ヤマト、仏国で実績のロッカー上陸!佐川も受取可

ECのミカタ編集部

 本日、ウェスティンホテル東京にて、フランスで郵便事業における実績をもつネオポスト傘下のネオポストシッピングと、ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)が記者会見を行い、オープン型宅配ロッカーネットワークを構築し運用するための合弁会社「Packcity Japan株式会社(以下、Packcity Japan)」を設立したと発表した。

”再配達”解消へ、ヤマトが起こす物流革命

 今回、Packcity Japanは、ヤマト運輸の荷物のみならず、ロッカーの列単位で、佐川急便株式会社や日本郵便株式会社など他社の”再配達”の荷物をも受け取ることができるオープン型ロッカー「PUDO station(Pick Up & Drop Off station)」の展開を公表した。

「PUDOstation」は、既にネオポストによりフランスにて利用されているが、今回再配達の問題を解決すべく、日本国内での導入が開始されることとなった。

「PUDO station(Pick Up & Drop Off station)」

 従来の宅配ロッカーであれば、一つの宅配会社につき一つのロッカーであったが、今回の両社の取り組みは、物流業界の歴史を変えるものとなりそうだ。なお、現段階では、”再配達”分の荷物のみ受け取ることが可能で、通常配達分の荷物を受け取れるようになるのはこれからということだ。

 Packcity Japan設立について、ヤマトホールディングス株式会社 代表取締役 山内雅喜氏は以下の通りコメントした。

「日本のライフスタイルは大きく変化しています。それは、購買の場が実店舗からECへと遷移していることからも感じられるはずでしょう。EC市場が拡大していくことに伴って、物流業界では”再配達”という問題が浮上していますが、そのような問題を各々の会社だけで解決していくことには限界があります。

 ですので、これからは会社という垣根を越え、業界内で手を取り合って”再配達”の対策をしていくことが大切であると感じ、合弁会社の設立及びオープン型宅配ロッカー「PUDOstation」の展開発表を行いました。今後は、複数の事業者様が共同で利用できる、”オープン型ネットワーク”を構築していくことを目指します。」

 ヤマト運輸と鉄道会社の調査によると、宅配ロッカーの利用者は21時以降に荷物を引き取る傾向があるが、これは宅配業者の就業時間を過ぎている。そして、宅配ロッカーに配達される荷物の多くはECの荷物で、面白いことに木曜日と金曜日に荷物を引き取る利用者が多いのだとか。この結果に対し、ヤマト運輸代表取締役社長 長尾 裕氏は、「利用者が休日に荷物を受け取る時間を設けたくないという気持ちがあるのでは」と推測した。

 そして宅配ロッカー利用者は、3割もの人がリピーターとなっている。宅配ロッカーのニーズは確かなもので、「PUDOstation」が普及すれば、利用者にはより利便性を感じてもらえることだろう。

 今後、「PUDOstation」は、公共交通機関やコンビニ、スーパーマーケットや駐車場などへの設置を想定し、2022年までに約5000箇所以上への導入を目指すとのこと。

 物流業界では、業界内での人口減少が問題視されている。国土交通省の調査によると、年間配達される荷物のうち約2割が再配達の対象になっているとのことだ。オープン型のロッカーはユーザーが好きな時に好きな場所で利用できるため、一度で確実に荷物を受け取ることができ、”再配達”問題の解決につながるだけでなく、経済面や環境面から考えても社会全体の問題解決につながるととらえることができるだろう。
 
 今回の、ヤマト運輸による、業界内に革命をもたらすようなこのような取り組みが、今後どのように広がっていくのか注目である。


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