オートロック物件でも再配達軽減 OKIPPAのYper社が不動産会社など7社と共同で実証実験を実施

ECのミカタ編集部

置き配バッグOKIPPAを展開する物流系ITスタートアップのYper株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 内山 智晴、以下「Yper」)は、株式会社デジタルガレージ(本社:東京都渋谷区、代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO:林 郁、以下「DG」)が開催する不動産関連スタートアップを対象としたグローバルな育成プログラム「Open Network Lab Resi-Tech」を通じ、大手不動産・建設、ライフライン企業7社と8月2日(金)よりオートロックマンション向けOKIPPAの共同実証事業を開始した。

入館管理が行えるIoT製品「NinjaEntrance」

入館管理が行えるIoT製品「NinjaEntrance」

Yper社は、デジタルガレージ社が開催する不動産関連スタートアップを対象としたグローバルな育成プログラム「Open Network Lab Resi-Tech」を通じ、大手不動産・建設、ライフライン企業7社と8月2日(金)よりオートロックマンション向けOKIPPAの共同実証事業を開始した。

OKIPPAは、置き配バッグ(簡易宅配ボックス)とアプリで再配達ストレスをゼロにするサービスで、2018年9月中旬の発売開始から累計販売数は12万個を突破している。

置き配バッグは、通常の置き配(宅配物を玄関前にダンボールのまま置く方法)と堅牢な宅配ボックスの中間に位置し、スペースのない場所にも手軽に宅配ボックス環境を提供できる製品となっている。

玄関口に固定する専用ロックと内鍵(ダイヤル式南京錠)が付属しており、通常の置き配と比較し、盗難や個人情報漏洩のリスクを大幅に低減できるのが特徴。収納時は手のひらサイズまで折りたたみ可能で、設置工事は発生せず、女性でも簡単に取り付けが可能だ。

専用のOKIPPAアプリと併用することで、OKIPPAバッグに荷物が預入されるとアプリに通知が入ります。万が一、再配達になった場合も再配達依頼をアプリから簡単に完了することができます。盗難が心配な場合には、プレミアムプランの一つである東京海上日動と共同開発した専用の置き配保険(盗難補償)が利用可能です。2018年12月に日本郵便と共同で東京都杉並区1,000世帯において実施した実証試験では、再配達を約61%削減することに成功したとしている。

またエントランス専用のIoT製品「NinjaEntrance」とは、マンションなどのエントランスに設置するIoT製品だ。インターネットや携帯電話から遠隔操作でオートロックの解錠がおこなえ、一定期間有効なキーの発行や特定人物のみ入室を可能にする機能など、多彩な入退室機能を備える。

リアルテイムで開閉記録のデータを確認できるため、セキュリティ向上にも繋がります。2016年の提供開始から現在まで、200以上に及ぶ建物に導入されており、マンションや介護施設、工事現場など不特定多数の出入りが発生する場所で多く活用されている。

認証が完了した荷物及び配送員のみ入館が許可

認証が完了した荷物及び配送員のみ入館が許可

DGは2018年11月より大手不動産・建設・ライフライン企業とコンソーシアムを結成し、「Open Network Lab Resi-tech」を運営している。5G(第5世代移動通信)時代を見据え、人々の「暮らし」を豊かにするプロダクトやサービスを手がける有望なアーリー・ミドルステージ企業との共創に取り組んでいるところだ。

今回、DGとパートナー各社は、複数のパートナーが同時にスタートアップとの実証事業を進めることで、実証事業で確認する仕様の標準化に向けたリードタイムを短縮し、「ビル管理業務の人手不足」、「高齢者の見守り」、「再配達問題」等の不動産業界共通の課題解決を目指す。

今回の実証実験では、パートナー企業から提供頂く物件に、株式会社ライナフ(本社:東京都千代田区、代表取締役 滝沢 潔、以下「ライナフ」)のNinja Entranceを設置し、同社と共同開発した宅配物の認証システムの機能を検証する。

認証が完了した荷物及び配送員のみ入館が許可されるため、外部からの入館にもオートロックマンションのエントランスセキュリティを高く維持することが可能となる。

入館後は、玄関前に設置されたOKIPPAバッグに荷物を預入する。基本的な認証の仕組みは、Yperが昨年実施したオートロックマンションの実証実験で検証済みで、今回はよりシステム連携を強化し、住民の利便性の向上と配送効率の上昇及び配送負荷の軽減に関して検証を行う予定とのことだ。

今回の認証システムで解消可能な課題は、大きく以下3点だ

[1]
宅配BOX満杯問題/宅配BOXなしオートロックマンションの再配達

[2]
都度、外部インターフォンでの呼び出しによる配送時間の浪費

[3]
新築・既築マンションへの外部サービス(ネットスーパー配送、洗濯物代行、等)の連携

「物件の価値上昇につながる」

「物件の価値上昇につながる」

Yper社では今回の実証実験実施の背景として次のように語っている。

「最近のAmazonや楽天による置き配サービスの拡大により、再配達を削減する方法として、宅配ボックスやコンビニ受取りの他に、簡易の受取りインフラが注目を集めています。そんな中、オートロックマンションに関しては、エントランス外側に宅配ボックスがない場合、もしくは宅配ボックスが満杯の場合、再配達になってしまう問題が存在しております。また、配送物が大きく重い場合は、宅配ボックスに空きがあっても利用できない(クレームが発生する可能性があるため)場合も多くなっています。今回の実証実験では、エントランスにスマートロックを搭載することで既築マンションでも、建物のセキュリティを低下させず、配送員が建物内に入館して、指定の場所に荷物を配送することが可能になります。将来的には、宅配物だけでなく、買い物代行や家事代行など様々なサービスを物件に追加することが可能になり、物件の価値上昇に繋がるサービスになることを目指しております」

EC市場の生命線とも言えるラストワンマイルを支える宅配。そこでは再配達の頻発が課題となってきた。今回のソリューションでは、オートロックのある建物でもスムーズに入館管理が行え、その結果、セキュリティを維持しつつ再配達の軽減にもつなげることができる。今後、実証実験を通した実用化にも期待したい。


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