キャッシュレス社会に向け、EC事業者がモバイルペイメントを導入しなければならない理由とは

西村 勇哉

国がキャッシュレスを促進している中で、多くの小売事業者の注目を集めているのがモバイルペイメントだ。その中でもECで利用できる決済方法として、多くの人に認知されているサービスがAmazon Pay、楽天Pay、LINE Payだ。

導入した方がいいという声を聞いたことがあるが、メリットがわからない、色々なサービスがあるがどれを導入すればいいかわからないという事業者も少なくないのではないか。

今回はそんなモバイルペイメントのメリット、それぞれのサービスの特徴を解説していく。

モバイルペイメントのメリットとは

モバイルペイメントを導入するメリットは機会損失やカゴ落ちを防ぐことができるスムーズな購買体験を提供できる仕組みだ。

なぜモバイルペイメントの導入が機会損失やカゴ落ちを防げるのか。

それはユーザー側の決済フローが非常に簡単になるからに他ならない。実際にクレジットカードのみのサイトとモバイルペイメントを導入しているサイトを使い比べていると一目瞭然なのだが、入力する情報に大きな差がでてくる。

単純なクレジットカードでの支払いだと、カード番号やメールアドレスといった個人情報の入力を細かく行う必要がある。このフローを煩わしく思うユーザーは非常に多い。特に初期購入の場合、新規IDやパスワード、住所入力など消費者側からしたら手間に思えるフローがより多くなってしまう。

実際にテスティーが2018年2月に20代男女に調査した結果を参考してみる。

Q:商品購入を断念した理由して当てはまるものを全てお選びください

この質問に対して約45%が決済、ID・PASS関連が理由で購入を断念した経験があるという。

このようなデータがある以上、購入完了までのフローを整えるのは優先度の高い業務なのだ。

そしてモバイルペイメントであれば、上記の課題に対して効果が期待できる。

例えばAmazonペイのアカウントを持っている人であれば、決済画面では最短2クリックで商品の購入が可能になる。すでに登録しているAmazonアカウント情報でのログイン、決済が完了するので、無駄な情報入力が必要なくなる。

楽天ペイ、LINE Payでも決済フローに大きな差はない。つまり、モバイルペイメントを導入しておけば、ユーザー側の個人情報やパスワードの都度入力する手間が省かれ、スムーズな購入が可能となるのだ。このスムーズさこそ今のユーザーの求めていることであり、CV率に大きな影響をもたらしているのだ。

スマホでの購入が増えているECにおいて、小さな画面でカード情報を毎回入力するのはストレスになってしまう、時代のニーズに則した決済方法なのである。

これだけの説明でもモバイルペイメントを決済フローに組み込むことの利便性はわかると思う。

キャッシュレスに関してのアンケート結果はこちら(楽天銀行調べ)
https://ecnomikata.com/ecnews/18544/

それぞれの違い、強みは?

メリットについてはおおよその理解ができたと思う。

ではAmazon Pay、楽天ペイ、LINE Pay、それぞれのサービスの違いはどこにあるのだろうか。

実際のところ、事業者目線だと手数料含め、大きな差がないというのが現状だ。では何をもって導入を決めるか。それは自社のターゲット層がどのデバイスを利用しているかで決まってくるだろう。

例えば楽天の利用者層は主婦層に多く、逆にAmazonの利用者層は男性の方が多いというデータもある。

またLINE Payはクレジットカードとの繋がりがなく、チャージ機能での運用になるのでクレジットカードを持っていない若年層に支持されている。(LINE Payカードは存在するため注意が必要)送金、割り勘機能などAmazon Payや楽天Payとは機能面はかなり変わってくるので他2つのサービスとはかなり違うサービスであることは理解しておく必要があるだろう。

自社商品がどのターゲット層に合うか確認をした上で導入を検討してみてはいかがだろうか。

手数料はクレジットカードより少し高いが、利便性を考えると今後、モバイルペイメントの普及は確実になっていく。

実際にモバイルペイメントを導入し、CV率が上がった企業は多くある。またそのサービス毎に強みも異なってくる。事例となるオススメの記事をいくつか記載しておくので、是非参考にしてみてほしい。

モバイルペイメントを導入し、CVRが8.7倍向上した事例
https://ecnomikata.com/original_news/12837/

モバイルペイメント導入3ヶ月で変わったこととは?
https://ecnomikata.com/original_news/17522/

業界最大級のカードブランドに対応できる楽天ペイ
https://ecnomikata.com/ecnews/19519/

台湾で最も人気なモバイル決済とは?
https://ecnomikata.com/ecnews/16698/

最近では株式会社Origamiが戦略発表会を行い、キャッシュレス化を促進していくために様々な施策を発表した。
https://ecnomikata.com/ecnews/20176/

素早い決断が事業成長の鍵に

確実にキャッシュレスの時代は近づいてきており、国も2020年のオリンピック開催に向けてさらなる普及を目指している。そしてキャッシュレス化の一端には、間違いなくモバイルペイメントは欠かせない存在になる。

自社への導入がまだ先のことと考えている事業者は、すぐに導入を検討し始めなければならないのではないだろうか。初期費用は基本無料のため、導入しやすいのもモバイルペイメントの特徴だ。

ユーザーへの快適な購買体験の提供、またキャッシュレス化への対応に遅れを取らないためにも、早めの導入検討をオススメする。


記者プロフィール

西村 勇哉

メディア運営事業部 編集チーム所属
見た目はヒョロイのに7歳から空手を習っています。
他にも水泳、サッカー、野球、弓道の経験有り。
たまにメルマガに登場しますが乃木坂46の話しかしません。
連絡先→nishimura@ecnomikata.co.jp

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