ヤマト運輸、地方バスを配送に生かし地域再生

ヤマト運輸と宮崎交通連携!

 宮交ホールディングス傘下の宮崎交通株式会社(以下、宮崎交通)とヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)は 関係地方自治体と連携して、本日6月1日より、宮崎県の県北に位置する延岡市-高千穂町、 諸塚村-日向市を結ぶ2路線で「客貨混載」を開始したことを発表した。

 連携した地方自治体は宮崎県、 延岡市、 高千穂町、 日之影町、 諸塚村、 日向市及び美郷町である。この宮崎交通とヤマト運輸の取り組みは、過疎化や高齢化が進んでいる地域においてバスの路線網を維持すること、物流を効率化することによって地域住民の生活サービス向上を目的としている。

そもそも客貨混載とは

 客貨混載とは人と貨物を同じ車両で運ぶことや、お客様を輸送する際に一緒に貨物も運ぶことである。具体的な施策の内容としてバスに宅急便を積載するため、中央部に荷台スペースを確保した路線バスを計4台、2路線で2台ずつ導入する。またラッピングも工夫して客貨混載専用のバスと分かりやすいように「ヒト・ものハコぶエコロジーバス」とラッピングしている。

 元々2015年10月に宮崎交通とヤマト運輸は西都市-西米良村を結ぶ路線バスにて、宅急便を輸送する「客貨混載」を開始している。その際も過疎化や高齢化が進む中山間地域におけてバス路線網の維持と物流の効率化することによる地域住民の生活サービス向上に取り組んできた。結果、中山間地域のバス路線網が維持され、ヤマト運輸のセールスドライバー(以下 SD)が地域に滞在する時間が増えた。つまり時間が増えたことにより集荷締め切り時間が延長し、地域住民からは好評を得て成功を収めた。

 しかし宮崎県の延岡市・高千穂町・日之影町・諸塚村・日向市・美郷町でもやはり過疎化や高齢化が進んでおり、バス路線網の維持が難しく、生活サービスを向上することが課題になっていた。その課題を解決するために西都市・西米良村と同じく延岡市-高千穂町、 諸塚村-日向市を結ぶ2路線で客貨混載を開始する運びとなった。更に今回高千穂町から県内への当日便の提供も開始する。これにより地域住民への生活サービスもより向上していくだろう。

メリットばかりの支え合うサービス

メリットばかりの支え合うサービス図:延岡市-高千穂町を結ぶ路線バスで宅急便を輸送

 この宮崎交通とヤマト運輸が連携し、客貨混載を行うことには地域住民はもちろん、宮崎交通もヤマト運輸もメリットがある。

 まず地域住民にはバスの路線網が維持されることによって、安定的に利用することができる。そのため病院やスーパーなど生活に必要な多様な施設へアクセスできるため、 生活基盤の維持・向上につながるだろう。また高千穂町から県内全域、 延岡市から高千穂町へ宅急便を当日中に送ることができるようになる。さらにヤマト運輸のSDが諸塚村と美郷町に滞在できる時間が増えるため、当日発送の荷物の集荷締めきりが15時から17時、と2時間も延長されるため、余裕を持って荷物を預けることが可能になるだろう。
 
 宮崎交通としては路線バスの空きスペースで宅急便を輸送することによってバス路線の生産性が向上する。そのためバス路線網の維持につながるような新しい収入を確保し、また新たに地域住民へよりよいサービスを提供できるようになる。

 ヤマト運輸は今まで延岡市から高千穂町まで荷物を配送するのに約50kmかけてトラックを運転していたが、その距離が約10分の1になる。それによりCO2排出量の削減にもつながるのだ。また、 諸塚村と美郷町を担当するSDが地域に滞在する時間が今までよりも大幅に増えるため、 地域のお客様からの要望に対し柔軟に応えることができ、サービスの満足度も向上する。ヤマト運輸のイメージアップにも当然繋がってくるだろう。

 今回の客貨混載の取り組みは、ヤマト運輸にも宮崎交通にも地域住民にもメリットがあるため、互いが幸せになれる。そして配送が地域を支え、地域が配送を支え、配送と地域が日本を支えることができる、そんな明るい未来のサービスなのではないだろうか。