機能性表示食品、購入動機と理解度にギャップ【トレンド総研】

消費者は食品成分への反応を示すが、情報について理解できているかは議論の余地

トレンド総研(東京都渋谷区)は、「消費者の食品・飲料の購入動向」に関する調査を2015年4月21日から22日までの期間、20〜50代の男女500名を対象に実施し、2015年4月の機能性表示食品制度スタートから約2ヶ月が経過したタイミングに合わせ、その結果を6月3日に発表した。

機能性表示食品制度の目的としては、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者がそうした商品の正しい情報を得て選択できるようにすることが掲げられているが、機能性関与成分を含む、多種多様な「成分」の中で、消費者が実際にどの程度それらの情報について理解ができているのかどうかは議論の余地を残す。そこでトレンド総研では、消費者が食品・飲料を購入する際にどのような情報を注視しているのか、また、「成分」にどの程度購入意欲などが左右されるかについて調査を実施するに至った。以下は調査結果からの抜粋。

実際に店頭で食品・飲料を購入する際に注視している情報を調べたところ、「価格」(68%)や「容量」(35%)、「メーカー」(34%)などの基本情報に続き、「含有成分の種類」を注視する人が29%と約3人に1人、「含有成分の量」についても17%が見ていることがわかった。実際に、パッケージなどに表示されている「成分」の種類や量がきっかけとなって、食品・飲料を購入した経験がある人は71%に上り、消費者が食品・飲料を手に取る際に、「成分」が与える影響は大きいと言える。また、購入したくなる「成分」については、「ビタミンC」(62%)が1位。「カルシウム」(42%)、「食物繊維」(42%)、「鉄(鉄分)」(40%)、「ポリフェノール」(31%)なども上位に並び、主要ビタミン類に加えて、様々な成分が購入のきっかけと答えている。

この結果をふまえ、これらの「成分」について、含有量が多い野菜・果物やその働きについて理解できているかどうかを聞くと、「理解できている」と回答したのはわずか25%。75%と4人に3人が「理解できていない」と答え、「成分」を打ち出した食品・飲料が今後ますます増えていくと想定される中で、消費者の理解はまだ乏しい状態であることが、改めて明らかとなった。

この結果についてNPO法人 青果物健康推進協会 事務局長の近藤 卓志氏は、「日本人は“ブーム”に弱く、影響されやすい側面があるため、瞬間的にその野菜・果物に注目が集まる。ただし、それはあくまで“ブーム”にのっているだけで、本質的にはその野菜・果物に含まれる「成分」や、その働きを理解しているわけではない。機能性表示食品制度のスタートは、時期尚早であったと考える。」と述べている。

機能性表示食品制度の消費者庁への届出は、受理後60日に販売が開始できるので、間もなくこれらの商品が店頭に並ぶ。機能性表示が購入のきっかけとなるのは、調査結果から判るが、EC事業者は、消費者への成分の効果や働きに関する理解のための情報提供も行っていくべきではないだろうか。