アスクル、決算発表。初の売上高3000億円突破へ

利根川 舞

ASKULとLOHACOが大きく貢献か

 アスクル株式会社(以下「アスクル社」)が平成28年度5月期の決算短信を発表した。売上高はアスクル社の主力分野である「ASKUL(アスクル)」、成長分野である「LOHACO(ロハコ)」がともに伸長。また、連結子会社化した株式会社エコ配の売上高が寄与し、事業開始以来初となる3,000億円突破の3,150億24百万円(前期比13.8%増)、営業利益は85億17百万円(前期比24.4%増)となった。

 Eコマース事業においての営業利益は前期比29.4%増加の90億7百万円。その中でも、「ASKUL」や「SOLOEL ARENA」など、オフィス用品や現場用品などを販売しているB to B事業ではユーザー数の増加に加えて、ビッグデータを活用したマーケティング施策が功を奏し、ユーザーの購入点数が増加。売上高は前期比で234億27百万円増収の2,785億52百万円(前期比9.2%)に。

 次期に関しては戦略分野と位置付けている工場・建設現場・研究所、医療・介護施設等むけの取扱商品数が拡大し、堅実な成長を見込んでいることから、B to B事業の売上高は2,950億円(前期比5.9%増)を予想している。

 一方、ヤフー株式会社(以下「ヤフー」)と業務・資本提携契約を結んで運営している個人向け通販の「LOHACO」はテレビCMやメーカー協賛による販促などのブランド認知度を高めるための施策や、ヤフーと連携した販促ポイント増額の施策など、新規ユーザー獲得を強化した。その結果、売上高は前期比で129億1百万円増収の328億45百万円(前期比64.7%増)となった。

 取扱商品数のさらなる拡充を図るとともに、ブランド認知度の向上施策によりユーザー数の増加を見込んでいることから、次期の「LOHACO」の売上高は480億円(前期比46.1%)を予想している。

 世界基準の成長を目指し、ECテクノロジーを強化させていくというアスクル。ビッグデータやAI、ロボティクスなどの積極的に導入しているがそれらがきっとアスクルの成長スピードを加速させていくに違いない。

注目の「LOHACO」今後の動向は?

注目の「LOHACO」今後の動向は?

 次に、アスクルが注力している「LOHACO」の動向について見てみようと思う。

 主にパソコンでのテキスト検索などにより、「嗜好品を単品買いするロングテールのEC」から、スマートフォンなどで眺め買いをする「いつでも、どこでも、日常使いのEC」という、第二世代のECを目指す「LOHACO」。6月よりさらなる認知度向上策を実施しており、新しいテレビCMの放送や電車内での広告掲載などを行っている。

 6月の末には「LOHACO」で購入した商品を、欲しいときに時間の無駄なく受取ることができる新受取りサービス「Happy On Time」が8月末から本格始動することを発表(東京都内5区、大阪府3区)。

 「Happy On Time」は「1時間単位ご指定」、「30分単位のお届け予定」、「10分前の直前おしらせ」という、小刻みな時間帯での受取時間指定、配達時間の通知が行われるサービスだ。

 これまで東京4区および大阪1区にて試験的に導入されており、東京都江東区では宅配された商品が受け取られなかった「不在率」が6%という数値になった。国土交通省が発表した不在率が23.5%であるのに対して、約4分の1ということで、再配達の現象が見込まれる。

 また、「LOHACO」では人口知能型チャットボット”マナミさん”を導入しており、24時間365日問い合わせに対応できる体制を構築しており、現状全お問い合わせの3分の1をマナミさんが対応。省人化効果は6.5人分となっている。マナミさん導入により、高度な問い合わせ対応に注力できる様になり、ユーザーの満足度向上につながっている。

 「LOHACO」の新受け取りサービスなど、先行費用として7億投下するなど、アスクルとしても注力している「LOHACO」。ユーザーの満足度向上など様々な取り組みを行っているが、先行投資されたものをいかに回収し、アスクルの業績を今後どの様に牽引していくのかに注目である。

「LOHACO」が支持される理由とは…?


記者プロフィール

利根川 舞

メディア編集部
ロックを聴きつつ平安時代に思いを馳せる文学人間。タイムマシンができたら平安時代に行きたいです。
ライブハウスやフェス会場に出没しては、笑って、泣いて、叫ぶ姿が目撃されている。ACIDMANや10-FEET、ROTTENGRAFFTYが大好き。

サービスやその場の雰囲気がイメージしやすくなるような記事を書いていきたいと思います。

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