【比較】楽天市場とAmazonはどう違う?出品・出店するならどっちがいい?

ECのミカタ マーケティング部

【比較】楽天市場とAmazonはどう違う?出品・出店するならどっちがいい?

日本国内において、大手ECモールとして知られる楽天市場とAmazon。どちらも集客力があり売上規模も大きいモールですが、いざ出店するとなるとどちらを選べばよいか迷いますよね。

本記事では、楽天市場とAmazonのビジネスモデルの違いや市場規模、出店・出品方法や手数料の違いについて詳しく解説します。

また、ユーザー目線の疑問にも回答します。よりユーザーから支持を得ているモールを選びたいECサイト運営事業者はもちろん、どちらのモールでショッピングをするか迷っているユーザーも、ぜひ参考にしてください。

楽天市場とAmazonのビジネスモデルの違い

最初に、楽天市場とAmazonのビジネスモデルの違いについて押さえておきましょう。

ユーザーとして利用していると、意識することはないかもしれませんが、楽天市場とAmazonのビジネスモデルは以下のように異なります。

  • 楽天市場:テナント型
  • Amazon:マーケットプレイス型

楽天市場は、自社の店舗を出店するタイプのモール、一方のAmazonは、商品を出品して売るタイプのモールです。

楽天市場とAmazon、規模はどちらが大きい?

次に、楽天市場とAmazonの規模について、3つの観点から解説します。

市場規模(流通総額)で比較

2022年の楽天市場とAmazonの市場規模(流通総額)は、以下のとおりです。なお、Amazonは流通総額の実績を公表していないため、円ベースの売上高からの推定額となります。

  • 楽天市場:5.6兆円
  • Amazon:6兆円

出典:

流通総額(取扱高)、従業員数|楽天グループ株式会社

アマゾン日本事業の売上高は約3.2兆円、ドルベースは243億ドル(前期比5.7%増)【Amazonの2022年実績まとめ】|ネットショップ担当者フォーラム

楽天は、モバイル事業の赤字が何かと取りざたされていますが、通販事業だけでみた場合、2022年12月期は前年比12.3%増と、推移は堅調です。Amazonは、あくまで推定額ではありますが、市場規模(流通総額)の面で楽天市場との差は、縮まってきていると予想されます。

会社の売上規模で比較

次に、会社の売上規模で比較してみましょう。

楽天市場とAmazonの2022年における売上規模は、以下のとおりです。なお、楽天市場は楽天グループ全体ではなく、楽天トラベルなどの国内各種EC事業を含む、インターネットサービス事業の売上高となっています。

  • 楽天市場:1兆859億円
  • Amazon:3兆1958億7600万円(1ドル=131円換算)

出典:

楽天グループ株式会社2022年度通期および第4四半期決算ハイライトに関するお知らせ|楽天グループ株式会社

アマゾン日本事業の売上高は約3.2兆円、ドルベースは243億ドル(前期比5.7%増)【Amazonの2022年実績まとめ】|ネットショップ担当者フォーラム

楽天市場は前年比8.7%増で、売上規模の面からも堅実に成長していることがわかります。

一方のAmazonは、前年比5.7%増で増収となりましたが、2016年から2桁の増収率が続いていたことを鑑みると、成長率は鈍化しているかもしれません。

市場シェアで比較

最後に、市場シェアでも比較してみます。2022年の国内ECサイト市場における楽天市場とAmazonのシェア率は、以下のとおりです。

  • 楽天市場:25.1%(日本シェア2位)
  • Amazon:28.2%(日本シェア1位)

出典:第4節 デジタル貿易|ジェトロ(日本貿易振興機構)

僅差で、Amazonのほうが市場シェア率は高くなっています。

しかし、米国ではシェア1位のAmazonと2位のウォルマートの差が32.5ポイント、イギリスではシェア1位のAmazonと2位のイーベイとの差が16.2ポイントです。そういったことも含めて考えると、日本のEC市場における楽天市場の健闘ぶりは、際立っているといってよいのではないでしょうか。

楽天市場とAmazon、出品・出店方法はどう違う?

次に、楽天市場とAmazonの出品・出店方法の違いについて解説します。

前述したように、楽天市場は自社の店舗を出店するテナント型、Amazonは商品を出品するマーケットプレイス型です。そのため、ECサイト運営を始めるまでの手順も、異なります。

楽天市場の出品方法

最初に、楽天市場の出店方法を解説します。

  1. WEBから出店を申し込む
  2. RMSアカウントが開設される
  3. 開店準備後、開店前審査を受ける
  4. 審査終了後、ECサイト運営スタート

初めにするのが、楽天市場のWEBサイトからの出店申し込みです。このとき、会社情報や責任者の情報を記載します。その後、2~4週間程度で、楽天市場の店舗運営システムであるRMS(Rakuten Merchant Server)のアカウントが開設されるので、カテゴリーページの作成や配送設定、商品登録などの開店準備を済ませましょう。

開店審査を受け、審査が通過すればECサイト運営のスタートとなります。

Amazonの出品方法

次に、Amazonの出品方法についてです。

  1. 出品用のアカウントを開設する
  2. 出品者のプロフィール設定をする
  3. 出品商品を登録する

すでにAmazonアカウントを持っている場合でも、出品するためには、出品用のアカウントを開設する必要があります。本人確認情報などの入力後、通常であれば、審査は3営業日程度で完了です。

審査後、事業者名や住所などのプロフィールを設定します。支払い情報や配送・返品に関すること、酒類や中古品を取り扱う場合の許認可情報も、この時点での登録です。

出品方法には、型番商品とオリジナル商品の2パターンがあります。すでにAmazonで販売されている型番商品の場合、同じ商品ページに「相乗り出品」ができるため、商品ページの作成は必要ありません。

Amazonに未登録のオリジナル商品の場合は、商品ページを作成して出品登録をおこないます。

楽天市場とAmazon、手数料はどう違う?

次に、楽天市場とAmazonの手数料について解説します。概要は以下のとおりです。

楽天市場

  • 登録可能商品数などに応じた3つのプランがある
  • 初期費用は全プラン共通で60,000円(税別)
  • プラン別の月額利用料やシステム手数料に加え、全プラン共通でかかる料金あり

Amazon

  • 販売点数に応じた2つのプランがある
  • 初期費用なし
  • 大口出品は月額利用料あり
  • 小口出品は商品が売れるごとにかかる手数料あり
  • 販売手数料プラス利用状況やオプションの追加によってかかる料金あり

わかりやすく、表にまとめました。

初期費用 月額利用料 システム手数料/販売手数料 その他
楽天市場 がんばれ!プラン (登録可能商品数5,000商品、画像容量500MBまで) 60,000円 (税別) 19,500円 (税別/支払いは年間一括払) 3.5%~7.0% (パソコンかモバイルかで異なる) 全プラン共通でかかる料金 ・楽天ポイント:楽天会員の購入代金(税抜)×付与率(通常1.0%) ・楽天スーパーアフィリエイト:アフィリエイト経由売上の2.6%~5.2% ・モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料:月間売上高の0.1% ・R-Messe:月額固定費 3,000円(税別)~ ・楽天ペイ利用料:月間決済高の2.5%~3.5%
スタンダードプラン (登録可能商品数20,000商品、画像容量5GBまで) 60,000円 (税別) 50,000円 (税別/支払いは半年ごとの2回分割払) 2.0%~4.5% (パソコンかモバイルかで異なる)
メガショッププラン (登録可能商品数、画像容量ともに無制限) 60,000円 (税別) 100,000円 (税別/支払いは半年ごとの2回分割払) 2.0%~4.5% (パソコンかモバイルかで異なる)
Amazon 小口出品 (販売点数が毎月49点まで) なし なし 商品1点ごとに100円のサービス利用料。加えて、8%~15%の販売手数料 両プラン共通でかかる利用料 ・利用状況によって、大量出品手数料、返品処理手数料 ・オプションプログラムとしてフルフィルメント by Amazon(FBA)、広告、有料アカウントサービスを利用する場合はその手数料
大口出品 (販売点数が毎月49点以上) なし 4,900円(税別) 8%~15%の販売手数料

※2024年2月現在

出典:

出店プランと費用|楽天市場

料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター | Amazon出品サービスの料金

ユーザーは楽天市場とAmazonのどちらを支持している?

ここまで、楽天市場とAmazonのビジネスモデル、出品・出店方法や手数料について解説しました。ところで、両モールのユーザー評価は、どのようになっているのでしょうか。

より確実なECサイト運営のためにも、ユーザーの支持を集めているモールを選びたいところです。本章では、「安心」「安さ」「早さ」という3つの観点から、楽天市場とAmazonの特徴を解説します。

「どっちが安心」で比較

ECサイトを選ぶ際、ユーザーにとって大切な指標の1つが「安心して利用できるか」「万が一トラブルがあった際に、丁寧な対応をしてもらえるか」です。世代やITリテラシーによる差はあるものの、顔の見えないECサイト事業者と取引をすることに不安を感じるユーザーは、一定数存在します。

楽天市場では、顧客対応をするのは店舗です。納品遅れや商品の配送ミスなどが発生した場合、ユーザーは商品を購入した店舗と連絡を取ることになります。

つまり、顧客対応の質は、店舗によって異なるということです。そのため、事前にショップレビューや商品レビューを確認するケースが多いといってよいでしょう。同一商品を同一価格で購入できるのであれば、よりレビュー数が多く、評価が高い店舗で購入しようと考えるのは当然ともいえます。楽天市場では、日ごろから丁寧に顧客対応をし、評価を上げることが大切です。

開店したばかりでレビュー数が少ないのであれば、レビュー投稿キャンペーンをおこなうのも有効です。レビューを記入したユーザーへのクーポン発行やプレゼントを実施することで、優良なレビューを集めやすくなります。

気をつけたいのは、レビュー内容の誘導や書き込みの強要は、楽天市場のガイドラインに抵触することです。発覚した場合、ペナルティを受けることもあります。

一方、Amazonで商品を購入した際にユーザーがやり取りをするのは、出品者ではなく、モールとしてのAmazonです。窓口が一本化されているため、顧客対応が店舗によって異なるということはありません。そのため、安心感を持つユーザーも多いようです。

「どっちが安い」で比較

次に、楽天市場とAmazonではどちらが安く購入できるかを、ユーザー目線でみてみましょう。楽天市場とAmazonでは、同一商品でも価格が異なることがあります。とはいえ、単純に価格だけで比較することはできません。

楽天市場では、商品を購入すると、ポイントが付与されます。店舗によっては、店舗独自のポイント倍率を設定しているケースもあり、楽天市場の魅力の1つといってよいでしょう。

また、「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」、毎月5と0のつく日に開催される「楽天カードの日」、「楽天SPU(スーパーポイントアッププログラム)」といった楽天市場の施策をうまく活用すれば、さらにポイント倍率を上げて買い物をすることも可能です。

さらに、楽天証券や楽天ひかり回線など、楽天の別事業のポイントも貯めることができます。そのため、楽天関係の利用が多いユーザーは、楽天市場を選択する傾向が高いようです。

一方のAmazonは、すべての商品がポイント付与の対象にはなるわけではありません。しかし、ポイントが貯まる期間限定セールのほか、プライム会員限定の「プライムデー」「プライム感謝祭」や、「Amazonブラックフライデー」といった大型セールが年に数回開催されています。

また、年会費を支払ってプライム会員になれば、送料は無料です。

送料でいうと、楽天市場は、3,980円以上を送料無料ラインとして設定しています。ただし、対応していない店舗もありますし、同時に複数の商品を購入した場合、同一店舗の利用でなければ、店舗ごとに送料がかかるので、注意が必要です。

「どっちが早い」で比較

最後に、商品が届くまでの「早さ」の観点から比較します。

楽天市場の場合、商品到着までの日数は、店舗によってばらつきがあります。理由は、楽天市場では、店舗ごとに梱包・発送作業をおこなっているからです。

商品が翌日に届く「あす楽」というサービスもありますが、「あす楽」を実施しているかどうかは、店舗や商品、届ける地域によっても異なります。すべての商品が、「あす楽」に対応しているわけではありません。

Amazonの場合は、プライム会員であれば、多くの商品で「お急ぎ便」が利用できます。都市部であれば、午前中に注文した商品が、その日のうちに届くケースも少なくありません。

また、Amazonの商品はAmazonの倉庫から配送されることが多く、異なる店舗で購入した商品であっても、まとめて梱包されて届きます。この点も、Amazonの強みといえるでしょう。

楽天市場やAmazonへの出店を検討の方は、コンサル・代行会社への相談も有効◎

本記事では、楽天市場とAmazonに出店する場合の手続き方法や、特徴・違いについて解説しました。

楽天市場もAmazonも、それぞれに強みや魅力があります。自社の状況や将来の方向性、販売する商品を総合的に検討して、どちらに出店するかを決めるとよいでしょう。

もし、資金や人材といったリソースに余裕があるなら、楽天市場とAmazonの両方に出店することも方法です。幅広いユーザーを獲得し、売上の向上につながるでしょう。

このように、出店先モールは、客観的な視点をもちながら慎重に選ぶことが大切です。とはいえ、どちらにしたらよいのか、決めかねることもあるでしょう。

そんなときには、モール出店の知識が豊富なコンサル会社や、出店後の運営サポートを手がけるECサイト運営代行会社に相談することをおすすめします。適切なアドバイスにより、自社に合ったモールを選ぶことができます。

ECのミカタでは、ECサイトの運営で感じている課題をプロのコンシェルジュに相談でき、そのうえで自社の希望に合ったアウトソーシング先と出会えます。

事業は、モールに出品・出店して終わりではありません。自社に合ったモールを見極め、できる限り良い売上と収益を目指しましょう。