【越境EC】『中国向けライブ販売サービス』が開く小売の未来

ECのミカタ編集部

株式会社ロクトーナ(東京都渋谷区、代表取締役:三重野 将大)は、百貨店などの店舗から直接中国人に向けて商品販売・販促動画の配信と即時決済ができる、スマートフォン向けアプリ「淘宝網」(タオバオ、中国企業アリババが提供)のライブコマース機能を活用した「ライブ販売サービス」の提供を開始した。

インタラクティブな販売手法で売上に寄与

ロクトーナ社は、中国最大手のEC「淘宝網(タオバオワン)」のスマホアプリのライブコマース機能を活用して、インタラクティブなネット放送が可能となる中国向けライブ配信サービスを開始した。百貨店など小売店に同社の配信スタッフを派遣するスキームが特徴となっている。

同社では、一度の配信で多数のユーザーが視聴できるライブコマースの利点を生かし、店舗やメーカーの新たな売上につながる販売サービスを提供するとしている。

日本製品の良さを中国市場に発信

同社では、今回の新サービス開始に際して、百貨店など小売業界が置かれている厳しい状況を指摘する一方、日本の商品はその品質とコストパフォーマンスの良さが評価されており、中国を始めとする諸外国で未だに大きな需要がある点にも言及している。

そこで同社は、中国最大手のECプラットフォームのライブコマース機能を活用することで店舗やメーカーの売上に貢献できると考え、本サービスの提供に至ったのだ。

ライブ配信サービスの概要

ライブ配信サービスの概要

◆1.
同社から販売員を1~2名派遣し、店舗にて2~5時間程度で、数千~数万人の中国人視聴者に向けて商品の説明や金額などを伝える映像を生配信

◆2.
注文(決済)が入ったら、同社配信スタッフがその場で該当商品を購入

◆3.
事前の取り決め条件に従って、購入商品を弊社倉庫までお送りその後は我々が一括で中国へ配送

サービスのコンセプト

またサービスのコンセプトとして下記の点をまとめている。

◆1.
「販促支援」ではなく「商品販売」をしてその場で買い取り店舗売上に貢献

◆2.
円滑な配信が行える良質な販売スタッフの派遣

同社では、多くのインバウンドサービスにありがちな「宣伝やコンサルティングサービス」などの概念的サービスではなく、直接売上につながる販売サービスとして提供するとしている。

また販売スタッフは日本語で会話でき、他の顧客や店舗と良好なコミュニケーションができるができるよう養成してるとのことで、店舗には最小限のリスクと負担で実施可能なサービスとなっているとのことだ。

観光バス300台分以上の視聴者数に少数スタッフで対応可能

既に東急百貨店の貴金属コーナーや、茨城県など地方の百貨店、普段は通販専門の宝石といった様々なエリア・商品でライブ販売が実施されている。店舗にとっては来店者の少ない平日や、大型商戦期の年末年始などに、“観光バス300台分以上”にもなる数千~数万人の顧客が来店することと同等な集客を実現しているという。

それに対して1~2名の配信スタッフが赴くだけなので、店舗側の対応負荷が大幅に軽減できるということもあり多くの支持を集めているようだ。

また同社では、サービスの今後について、以下の3点を目指してプロジェクトを進めていく方針でいる。

◆1.
販売エリアと販売商品ジャンルの拡大による地域貢献

◆2.
ライブ販売以外での越境EC展開

◆3.
サンプリングサービスの提供

現在は東京都や茨城県を中心に、貴金属類、化粧品、健康商品、洋服、ベビーグッズなどを販売しているが、今後は販売の地域や頻度を拡大して新たな商品の販売を目指す計画だ。

また、既に同社で運営している中国のECモールにて、ライブを通して人気だった商品や店舗の担当者が推したい商品を販売して売上に貢献するとしている。さらに販売した商品の配送に同梱する形でサンプル商品配送サービスも提供し、特に2020年東京オリンピックに向けた中国人顧客を狙ったマーケティングリサーチに貢献していく方針だ。

中国の消費者が日本の製品に向ける視線は、引き続き熱いものがある、特にコスメや健康食品は高い人気を誇っている。ライブコマースはまさにライブでインタラクティブなやりとりの中でアイテムを販売でき、かつユーザー間でのクチコミの2次3次拡散も企図できる点で大いに利点がある。

また訪日観光客が日本で製品を購入してファンになり、帰国後もECを通して継続して商品を購入してくれるという、越境ロイヤル顧客の醸成の面でも相乗効果が見込める。

今後も、リアル店舗では苦戦が続く百貨店業界を中心に、越境ライブ配信は大いに注目されることになりそうだ。

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