キャッシュレス・ポイント還元事業を利用するために必要なことを徹底解説
消費税が10%に増税されるに伴いスタートした、【キャッシュレス・ポイント還元事業】。多くのEC事業者に関わる重要な施策であることをご存知ですか?
実際、すでに多くの事業者は情報を集め、対策していると思います。しかし、複雑に聞こえるのもまた事実です。キャッシュレス推進協議会の福田氏に、キャッシュレス・消費者還元事業、これからのキャッシュレス決済についてお伺いしました。
キャッシュレス・ポイント還元事業って何?キャッシュレス推進協議会ってどんな組織?
キャッシュレス・ポイント還元事業とは、2019年月から始まる消費者及ビ事業者向けの政府施策です。
2019年10月から2020年6月の期間、買い物をする際の対象となるキャッシュレス手段で支払った場合、消費者に最大5%のポイントが還元されるようになります。キャッシュレスというのは現金を使わないという事。クレジットカードや電子マネー、〇〇Payなどはもちろん、デビットカードなども対象になってきます。
ここでのポイントは、各決済事業者が提供する各社の独自ポイント(楽天ポイント、PayPayボーナスライト等)を指します。独自の還元率+本事業での5%が上乗せされる形になります。消費者からすると、キャッシュレスで支払いをするだけで、通常よりお得に買い物ができるようになるのです。
私達、キャッシュレス推進協議会は、産・官・学が連携し、キャッシュレス普及促進に取り組むことで、日本において早期のキャッシュレス社会を実現する為に組織されました。今回の本事業も、多くの人にキャッシュレスの利便性を体験してもらい、キャッシュレス文化を根付かせるための施策の一つと据えています。
なぜ対策する必要があるのか
今回の本事業では、消費者のメリットがとても大きいです。5%還元があるお店と、還元がないお店のどちらから購入するかは明らかですよね。特にECでは実店舗より顕著なのではないでしょうか。
なぜなら、ECは実店舗と比ベるまでもないほど、クレジットカードなどによるキャッシュレス決済が主流です。本事業は、すでにキャッシュレスを導入済みの中小・小規模事業者も対象となるため、要件を満たしているEC店舗は多いと考えられます。
つまり、ECは本事業に参加する店舗、競合が多いという意味にもなります。特にECモールなどは商品が豊富にある為、同じ商品を比較した際に、5%還元がある店舗の商品とない店舗の商品の消費者による比較のされ方は実店舗以上に明確になってくると予想されます。
EC事業者が行うベき手続きはまず関係企業に連絡すること
その後、必要書類の準備・記入などを進めていただき、すベての審査が完了したら、本事業の対象店舗として認められることとなります。
実店舗・EC店舗関係なく、本事業に参加していただくにはいくつか条件があります。例えば、中小企業基本法という法律に定義されている中小企業であるか、同定義において中小・小規模事業者に該当するものの、売上が大企業レベルの規模でないかなどです。
加えて、決済事業者ごとに独自に審査する基準もあります。従って、条件全てを一概には申し上げられないのですが、まずは自社が契約している決済事業者に連絡し、手続きの確認を行なっていただくことが、重要と考えます。
待ち時間が長い!早めの審査手続きを
稀に決済機能をどの企業にお願いしているかわからないというEC事業者もいるとお聞きします。そのような方々の多くは、アマゾン、楽天市場のようなECモールに出店しているか、自社ECカートに元々標準搭載されている決済機能を利用しているので決済代行会社がわからないという方が多いように思えます。
そのような場合は、アマゾンや楽天市場など、ECモールへ対応状況、申請方法を確認されることをおすすめします。
クレジットカード決済、後払い、QR決済など、複数の決済手段に対応しているサイトを運営されているEC事業者から、どこに連絡すればいいのかわからないとお問い合わせ頂くこともあります。
決済事業者は、契約した店舗に対し、「加盟店ID」という、本事業独自の13ケタのIDを発行します。店舗側は、この加盟店IDを契約している全ての決済事業者に連絡する必要があるのですが、複数の決済事業者と契約がある場合、各決済事業者に確認の上、最も審査の速い先にお願いするのが効率的かと思います。
詳細な条件等については、まずは決済事業者に連絡することが一番の近道だと思います。審査にはそれなりの時間を要します。今、EC事業者以外にも、多くの実店舗が本事業への登録手続きを行なっているため、審査の順番待ちになっており、必要な書類を提出してから審査が通るまで2ヶ月程かかる場合もあります。
消費者へのポイント還元が開始する10月には間に合わなくとも、2020年4月までであればいつでも登録申請が可能です。まだ手続きを行なっていない事業者様は機会損失防止の為にも早めの対応が求められます。
気をつけていただきたいのは、本事業へご参加頂くためには、決済事業者を通じて登録手続きを実施して頂く必要がある点です。既にキャッシュレス決済に対応している、だけでは意味がありませんので、ここだけは気をつけてください。
キャッシュレス推進協議会の仕事は業界の交通整理
今回の本事業の他にも、キャッシュレス推進協議会ではキャッシュレス決済の普及促進に向けた様々な施策に取り組んでいます。今、キャッシュレス推進協議会の加盟会員は約350名です。その中でキャッシュレス決済を活用し、本業を経営されている事業者(小売店等)の割合は約25%です。
会員同士の会議では、今後の決済がどのように変化していくかを知る機会にもなります。また、キャッシュレス決済が今後、どのように変われば使いやすいかを、会員間で協議する場面もあります。積極的に情報収集や発言される方には大きな価値を提供できていると思います。
私たちは具体的なサービスを推し進めることなどはせず、あくまでも中立の立場にいます。一企業では実行できないことを私たちで交通整理し、協議の場を設け、どんな施策がキャッシュレス普及のために有効か、議論を交わしています。意見を言っていただけないと要望も掬い上げられません。キャッシュレス決済に関して、意見がある人は是非参加していただけると、業界全体に意見を発信することができ、より使いやすいキャッシュレス決済を社会に提供できると思います。
本事業以外にも、「こんな施策をやってほしい」などの考えがあったら、是非会員になっていただき、一緒にキャッシュレス決済について考えていきたいと思います。
<通信18号より転載>