直撃サイバーエージェント!通販向けCRMの最前線を追え

石郷“145”マナブ

しかるべきタイミングにしかるべきアクションをおこない、顧客の知識を優しく育て、お店のファンにする、そんなサービス。
想定していた以上に幅広い業種から問い合わせが殺到している。
単品通販のCRMに特化して実績を出してきていたE-Grant(イーグラント)の「うちでのこづち」などの2社のツールとも連携した。

お客様を優しく導くサイバーエージェントの「eCRM」

 お客様にとって必要な情報を、適切なタイミングと方法で発信し、育てること、それも大事なCRM。株式会社サイバーエージェント(代表取締役社長 藤田 晋 以下、サイバーエージェント)が6月1日から展開している「eCRMソリューションサービス」は、同社らしくしかるべきタイミングにしかるべきアクションをおこない、お客様の知識を優しく育て、お店のファンにする、そんなサービスだ。eCRMソリューション局局長 稲益 仁氏に話を聞いた。

 稲益氏は「このサービスを始めて間もないが下着メーカー、人材(求人)媒体、キャラクターグッズのショップを運営する会社、旅行、金融という具合に、物販が中心かと思いきや、想定していた以上に幅広い業種から問い合わせが殺到している」と驚く。

 下着メーカーでいえば、リアル店舗、ECの両方を展開し、会員を持ち、オムニチャネルにも積極的。だが、実際、下着メーカーで購入しているお客様のトータルの購入回数を聞いてみると、年あたり平均数回程度に留まるというのだ。しかし、お客様全員がそうかといえば、そんなことはなく、この下着メーカーのデータによれば、リピートするお客様は3か月あたり1回は購入しているのだ。

 要は、そういうお客様はおしゃれへの意識が強く、インナーもファッションと位置付けているということの裏返しでもある。であれば、読み物で、それらをファッションとして、また、素敵なライフスタイルを演出する手段として、伝えるなどの方法がある。だが、そこまでを実現することが難しい。自然な流れの中で、しかるべきタイミングでお客様との接点を生みだし、お客様にとって心地よい提案を発信できていないのだ。そんな企業に対して「eCRMソリューションサービス」の必要性を同社が説く。

リターゲティング広告などへ繋げる、新感覚コンシェルジュ

 旅行を例に説明してみると、旅行を活用するタイミングが、人によって異なることに着目する。具体的には、旅行の需要期に行く人と、敢えてそこを外す人とで分けられる。すると、需要期を外してくる人は、世帯年収が高く、頻繁に旅行をしている、といった傾向が見えてくる。そういう人の特徴として、旅行先は、比較的近いところを選ぶ傾向が強い。そのようにして、そのお客様の状況に合わせて、エリア、予算額を、セグメントしてきちんと分けた上で、そのお客様に合ったニーズを、リターゲティング広告に繋げる。

 いわゆる顧客満足度を追及するCRMと少し趣が違うが、お客様が「そろそろ旅行に行きたい」と思ったときに、それに関連した予算と行き先と好みに合わせた、旅行の案内がさりげなく広告という形で出れば、どうだろう。お客様にとって、その旅行会社のその広告は、まさにコンシェルジュのような存在となる。これぞ、CRMである。

メールプラスアルファのアピールの仕方で、ECの未来が変わる

 こうしたCRMのニーズはこれからさらに伸びるだろう。稲益氏は「最近のメールの開封率は、10%以下とも言う。スマートフォンの利用率が高まり、メールは以前ほど利用される割合が減ってきている。そのため、メールプラスアルファのところで、何ができるか?そこが私たちの役目」と話す。どのような仕組みを使うのか?同社にはDMP(データマネジメントプラットフォーム)があり、インターネット上で様々なサーバーに蓄積されるデータや自社サイトのデータを統合、管理、分析をして、様々なターゲットに向けて的確に配信を可能にする。

 さらに、ECに特化したCRMの必要性もサイバーエージェントは感じていて、単品通販のCRMに特化して実績を出してきていたプラスアルファ・コンサルティングの「カスタマーリングス」、E-Grant(イーグラント)の「うちでのこづち」などの2社のツールとも連携した。トータルでサポートできる環境を整えた他、LINEビジネスコネクトを使うなど、スマホ時代に即した形で、お客様を育成する。

 メーカーは卸すことに目が行き、1to1のマーケティングが重要なことを知りながら、何もしていないことが多い。だからこそ、サイバーエージェントの目指す、CRMの姿勢に注目したい。既に利用していたとしても、全体を見回し、改めて、支援ツールの見直しも含めて、俯瞰的な目線で助言を受けて、同社とともに、ECの新たな時代を切り開いていきたいものだ。

企画・編集 石郷“145” マナブ



記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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