ネットショップでピンチをチャンスに!飲食店をEC化する4ステップ
現在新型肺炎ウイルスコロナの影響で飲食店は営業を自粛せざるをえない状況となり、経営的に大きな打撃を受けています。しかし、そういった状況の中でも営業しなければ売り上げは0です。今回ECのミカタではそういった飲食店の方へ対し、少しでも協力できるようにGMOペパボ株式会社が4月23日に公開した「【ネットショップ開業】飲食店様に押さえてもらいたい、基本的な3つのポイント」(https://www.youtube.com/watch?v=_dozPmzjtYA)を参考に独自の視点も踏まえネットショップ、すなわちECサイトの開店方法についてお伝えします。
初めに
ECサイトを始める行程を大きく分けると①商品をつくる②保健所への相談③サイトをつくる④配送の4つです。本記事ではこれらを順を追って説明します。
ECサイト始める際の注意点ですが、ECサイトを立ち上げれば売り上げが上がる訳ではありません。オンラインやオフラインで集客施策が必要となるのです。飲食店では常連さんや一度ご来店いただいたお客様へ告知する手段もあると思います。
ステップ1:商品を作る
ECサイトを始める為には商品がなければいけません。特に飲食店でEC経験がない場合は何をどの様な状態で売るかは非常に大切です。一番手っ取り早い方法としては「お店のメニューや食材をパッケージ化する」ことが挙げられます。
しかし、ECで調理済みの商品を提供するには、配送途中での、中身がこぼれたり、雑菌が入らない様に商品を真空パックなどの密封できる容器に入れる必要があります。真空パック機に関しては安いものであれば、おおよそ3万円から購入できるので一度購入し試作品を作るのが良いかと思います。心配であれば、想定している商品を包装して問題ないか販売メーカーに問い合わせてみても良いでしょう。
他にも商品をつくる上でご用意してもらう物として「食品表示ラベル」があります。「食品表示ラベル」とは、スーパーで置いてある商品パッケージの裏に製造元や賞味期限などが記載してあるシールです。ECを行う際には食品表示法に乗っ取り、食品表示ラベルを作成し商品に張って提供することが義務づけられているのです。
▽食品表示の適応範囲について 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
用意する為には「食品表示ラベル ネット印刷」などで調べれば業者が見つかると思います。
他にも商品を梱包して送る為の段ボールや緩衝材が必要となりますが、提供する食材に問題がなければ自店の紙袋で梱包する事も可能です。注意すべきは配達されることを想定し、健全な状態でお客様に届くことへの配慮と対策です。
また、可能であれば同梱物として紙のレシピを入れる事もオススメです。餃子屋さんであれば餃子を上手く焼くためのコツ、もつ鍋屋さんであれば美味しくもつ鍋を作る調理方法。そういったレシピを差し込んでお届けすると、商品を購入したお客様が美味しく食事を楽しむことに繋がり、店舗の評価にもつながります。
上記のような要領で商品の準備を行いながら、どの様な状態でお届けするかも検討する必要があります。常温で大丈夫な商品もあると思いますが、飲食店であれば基本的に冷凍か冷蔵での配送になると思います。また、提供する商品によっては急速冷凍機という物が必要となる場合もあるので要注意です。試作品を作ってどういった方法で提供が可能かしっかり検討しましょう。
もう一つ検討しなければいけないものとして、商品の値付けがあります。
飲食店の場合は大量生産ではなく少量生産になりますので、販売出来る数に限りがあります。その為、安い単価で販売をすると最悪の場合売っても売っても赤字が広がる可能性あり、そういった状態を防ぐ手段として単価を高くして販売する方法があります。1人~2人前でのご提供では単価は安くなりますが、3~4人前に設定する事で単価を高くする手法です。こういった様に値段設定に関しては深く考えていただければと思います。
ステップ2:保健所に相談
上記のステップを踏み試作品が出来れば販売前に保健所で確認することが必要です。
保健所で何を確認するかというと「この販売方法で問題ないか」です。飲食店からすると保健所と聞くと少し怖いイメージもあるかもしれませんが、敵ではありません。注意すべきは、保健所はエリアによってローカルルールが存在するため、知り合いや他の飲食店がOKでも、自分の地域ではNGとなる可能性があることです。そういったことにならないためにも、試作品ができれば最寄りの保健所に必ず相談にいきましょう。
実際にGMOペパボ株式会社が動画を作成するにあたり、東京都福祉保険局に電話で確認したところ「試作品が出来た段階でECサイトで販売する前に1回相談が欲しい」とコメントされています。1つの例ですが、カフェを経営している店舗がECで販売するために焼き菓子を新しく商品化した場合、菓子の製造許可を取らなければいけません。しかし保健所の認可を通さず、菓子製造許可の存在も知らずに販売すると、最悪の場合で違法として取り扱われてしまうケースもあるそうです。
保健所に相談することで食品表示ラベルの修正指示や、提供方法の改善指導などをもらえるので、その内容に準拠すれば安全にECを始められる事が出来ます。
また、タイミングとしては試作品が出来た段階で早いうちに確認を取る事が良いでしょう。”商品も出来上がりサイトも作ったけど、保健所に聞いてみたところ違法になってしまうらしく販売できない”という自体になってしまうと、それまでの時間が非常にもったいなくなってしまいます。
ステップ3:サイト作り
試作品が完成し、保健所の確認も行えたら、いよいよサイト作りに入ります。ECサイトを作成できるショッピングカートと呼ばれるサービスは数多くありますが、早くECサイトを立ち上げたいのであればASP型と呼ばれるカートシステムがオススメです。
ASP型のショッピングカートで簡単な物であれば、サイトのデザインテンプレートを選び、Facebookのプロフィールを埋めるように項目を埋めるだけでECサイトをつくることが出来きます。その中でも費用が安く初心者向けのショッピングカートを紹介いたします。
カラーミーショップ
GMOペパボ株式会社が提供するカラーミーショップは月額834円(税抜)から利用出来ます。定期購入システムやスマレジ連動などの豊富なアプリケーションがあり、ECサイト単体でも売り上げを上げる機能が多くあるという特徴があります。
また、開店時に必要な特商法表記や商品登録など、8項目の設定を1万円で請け負うサービス「開店サポート」や、ショップの成長に合わせた集客方法やSNS活用をアドバイスする「ショップ診断」サポートも展開しています。
BASE
BASEは初期費用・月額費用0円でECサイトを作成することができ、現在80万以上のショップがBASEで作成されています。かかる費用としては購入が成立した際に「BASEかんたん決済手数料」が各注文ごとに3.6%+40円とサービス利用料が各注文ごとに3%となります。
また、ショップの売上金を引き出す振込申請を行う際にも振込手数料と事務手数料がかかります。なお、通常の売り上げの振込は振込申請から10営業日(土日祝除ですが、振込までの期間を最短翌営業日とする「お急ぎ振込」というサービスもあります。
STORES
STORESでは月額費用無料のフリープランと月額1,980円のスタンダードプランが用意されています。フリープランであっても決済方法も豊富で登録可能な商品数は無制限です。また、決済手数料は5%ですがスタンダードプランの利用で3.6%に引き下げられます。
オプションの手数料を支払うと、売上金を翌日に振り込まれるスピードキャッシュサービスや、保管・梱包・発送を委託できる倉庫サービスなども提供してます。
ペライチ
ペライチでは1ページで完結するHPを無料で作成する事が出来ます。ECを行うには決済が必要なので月額1,000円で利用できる決済オプションを申し込む必要がありますが、決済手数料が3.5%と少し安く設定されています。
また、1ページで完結するサイトなため、ECサイト作成の難易度も低く初心者でもかなりお手軽に作成できる事が特徴です。
他にも沢山ショッピングカートを提供する会社はありますので、自社にあったシステムを選ぶことが大切となります。
ECサイトを構築できるASPカート21社比較 ECサイトを構築するには、ショッピングカートシステムを活用する必要があります。ここでは、ASPカートそれぞれの特徴、選定ポイントをお伝えします。 |
他にも、ECサイトにおいては特商法や配送規定、キャンセル規定などを記載する必要があります。同業者を参考に用意すれば自分で想定出来ていなかった内容も盛り込む事が出来るので、そういった方法で準備するのも一つの手です。
また、独自でサイト作らずにプラットフォームに掲載することでEC化をする事も可能です。こちらは食べログに掲載するような形でECでの販売を可能にします。更に、EC化だけではなく様々な販売支援をしてくれる、特別なキャンペーンを行っている企業もございますので別の記事でご紹介します。
新型コロナウイルスの影響に対する、EC通販の生産者・小売事業者への支援まとめ 今回ECのミカタでは、全国の生産者や事業者の販売を支援キャンペーンをまとめました。 |
ステップ4:配送
最後に商品を購入したお客様に配送する必要があります。スピーディーにお客様にお届けする為には、事前に配送会社を選んでおくことが良いでしょう。飲食なので基本的には、冷凍・冷蔵に対応しているクール便での配送になると思いますが、一番安い配送会社を選ぶことがベターとなります。
60サイズの段ボールを東京~大阪へ送る際にかかる料金を比較すると佐川急便が一番安いのでこちらを利用する選択肢もあると思います。
・日本郵便(チルドゆうパック):1,195円
・佐川急便(飛脚クール便) :1,155円
※2020年4月時点の宅配料金
梱包した商品を送る際にはショッピングカートにある購入者情報を送り状に記載または印刷し、委託をしたい配送会社への集荷を要請する必要があります。配送会社によって集荷の規定や時間が違うので要注意です。
▽ヤマト運輸 送り状発行サービス
http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/send/preparations/invoice/
▽ヤマト運輸 集荷サービス
http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/send/
▽佐川急便 送り状発行サービス
https://www.sagawa-exp.co.jp/service/okurijyou-support/
▽佐川急便 集荷サービス
https://www.sagawa-exp.co.jp/send/beginners.html
▽日本郵便 送り状発行サービス
https://www.post.japanpost.jp/yu-packprint/index.html
▽日本郵便 集荷サービス
https://www.post.japanpost.jp/send/
最後に
飲食店での商圏は基本的に近隣のみとなりますが、ECを活用することで全国、全世界に伸ばす事ができます。一度遠方からお越しいただいた方にも、ずっと自社の料理を楽しんでいただけたり、ECで注文してから気になってご来店いただけるお客様もいるかもしれません。
また、在庫の管理は気を付けなければ行けませんが、ECサイトで販売している商品を店頭でも販売すれば、ご家族やご友人へのお土産やテイクアウトとしてご購入いただける事もあるかもしれません。飲食店であってもECでの販売をとおして、今までに無かったご提供方法や考え方が生まれるかもしれません。このタイミングだけでなく、将来的にもずっとECを活用いただきその先のお客様にご満足いただければと思います。
最後にお願いとなってしまいますが、本記事が少しでも多くの飲食店様にふれて、何かしらの参考になればと思いますのでご覧いただいた皆様にもご拡散いただければ幸いです。
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