VOCとは?マーケティングにおけるVOCの収集方法、分析のポイントを解説

ECのミカタ編集部

VOCとは?マーケティングにおけるVOCの収集方法、分析のポイントを解説

近年VOCの重要度が注目されています。以前よりもツールの発展などにより効率的に集めやすい環境になっており、複数チャネルから拾い上げていくことが大切です。競合他社との差別化を図る要因にもなるため、ぜひ一度分析をしてみてください。

VOC(Voice Of Customer)とは

VOCとは「Voice Of Customer」の頭文字をとったもので、日本語では「顧客の声」という意味です。VOCは、顧客がサービスや商品に対して感じている期待や不満などを聞き取り、改善に生かすことに使われます。しかし、このような取り組み自体は目新しいものではなく、昔からある手法です。なぜ今VOCが重視されているのでしょうか。

VOCが重視される理由


VOCが今重視されている背景には、主に3つの理由があげられます。

1つめは、テレビや雑誌などのマス媒体だけではなく、インターネットでさまざまな情報が入手しやすくなった結果、競合している他社と比較検討されることが増えたためです。顧客は得られる情報が増えたことによって、幅広い選択肢とニーズをもつようになりました。

2つめは、SNSの普及によって、口コミで商品やサービスの評価が拡散されやすくなったためです。SNSの普及以前は、一人の顧客が不満をもっていても情報が伝わる範囲は限られていました。しかし、SNS時代となった現代においては、一人のユーザーが悪い評判を書き込めば、全世界の人に影響を与える可能性があります。

3つめは、従来と比較してビジネスのサイクルが速くなっているためです。これまでは一度VOCを集めておけば後々もそのデータを活用し、商品やサービスの開発・改善に生かせました。しかし、ビジネスサイクルの加速にともない、つねにリアルタイムのVOCを拾い上げることが重要となっています。

VOC分析のメリット

VOCが重視されるようになったとはいえ、データを集めたり、分析したりするにはコストや時間がかかります。VOCにはコストやリソースに見合うだけのメリットがあるのでしょうか。

以下では、VOC分析のメリットを3つ紹介します。

買わない理由を明確化できる


ECサイトでは会員登録をしてから購入する仕組みがあるため、購入したユーザーの属性や理由を把握できます。しかし、そもそも購入しないという選択肢をとった顧客については、情報を得られません。

一方、VOCを集めていれば、購入に至らなかった理由を収集することも可能です。顧客の買わない理由を明確にできれば、購入者を増やす施策を検討する際に役立つでしょう。

潜在的なニーズを把握できる


ビジネスを成功させるためのポイントは、顧客のニーズに適切に応えることです。VOCは顧客のニーズを把握するうえで役立ちます。現代はSNSが普及したこともあり、顧客の声を集めやすい状況といえます。

また、集めた情報の量が膨大であってもITツールも発達しているため、高度な分析が可能です。高度なVOC分析によって顧客自身も気づいていない、潜在的なニーズを発見すれば、競合他社よりリードできる要素にもなるでしょう。

顧客満足度の向上に役立つ


悪評や不満は拡散されやすく、一度広まってしまうと抑えるのが難しくなります。そのため、顧客の不満をいちはやく吸い上げて解消していくことが重要です。

VOC分析は顧客の不満点を把握するうえでも効果的です。日常的にVOCの収集に取り組み、速やかに顧客の不満を解消できれば、悪評が広がることを防ぐと同時に、顧客満足度の向上にも期待できます。

VOCの収集方法

VOCを集めてみようと考えても、どのように収集すればいいのかわからないという方もいるでしょう。そんなときはVOCの収集手段をひととおりチェックしたうえで、自社の体制によって導入方法を検討するのがおすすめです。

以下では、代表的なVOCの収集方法について説明します。

電話・コールセンター


顧客が問い合わせできる窓口として電話やコールセンターがあれば、VOCを集められます。さらに電話では直接話ができるため、ほかの手段に比べて、より多くの情報を得ることが可能です。

会話の中で潜在的なニーズを探ったり、声のトーンや話すスピードから顧客の感情を伺ったりすできるのも電話ならではの強みです。また、電話をかける行為は強い動機がなければ行わないため、顧客の意見のなかでも「強い声」を集めるチャンスといえるでしょう。

メール・チャット・問い合わせフォーム


ECサイトやコーポレートサイトの多くは、メールアドレスや問い合わせフォームを設けています。近年ではより気軽に意見を伝えられるチャットを利用しているケースも増えています。

メールやチャットは、電話やコールセンターに比べて顧客の心理的なハードルが低く、多くのVOCを収集できる点が強みです。

また、コールセンターを設置する場合に比べて、コストがかからない点もメリットです。一方、テキストベースでのやりとりとなるため、顧客の心情を把握しにくい点はデメリットといえます。

SNS


最近では、多くの企業がSNS上に公式アカウントを開設しています。代表的なプラットフォームとしては、Instagram、Twitter、LINEなどです。SNSの公式アカウントに直接顧客からVOCが届くこともあるでしょう。

また、SNSアカウントをもっていれば検索機能やタグなどをもとに、自社製品についての書き込みをチェックできます。企業の窓口に直接問い合わせるほどでもない内容を書き込んでいることも多く、ユーザーの本音を知りやすいのが特徴です。

顧客アンケート


電話やメールの場合、顧客から「問い合わせ」というアクションが起こるのを待っていなければなりません。しかし、アンケートであれば企業側から顧客へアプローチできます。

さらに、質問の内容をアレンジすれば特定の製品やサービスについてのVOCを集められるため、目的に合わせて使える点も強みです。完全に匿名で実施するケースもありますが、年齢や性別などのユーザー属性をヒアリングすれば、より詳細なVOC分析が可能になるでしょう。

市場調査


市場調査は、すでに接点のある顧客に対して行うアンケートではなく、まだ自社製品やサービスを利用したことのない消費者に対してVOCを聞き取る方法です。市場調査の方法としては、電話やメール、街頭調査などがあります。

自社の顧客が特定の属性に偏っていたり、ニッチな需要に特化していたりする場合は、顧客からのVOCとはまた違った声をヒアリングできるでしょう。

ECサイトのレビュー


ECサイトでは、商品やサービスを購入後に使用感を書き込みしてもらうレビューを設けていることが多いでしょう。SNSの書き込みでは、実際に自社製品やサービスを利用したことがない人でも自由に発言できます。

一方、ECサイトのレビューであれば、実際に購入した人に限って書き込みしてもらえるため、購入者に絞ったVOCを集めることが可能です。

VOC分析の流れ

VOCは集めて終わりではなく、その後の分析を行ってこそ効果を発揮します。そのため、VOCの収集方法とあわせてVOC分析の手法も知っておくことが大切です。

以下では、集まったVOCを分析する流れを説明します。

VOC分析の目的を明確化する


はじめ、VOCを分析する目的をはっきりさせておくことが重要です。VOCを行う目的は、知りたい情報によって変わります。たとえば、代表的な目的の例は以下のとおりです。

● 他社製品と比べて自社製品の評判を知りたい
● 新サービス提供の際して現状のサービスの不満を集めたい
● 若年層向けの商品を開発するためにターゲットを絞った情報が欲しい

目的を明確化できると、どのような情報を集めるべきかについて検討しやすくなります。

VOCの収集方法・調査項目を決める


目的がはっきりしたら、調査の項目と方法、分析する手法を決めていきます。前述のとおり、メールやSNS、電話など、さまざまな手段でVOCを集めることが可能です。そのため、目的やターゲットに応じてどんな方法が適切かを検討します。

次に、集めたVOCを分析する方法も決定しておきます。簡単な集計や計算だけであればExcelでも十分ですが、顧客満足度や深層心理なども細かく分析したい場合には、VOC分析ツールを導入するのも一つの手です。

データを収集・分析する


VOCを集める調査項目と方法が決まったら、実際に収集する工程に入ります。VOCを集める際には、一つの方法に絞る必要はなく、さまざまな方法を使って集めた方が偏りのないVOCとして活用できます。

データの収集が終わったら、調査項目別に集計します。社内で分析を行う場合には、専任の担当者を決めたうえでデータ化のレギュレーションを作成しておくと、統一性をもってまとめられるため、活用しやすくなるでしょう。

分析結果を実務に活用する


分析結果は、活用目的に応じた部署へ情報として伝え、商品やサービスの開発・改善に役立てます。なお、VOCによる改善は一度だけではなく、VOCにもとづく結果を反映した商品やサービスについて、再度VOCの収集・分析を繰り返すのがおすすめです。

VOC分析においてもPDCAサイクルを回すことで、よりよい商品やサービスを生み出せるでしょう。

VOC分析の注意点

OC分析に取り組む際には注意すべきポイントがあります。具体的には、複数のチャネルから収集することと、目的に応じたVOCを収集することです。

以下では、それぞれのポイントについて解説します。

複数のチャネルから収集する


VOCを収集するには、さまざまな方法があり、それぞれ集められるVOCには特徴があります。たとえば、VOCを集めるスピードはSNSがもっとも早く、市場調査はある程度の期間が必要です。また、気軽に問い合わせができるメールやチャットは多くのVOCを収集するの適しており、電話は熱量の高いVOCを集められるでしょう。

収集方法によって集められるVOCには偏りがあるため、1つのチャネルのみを利用するとバランスをとるのが難しくなります。幅広いVOCを収集するには、複数のチャネルを活用するのがおすすめです。

目的に応じて重視すべきVOCを決める


複数のチャネルでさまざまな種類のVOCを集めても、量が多すぎて収拾がつかなくなってしまうおそれがあります。そのため、最初に決めた目的に合わせて、集めたVOCのなかから重視すべき項目をピックアップするのが重要です。

たとえば新商品のターゲットが若年層であれば、収集したVOCのなかから年齢をもとにピックアップします。新サービスの開発に際して、現状のサービスの不満を知りたいのであれば、クレームや要望などのネガティブなVOCをピックアップしなければなりません。

分析を始める前に、どのような種類のVOCを重視するのか決めておかないと、効果のある改善策を練られなくなってしまうと意識しておきましょう。

VOC分析を効率化できるおすすめツール

VOCの分析においては、データの量が膨大になることが多いため、専用のツールを使って行うのが効率的です。
以下では、VOC分析に使えるおすすめのツールについて紹介します。

見える化エンジン


見える化エンジンは、SNSや電話・メール・チャットからの問い合わせ、モニタ調査に対応したVOC分析ツールです。名称のとおり、データの可視化に強みをもっており、収集したVOCを目的に合わせて、ランキングやワードマップ、グラフなどに変換できます。

たとえば「生活者のトレンドが知りたい」や「顧客満足度の向上を目指したい」といったように、さまざまな目的に応じて活用できます。

運営会社:株式会社プラスアルファ・コンサルティング
URL:https://www.mieruka-engine.com/">https://www.mieruka-engine.com/
初期費用:要問合せ
月額料金:要問合せ

Re:lation



Re:lationは、メールや電話、SNSはもちろん、ショートメールやECサイトからの問い合わせも分析できるツールです。

顧客対応に関する管理画面はチーム全員で共有でき、10チャネルまで1画面で確認可能です。問い合わせに対応する従業員が抱えている案件、返信するまでの平均時間なども分析できるため、社内教育や業務改善にも活用できるでしょう。

運営会社:株式会社インゲージ
URL:https://ingage.jp/relation">https://ingage.jp/relation
初期費用:15,000円~
月額料金:12,800円~

MiiTel



MiiTelは、AIを搭載したクラウド型のIP電話です。営業、コールセンターと複数の用途に利用できます。クラウド型のサービスとなっているため、PCとヘッドセット、ネット環境があればリモートワークでも活用可能です。

顧客との通話内容は自動で録音・文字起こしして、テキストをもとに応対内容の要約までをワンストップで対応できます。自動で文字ベースの情報に変換できるため、VOCとして活用できます。

運営会社:株式会社RevComm
URL:https://miitel.revcomm.co.jp/jp/">https://miitel.revcomm.co.jp/jp/
初期費用:0円
月額料金:1IDあたり5,980円~

まとめ

商品やサービスを実際に利用・検討している顧客の声を聞き取るのは、ビジネスの基本です。インターネットやITツールが発展したことにより、従来よりもVOCを集めやすい環境になっており、VOCに対する向き合い方が競合他社との差別化を図る要因にもなります。複数のチャネルからVOCを拾い上げ、商品やサービスの改善を検討することが大切です。


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