるONEの発想は大企業にはできない/車移動無料にした企業の話

石郷“145”マナブ

こんにちは。
編集長の石郷です。
今週、読まれた記事はこちらです。

■【宅配クライシス】ヤマト運輸・日本郵便・佐川急便だけでは限界か
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■手持ちのレシートが現金にかわる?謎の多いアプリ「ONE」
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■中国人観光客が好きな「日本の好きなトコロ・モノ」【百度(Baidu)」調べ】
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■注目が集まるレシート現金化アプリ『ONE』 ”日本で唯一のAPI型本人確認”導入
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■ecbeing がECサイト構築ソリューション市場占有率No.1を獲得!
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レシートが金に変わるONEの発想はデータが重要なのを抑えているから凄い

レシートが金に変わるONEの発想はデータが重要なのを抑えているから凄い

 今週は、個人的には、ワンファイナンシャル(東京・六本木)が発表したアプリ「ONE」の話題に注目したいと思います。「ONE」って何?という方もいるかもしれません。
 「ONE」は、そのアプリをダウンロードして、レシートをスマホで撮影すれば、そのまま10円手に入るというもの。コンビニやスーパーの横にはレシート入れがあって、捨てていた人も少なくなかったのでは無いだろうか。これは、データの価値があること、データがどこで入手できるか、データをどうすれば落としてくれるかの三点を抑えている点で僕は着眼点が素晴らしいと思います。

 狙いはレシートにある購入情報であり、最終的に複数のレシートを撮影して溜まったお金を引き出す時に、個人情報を登録することが必要となっており、ここでその購買に関わる情報と個人の属性情報が紐づくわけです。今、ネットで言えば、ショッピングモールがスケールメリットを生かし、あらゆるサービスを複合的に使ってもらうことで、データを収集し、それを個人の情報と紐づけています。

 それはいずれ、レコメンドしたりして、その相乗効果を高めようとしているのだけど、この発想などを見ていると、力技に見えて、ちょっと旧時代の発想だなとさえ見えてきます。なぜなら、この企画の素晴らしさは、零細企業でもアイデア一つで、大量のビックデータを集められる仕組みを作っている点にあって、誰にでもアイデア次第でビジネスを生み出せる夢があります。

 何より、このアイデアは山内奏人さんという高校生が生み出しました。実は、この話題を聞いて、別のニュースを思い浮かべました。

車移動を無料にしたnommocの仕組みもデータ重視

車移動を無料にしたnommocの仕組みもデータ重視

 少し前にはなりますが、nommoc(ノモック、福岡市)という会社で提案されたもので、どこかに移動するのにスマホ一つで車を呼び出ししかも無料で目的地に行ける事業があり、それも、吉田拓巳さんという高校生のアイデアでした。

 こちらのアイデアは、ある意味、タクシーでお金を払って移動するという既成概念を打ち破るもので、これも同じくデータを重視したもの。無料とする代わりに、その移動車の中で移動中、そのターゲットに相応しい広告情報を表示して、そこで収益が得られるから、乗車するお客様はお金を払わなくていいというものなんですね。

 今までで言えば、移動の運転手の行為(目に見えるもの)に対してお金を払っていたわけです。しかし、ある意味、これは移動すること自体が価値を生むってことを証明しています。直感したのは、ああこれってメディアなんだなということでした。
 
 メディアというと本、雑誌、テレビ、スマホ、PCと考えるのはまさしく固定概念で、この発想に立てば、クルマもメディアとなるというわけです。僕はこれを聞いて、短距離のタクシーなどには有効だなと思っていて、隙間時間が短いほどに、することは限られますから、効果的です。例えば、YouTubeなどが良い例。

 そのほんの少しだからと言って見始めてどっぷり使っていたりすることを考えれば、何かしらの結果に結びつけることができそうです。

ECは売るだけ無く、お客様との関係値に重きを置く時代

 忘れ去られ捨て去られているものの有効活用なんです。レシートは捨てていたものだけど、また、移動時間というのを忘れ去られた時間だけど、そこに価値を与えています。昨今、データが販促に大きく結びついていることで、商売に切っては切れない存在になりつつあるから、一見すると価値のないものだったのを、どうにかそれらのデータに結び付けて、価値あるものに変えられないか、ということなんですね。となれば、裏側で、人々のデータに着地させることで、新たなビジネスチャンスが生まれます。

 店舗であれば、商品を提供することで、お客様からお金をいただく、そのことだけにお金の価値を感じていると思います。ですが、この事実でも分かる通り、目には見えないけど、購入いただいているお客様の情報自体に、それだけのお金に換えられるだけの価値を持っているということなんだと思います。

 そうであれば、店は勿論、商品を売って売上をあげることも目的ですが、物を買ってもらうことを通してどんなお客様に出会うかということに重きを置いても良いのかなと思いました。商品を販売することを手段と置き換えてみると、実は、本当の意味で、その店の将来像が見えてくるのではないでしょうか。

 というわけで今日はこの辺で。
笑顔溢れる1週間でありますように。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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