ジャパネットたかたに課徴金命令 エアコン価格表示、何が問題?
消費者庁は23日、エアコンの価格表示に不正があったとして、株式会社ジャパネットたかた(長崎県佐世保市、髙田旭人代表取締役)に対し計5180万円の課徴金納付命令を出した。何が問題視されたのか、ポイントを見ていく。
会員カタログで値引き強調
消費者庁が問題視したのは、2017年5〜6月にかけて配布した会員カタログや新聞折り込みチラシなどでの表示。
それぞれ、「ジャパネット通常税抜価格79,800円(79,800の上に大きくバツ線)」「2万円値引き」「さらに!会員様限定2,000円値引き」などと表示していた。商品はいずれもエアコンだった。
通常の販売価格は「通常」なのか?
今回の事案のポイントになるのが、広告に表示されていた通常の販売価格が本当に「通常」だったのか、という点だ。「通常の販売価格」が本当は低かったら、「お得感」をいかようにも演出できてしまうからだ。
ところが消費者庁によると、「ジャパネットたかた通常税抜き価格」等と称する価格は、ジャパネットたかたでは少なくとも相当期間販売されていなかった。これについては2018年に措置命令が出ている。
ジャパネットたかたによると、値引きの比較対象について「ジャパネット通常価格」と「同時期に展開する非会員価格」が適切考えていたという。一方消費者庁は、「ジャパネット通常価格」と「過去の会員価格」との比較であるべきだと判断した。
景品表示法第5条「不当な表示の禁止」
景品表示法は第5条で、「不当な表示の禁止」を規定する。
価格や商品の品質について、消費者を誤認させる表示をしてはならない。
たとえば、今回のように通常価格が実は「通常でなかった」とき。「期間限定」とうたいながら実はその期間を過ぎても表示した価格で販売しなかったとき。根拠がないのに、他社より自分たちの製品が優れているとうたったとき、などだ。
一方第8条には、事業者(今回の場合ジャパネットたかた)が表示について消費者を誤認させると気付いていなかった場合などは、課徴金納付命令の対象とならない、とある。
だが今回消費者庁は、ジャパネットたかたはこれにあたらないと判断した。ジャパネットたかた側がエアコンについて、広告に表示していた通常価格で売っていた根拠を示せなかったからだ。
ジャパネットたかた「真摯に受け止め、再発防止に努める」
ジャパネットたかたは企業HPで、以下の声明を発表している。
「2018年10月18日、消費者庁より景品表示法第7条第1項の規定に基づく措置命令を受けました。これに対しまして、2020年12月23日に消費者庁より課徴金納付命令を受けましたことをご報告いたします。
今回の納付命令を真摯に受け止め、引き続き再発防止に努めてまいります。なお、今回の納付命令は2018年10月に受けた措置命令に対しての課徴金納付命令となっており、新たに措置命令を受けたものではございません」
2020年はコロナの影響でくしくもECに参入する事業者が増え、競争も激しくなった。各モールで実施するキャンペーンで値引きを計画する事業者も多くなると予想される。「少しでもお得に見せたい」というのは事業者の真理。しかし消費者を誤解させるのは本末転倒であり、そうした行為を禁止するルールもあることを、改めて認識させられる事案だった。