国民生活センターが「消費者問題に関する2023年の10大項目」を公表 ステルスマーケティング規制もランクイン

ECのミカタ編集部

消費者問題に関する2023年の10大項目

独立行政法人国民生活センター(以下:国民生活センター)は2023年12月13日、「消費者問題に関する2023年の10大項目」を公表した。

コロナ5類移行から自転車のヘルメット着用努力義務化など幅広い項目が並ぶ

国民生活センターでは毎年、消費者問題として社会的注目を集めたものや消費生活相談の特徴的なものなどから、その年の「消費者問題に関する10大項目」を選定し、公表している。2023年の10大項目としては、以下の内容が並んだ。

◆新型コロナウイルス感染症が5類感染症に 旅行予約やチケット転売のトラブルが増加
◆18歳・19歳の契約トラブル 「美」と「金」がキーワードに
◆改正消費者契約法、改正特定商取引法が施行
◆ステルスマーケティング 規制始まる
◆ビッグモーター社の不正問題 中古車販売業界や損害保険業界のコンプライアンスに課題
◆旧統一教会をめぐる問題 国が解散命令を請求
◆訪問購入のトラブルが増加 8割近くが高齢者
◆自転車のヘルメット着用 年齢を問わずすべての人の努力義務に
◆子どもの誤飲事故防止のための玩具の新たな規制
◆消費生活相談デジタル化・体制の再構築

EC事業者にとって大きなトピックであるステマ規制について

今回公表された項目の中でも、ECサイト事業者にとって最も大きな関わりとなるものが「ステマ規制」に関するものだろう。消費者庁は、景品表示法第5条第3号に基づき、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を新たな不当表示として告示で指定。本告示は2023年10月1日から施行されており、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す、いわゆる「ステマ」が景品表示法で規制されることになった(※1)。

ステマは一般消費者の誤認を生じさせるおそれがあることから、商品等の選択に影響を与えることが問題視されてきた。今回、不当表示の対象となったことにより、違反が認められた場合は措置命令が行われる。

※1 関連記事:EC事業者は要チェック 消費者庁、2023年10月1日からステマ法規制開始発表

10大項目以外にもフィッシング詐欺や「〇〇ペイで返金します」の詐欺も

今回の「消費者問題に関する2023年の10大項目」には入らなかったが、2023年はフィッシング詐欺やキャッシュレス決済を通じた不正手口が多数発生した。

フィッシング対策協議会が調査したフィッシングレポート2023によれば、国内のフィッシングサイト数は、2022年上半期で約8万件だったのが2022年下半期で約22万件と著しく増加している。また内容としては「宅配業者(56.5%)」「ECサイト(54.9%)」「クレジットカード会社(44.8%)」が上位にあがっている。

一方、キャッシュレス決済を通じた被害については、ECサイトで購入後に商品が届かず返金のために決済アプリのサイトに飛び、いつのまにか送金してしまうパターンが多く、メルカリがユーザーに対して注意を促していた。

今後EC事業者は不正被害への対策を講じると同時に、消費者を混乱させてしまうおそれのあるステマに対してもしっかりと気を配る必要がある。これまで培ってきた信用を損なわないためにも、事例の確認から発生防止に務めなければならない。今一度不正被害手口の見直し、ステマ規制について再確認を行い、各方面へ周知する必要があるだろう。

※2関連記事:SMSやメールでのフィッシング詐欺相談が増加中 国民生活センターが警告
※3関連記事:「〇〇ペイで返金します!」は詐欺を疑って 国民生活センターが警告


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