EC業界News1週間まとめ〜リアルとネットの融合の先には商品力の時代/売れる為ではなく一歩先ゆく企画力

石郷“145”マナブ

こんにちは。編集長の石郷です。
今週、読まれたのはこちら。

楽天と西友が共同して展開する新ネットスーパーがオープンへ
https://ecnomikata.com/ecnews/19581/
ECで自分の足にフィットした靴が手にできる『ロコメジャー』の無償提供が開始される
https://ecnomikata.com/ecnews/19721/
【速報】寺田倉庫、シェアリング特化の物流「minikura+」開始/企業に新たな価値と挑戦の機会を
https://ecnomikata.com/ecnews/19786/
顧客満足度の高いEC関連企業はどこか?2018年度JCSI第2回調査結果が公表される【JCSI調べ】
https://ecnomikata.com/ecnews/19746/

ネット通販はインフラになった。そこで大事なのは?

 今週、読まれたニュースを見ていると、買う部分でのマイナス面をカバーするロコメジャーの提供、スーパーマーケットの価値がネットの環境でも発揮される楽天西友ネットスーパー、新たなブランド認知や新規顧客開拓でレンタルという概念をプロモーションに活かしたり、ネットでの環境がよりリアルに近づいて、ある意味、ネット通販は人々の生活のインフラになってきていることを実感します。

 そうなってくるといよいよ、ネット通販をやっているということそのものは、店にとっての付加価値ではなくなってきますから、やはり結論は商品ということにたどり着くのかなと思います。たまたま、先週末、「ピーチ・ジョン」の取材をしていたのですが、今までのネット通販の店を取材しているのとは違った感覚を受けまして、それは、ある意味、商品メーカーとしてのカラーを強く感じたというところにあります。

  どうしてもネットというのは顧客からデータを得られやすいため、これを活用して商品を作るということは見れらる訳で、逆にこの会社でいうと、お客様の要望も踏まえて、商品を作るのだけど、自らアイデアを提案して、世の中に問うといった感じで、新鮮なのです。

 上はピーチ・ジョンのデータなのですが、20歳~39歳の女性10,353名に下着に関するアンケート調査で、40%の女性がノンワイヤーブラを日常生活で使用していることが分かりました。さらに、ノンワイヤーブラを使用している20~39歳の女性1,000名に絞り使用実態に関する調査も行い、58%の人が週に3日以上ノンワイヤーブラで過ごしているという。

 そこで、ノンワイヤーブラを提案するわけなんですが、そもそもこれは主に、アパレル企業などで顧客の幅を広げるために提案してきた商品であり、女性にしてみると楽だからこそ、ヒットしているわけです。ピーチ・ジョンにとってはデータとして他で売れているというものはあるけど、ただ、それを出すわけじゃないわけです。

 下着メーカーとしてこれまで蓄積してきたノウハウと技術をそこに投入して、楽さではなく、本当に大事な時にも使えるよう発想して、胸のラインをよくなるものを提案していくわけです。そうやって女性の日常を変えていこうと言う機運の中に商品があると思いました。売れているから同じものを売ろうというのではなく、そこにどれだけオリジナリティを出していけるかというところにファンが生まれているように思うわけです。これってネットにとらわれていない人にこそある特権です。

文化を作るために商品を作っている、そんな覚悟がPBにあるのか?

文化を作るために商品を作っている、そんな覚悟がPBにあるのか?履くだけで体幹筋が強制稼働するフィットネスサンダル。インソールが立体構造になっていて太ももからヒップに刺激を伝えるということで、結果を出そうというプランドゥらしいアイデアグッズ。

 数々のアイデアグッズを出しているプランドゥという会社の山中雅嗣社長ともそういうお話をする機会があって、「どんなものもアイデアの積み重ねなんですよ」というわけです。例えば、スマホを指差し、このガラスがあるから、スマホが作れた。このガラスもまたアイデアなんです。そのおかげで今の生活に欠かせないスマホがある。

 何気無く僕らが手にしている商品はアイデアの蓄積であり、アイデアで新しい生活シーン、大げさにいうと文化を作ることに、僕らが存在する意義があるじゃないですかと言われて、そうだなと思いました。なんのためにものを売っているかといえば、売れるためにものを売っているのではなく、お客様に新しい価値をどう作っていけるか、ということにある。申し訳ないが、ECサイトやも、大手ショッピングセンター系のPBの商品であまり、感動を覚えることはそれほど多くない。

 効率化の中で、時間をかけず、確実に売れる商品を作るのも重要。けれど、企業として商品作りでもそうですし、商品の仕入れでも、そういう「勝負」が大事なんじゃないかなとしみじみ思った次第です。ポリシーなきところに売れることはない、そんな思いもするし、まず第一にそれがあって、インフラとして、先に挙げた様々なツールや環境も生きてくるのではないかと思いました。

BEER BOUTIQUE KIYAに訪問!ビールの世界を堪能

 さて、今週は名古屋に行く機会があり、「BEER BOUTIQUE KIYA」の実店舗に伺ってきました。ここは、ベルギービールの通販専門店「ベルギービールJapan」というECサイトを運営する株式会社木屋のお店のようなもので、伺った際には、三輪社長も出て来てくれました。

 この場所には200ものビールが並び、それが棚に陳列されています。通常であれば三輪さん曰く、冷蔵庫の中で保管されることが多いようですが、それではビールの楽しさを演出できないと、室内を冷房を20度で一定に保たせて、そのまま陳列しているのです。

 それ故、ビールのラベルの面白さやそこに添えられたブランドの説明などでよりビールを売り物としてというよりは半ばミュージアム感覚で手に取り、楽しむことができます。

 ここに三輪さんのこだわりがあって、先ほどの話ではありませんが、ビールを売るというよりはビールの文化を伝えようとする姿勢に価値があると思いました。現に、この場所ではベルギービールなども飲むことができて、しかも注文するとベルギービールが一番美味しい専用のグラスでついでくれるので、本当にビールの奥深さを体験できます。こういう想いがバックボーンにあってこそのネット通販なのかと。

 以前、びっくりカーテン片岡さんの話を上げた時に書きましたが、やっぱりネット通販で採算性の高いものの売り方ができるようになったからこそ、実店舗のようなたとえ非効率でもお客様に深い感動を与える機会や取り組みは必要なのではないかと思います。それは商品企画そのものにも言えて、逆に言うと、商品企画でも非効率を思える挑戦でもお客様を思って作った商品を提案して行くことで、その店自体の価値が上がるのではないかと思ってみたりしています。

というわけで今日はこの辺で。
笑顔溢れる1週間でありますように。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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