【ヤマト運輸】12月の法人に対する出荷量を制限。働き方改革を推進

ECのミカタ編集部

 ヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区/代表:長尾裕)は、12月の繁忙期に備え法人顧客に対し声明を発表。出荷に関しての対応を求めている。

法人にも協力を求める動き

 ヤマト運輸と契約のない法人に対して、12月に当日出荷分として20個以上を発送する場合は、出荷予定日の1週間前までに、ヤマト運輸の担当窓口まで問い合わせるように呼びかけている。ヤマト運輸と既に契約を結んでいる法人についても、12月の出荷数量が通常期と比べ著しく増加する場合、事前にヤマト運輸の担当窓口まで連絡するようにと触れている。

 対象期間は2018年12月1日(土)~12月31日(月)の1か月間。

昨年は6%減、今年はどうなるのか

 例年12月はお歳暮やクリスマス商戦の影響で、宅配業界では荷物数が通常の月の約2倍に増えると言われている。16年12月、ヤマト運輸では単月で過去最高の出荷数を記録。一部で人手不足による遅配が発生し、従業員の長時間労働問題も浮き彫りになり、「宅配クライシス」として世間に認知されるようになった。

 これを受け、ヤマト運輸は17年春から荷受けを減らす「総量抑制」に着手するなど、「働き方改革」に力を入れてきている。2017年12月にも今回と同様の施策を法人に対しておこない、実際に出荷数は例年の6%削減したという。微力ではあるが、今年はより宅配業界の危機が認知されていることもあり、ますます削減されるのではないだろうか。

「働き方改革」の核心は企業の工夫と共にある

「働き方改革」の核心は企業の工夫と共にある

 かつては国内シェア約5割を誇っていたヤマト運輸。ヤマト運輸の「働き方改革」に合わせて、佐川急便も配達料の値上げや出荷受取数の制限に取り組んでいる。それでは、これまで2社に配達を依頼していた人たちはどうしているのか?一つ、考えられうるのが日本郵便の「ゆうパック」かもしれない。

 ゆうパックの出荷量は、2017年12月は例年の2割増を記録。ヤマト運輸や佐川急便が制限をかければ、そのしわ寄せは当然他の配達業者に向かう訳で、事の核心は決して解決しているとは言いがたい。

ECなりの配達で宅配の可能性を飛躍させる

 配達業界がここ数年で上記のような問題に直面している一つの要因には、ECの急激な発展も挙げられるだろう。現代に即したEC業界は今後も伸び続ける見込みだが、果たしてEC業界の発展と共に配達業界の悩みに応える工夫が求められそうだ。

 これを機に、テクノロジーを取り入れてスムーズな物流をおこなえる仕組みを作っている配達業者も増えてきている。もちろんヤマト運輸も、宅配ボックスの活用や、アプリの活用による再配達の不備を無くすなどの施策をおこなっている。

 ECの発展によって引き起こされた一連の「宅配クライシス」が、配達業界を奮起させ、また新たな工夫で飛躍させる契機となることに期待したい。


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