【Zホールディングス決算】2021年度第1四半期の売上収益は、過去最高となる3,733億円(昨対比36.3%増)
Zホールディングスは、2021年度第1四半期決算の内容を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。
決算概況
当該第1四半期連結累計期間の売上収益は、2021年3月にLINE(株)を経営統合により連結子会社化したことや広告の需要回復等により、広告関連売上収益が大幅に伸長したこと、またアスクルグループおよび(株)ZOZOを含めコマース事業も堅調に成長したこと等により、第1四半期においては過去最高となる3,733億円(前年同期比36.3%増)となった。また調整後EBITDAは、増収およびLINE(株)の連結化等により、863億円(前年同期比11.2%増)となった。
各セグメント別の概況
◆メディア事業
2021年3月にLINE(株)を経営統合により連結子会社化したことに加え、広告の需要回復、プロダクト改善施策等により、メディア事業の広告関連売上収益は前年同期比で大きく増加した。特に、ヤフー(株)では検索広告を中心に前年同期比で増加し、LINE(株)ではディスプレイ広告を中心に前年同期比で増加した。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間におけるメディア事業の売上収益は1,484億円(前年同期比96.1%増)、調整後EBITDAは624億円(前年同期比76.9%増)となった。なおメディア事業の売上収益が全売上収益に占める割合は39.8%となった。
◆コマース事業
2021年3月にLINE(株)を経営統合により連結子会社化したことおよび(株)ZOZOが成長したことによるショッピング事業の増収に加え、アスクルBtoB事業等の増収により、コマース事業の売上収益は前年同期比で増加した。また、eコマース取扱高は8,172億円(前年同期比15.5%増)となり、うち物販系取扱高は、6,908億円(前年同期比5.7%増)となった。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間におけるコマース事業の売上収益は1,959億円(前年同期比11.8%増)、調整後EBITDAは354億円(前年同期比14.6%減)となりました。なおコマース事業の売上収益が全売上収益に占める割合は52.5%となった。
◆戦略事業
2021年3月にLINE(株)を経営統合により連結子会社化したことに加え、Fintech領域の売上が成長したことにより、戦略事業の売上収益は前年同期比で増加した。また、PayPay取扱高は、ユーザー数の拡大や利用頻度の増加に伴い決済回数が増加したことにより、1兆2,167億円(前年同期比65.2%増)と好調に推移し、ワイジェイカード・クレジットカード取扱高は6,866億円(前年同期比23.4%増)、PayPay銀行口座数は547万口座(前年同期比16.4%増)と着実に増加した。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における戦略事業の売上収益は283億円(前年同期比35.1%増)となった。なお戦略事業の売上収益が全売上収益に占める割合は7.6%となった。
LINEとの経営統合による効果が顕著に出た決算
このように、LINE(株)との経営統合等による広告・コマース事業の成長がけん引し、売上収益は第1四半期で過去最高となる3,733億円(前年同期比36.3%増)となり、調整後EBITDAは863億円(前年同期比11.2%増)となり、増収増益を達成した。
同社は、傘下の事業を「メディア・コマース・戦略」の3つに区分しているが、今回の決算内容からしても、LINEとの経営統合は、各事業においても際立った好影響を与えているのは明白だ。特に売上収益の39.8%を占めるメディア事業と、52.5%を占めるコマース事業への影響は顕著と言えるだろう。
またコマース事業ではヤマト運輸との連携や、アスクル買収による成果、またリユース分野での堅調などが示された。総じて今回の決算からも日本発の巨大デジタルプラットフォームとしての存在感が増していると言えそうだ。今後、米中などのデジタル分野での巨人にいかに対抗していくか、引き続き注目と言えるだろう。