支援シェアは出店日本企業の数十%以上 中国越境EC支援ではダントツの実績

石郷“145”マナブ

株式会社エフカフェ 取締役 高岡正人さん

EC運営のトータルコンサルティングを行う株式会社エフカフェが、越境ECの支援で注目を集めている。日本国内で定評のある確かなサービスはそのままに、さらに中国越境ECのスタート期である8年前から取り組んできた経験を活かし、中国で売上を上げるための、店舗のニーズに応じたノウハウを提供している。今回は、その中国越境ECについての具体的な動きを、取締役の高岡正人さんに伺った。

地方自治体も利用、No.1の中国越境EC

 弊社は日本国内だけでなく、中国での越境ECの支援も行っています。もともとは6年前に中国に会社を作って、Tmall支援を中心に行っていたんですが、現地中国企業相手ということもあり、なかなか苦戦を強いられていました。そんな時、Tmallグローバルという新しい越境ECサービスが始まり、そこへの自社店舗出店が大きなきっかけとなりました。それまでは現地法人や現地銀行がないと出店できなかったのですが、新しいサービスでは日本にいながら出店でき、日本法人OKで、円で入金されるというスキームができたので、かなりハードルが下がりました。当時は弊社がまだ日本企業で4、5店舗目だったのですが、その頃から日本でも「越境EC」というワードが徐々に知られるようになり、昨年ごろから一気に浸透しました。

 弊社の越境ECサービスは大きく2つあります。
1つ目は越境ECモール(TmallグローバルやJD World Wide)への自社出店プラン。
2つ目は弊社運営の越境ECモール店舗(心地 ※現在Tmallグローバル、JD World Wideの2店舗)でのマーケティングプランです。
 今回、地方自治体の越境ECとしては初めて沖縄県と組んで産直商材を売っています。沖縄県が越境ECを出すのではなく、「心地」の中に「沖縄館」を作る形です。同じ形で、數十社のパートナー様がいます。また、自社出店支援においても、大手企業様のご支援をしております。顧客対応や物流などを弊社が中国に持っているので、極論を言えば商品さえご提供いただければ残りは全部僕らができます。パートナー様に対して弊社でチームを作って、商品の管理や企画などを一括し提供しています。

 そういう意味では我々がTmallで6年やってきたノウハウが、Tmallグローバルで大きく活かされています。越境ECの中国に関してはおそらく、弊社がNo.1です。Tmallグローバルに次ぐナンバー2、JD World Wideというモールがあるのですが、弊社はその運営支援と店舗運営も持っています。この両方で店舗を持っていて、尚且つ運営支援、コンサルも行っていて実績があるのは、弊社以外はおそらくいないんでしょうか。おかげさまで大手銀行様の公式パートナーとして公認いただいたり、中小機構様や郵政様、その他パートナー様と年間数多くの講演活動を行ったりと、信頼をいただいております。

運営ノウハウがあるから、中国で売れる

運営ノウハウがあるから、中国で売れる

 今はインバウンドもあって日本に大勢の中国人が来ているのを皆さん見ていますよね。ただインバウンドの弱点は、リピートにならないことです。ネットでは単発でなく、継続的なお客様としてずっとつながることが可能です。越境ECでも、インバウンドで買われるもの、日本で売れているものが売れます。特に売れるのは、サプリと化粧品ですね。高級商材ではなく、普通にドラッグストアで売っているような商品がやはり売れます。中国は本当にパワーがあるし、成長率も高いです。これを見過ごすのはもったいない。例えば越境ECのスーパーで、3ヶ月で1500万の売上を上げたところもあります。2ヶ月目が500万、3ヶ月目で1500万という成長率です。

 弊社が心地で扱っている商品は、中国で売っているものよりかなり種類も豊富です。それは一つには、早い時期からやってきたということがありますし、あとはやはり運営ノウハウです。例えば、中国は、日本と違ってメールではなくて、チャットがメインなんですが、チャット経由での売上が数十パーセントを占めています。弊社は上海にチャットの部隊を持っています。中国ではサイトに「チャットできます」というのがあって、そこを押すと、日本だとメールフォームだと思うのですが、その代わりにチャットで対応します。

 日本の場合は受注って基本的には「受け」ですが、中国ではセールスです。チャットで、商品の説明をしながら新商品を案内したりして客単価を上げることができる。実店舗に買いに来ているようなものですね。店員さんと話して、購入の背中を押してあげるという。それを、中国語も分からない状態で、いきなり自社で運用していくとなると、なかなかできないですよね。僕らにはそういったノウハウがあります。

本物の強みを活かせば日本の商品はもっと勝負できる

 Tmallグローバルでは、海外専用のカテゴリの中で、アメリカや韓国、オーストラリアなど他国の店舗も出店しています。出店にあたって厳しい審査があるので、出店しているということはそもそも安心・安全な店舗であり、その中でも日本の商品は良い商品だという認識があります。日本から直送できるということで更に安心感がある。中国では、特に肌に直接触れるものや口に入れるものは、海外から本物を取り寄せたいというニーズが根底にあります。中国語のラベルなんかは逆に貼らなくていいんです。日本人と同じものがほしいという、日本にインバウンドで来て買っていく感覚と同じです。価格は日本の150~200%くらいですが、日本に行く旅費を考えれば安い。

 本物がちゃんと届くというのは強みです。中国のECサイトはC to Cで個人間の取引だったので、圧倒的に偽物が多かったり、そもそも届かなかったりということがありました。タオバオなどはそこに信用不安ができて、それに対する解として現れたのがB to CのTmallです。Tmallでは信用や信頼ということがかなり担保されていますので、安心して取引ができるとお客さんから認識されています。

日本国内とは違う、越境ECにおける実績

 越境ECというのは、海外投資です。日本国内でのECは既存のランニングなので、あくまでコストとの兼ね合いを見ながらどうやって運用していくかという思考になります。だけど海外投資の場合、ゼロイチなので、そもそもお金のかけ方や投資の意味が違ってきます。スタートするには、だいたい年商10億くらいの規模が必要になるのではないでしょうか。しかも中国だと毎月のようにルールがコロコロ変わりますし、出店までの時間も結構かかります。それらに対応するのはやはり大変です。またTmallグローバルの場合、自社出店は審査がかなり厳しく、一部上場で年商100億くらいあれば可能性があるというレベルです。そこで、いきなり投資ではなく、弊社のサイトにいったん出店していただくことで、売上が伸びきたら自社サイトに移るというように、試していただくこともできます。

 弊社の今後の展開としては、やはりアジアでマレーシア、その次はインドを考えています。ASEANでやりたいというニーズは高いです。衰退期に入ることがしばらくなく、最低でも横ばいの状態でいける。しかもアジアの場合はやはり華僑です。中国で売れる、もしくはそれに近いものが売れる。あくまで仮説ですが、中国のお客さんをそのまま持っていけるというのは強いと思っています。僕らが展開していけるのも、中国の実績ありきだと思います。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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