『初回お試し商品』の成功ポイント

出口 康介

ECの販促の一つの手法で、『初回限定お試しセット』を『全て無料(送料も無料でプレゼントする)』OR『格安&送料無料』で提供する場合があります。特に『美容・コスメ系』、『食品(健康食品、サプリメント)系』などが多いですよね。特に女性の方はよく利用されるのではないでしょうか?

さて、もう何年も前になりますが、大手コンサルティング会社に在籍していた時に『競合調査』の一環で、健康食品ECショップの『無料お試しセット』を複数社に依頼したことがありました。『無料お試しセット』が届いた後は、ご承知の通り、『電話』、『Eメール』、『DM(ダイレクトメール)』での定期購入誘導のための『刈取り(営業行為)』が待っています…。

その刈取りフォロー営業の内容も含め、どのような商品を送料無料にして送ってくるか、電話での応対はどうか、クロージングトークはトークスクリプトを読んでいるか、梱包の状況はどうかなどなどを調べるために調査を実施しました。今では無理な勧誘を実施する会社は減りましたが、ゼロにはなっていません。

電話を使った強引な勧誘こそ減りましたが、メルマガやDMなどのプッシュ系のアプローチはまだまだ主流の手法ですね。『美容・コスメ系』、『食品(健康食品、サプリメント)系』の業界ではテレビCMでもバンバン同じビジネスモデルで販促しているので、一般消費者(特に女性)は『初回お試し=プレゼントOR格安&送料無料』だと知っています。ですので、バナーやLP(ランディングページ)で強調すべきは『送料無料』や『お試し無料』以外の別の点にあります。

では、具体的に何を訴求すべきか?? イメージしやすいように『美容・コスメ系』のECを例に解説します。

【初回お試しで訴求すべき点】
1)誰に使って欲しいのか?(=ターゲット)
⇒しつこいニキビでお悩みの方(普通)
⇒これまで複数社の石鹸を試したけど効果がなく諦めてしまった方へ
※『最上級者=本当に困っていて必要な人』に向けた訴求

2)Before⇒After(※表現方法は薬事法に沿う効果・効能)
⇒あれだけしつこかったニキビがたった2週間でキレイ・サッパリ!!
⇒(ユーザー画像とセットで)もう手放せません!!
⇒(ユーザー画像とセットで)来週の彼氏とのデートが待ち遠しい!!
※『治る』のは当たり前、『治って明るくなる、自信が出る』などの二次効果をイメージさせる

3)差別化要素(自社製品の独自性、他社製品との違い)
⇒(人押し)『カウンセラー・コンサルタントの有無』、『開発者の専門性・技術・スキル』での差別化
⇒(人以外のハードやソフト押し)『成分の含有量』、『保有免許・資格』、『製造工程』、『品質管理』での差別化

4)安心要素
⇒強引な営業・勧誘をしないこと
⇒第三者の評価(医師などの専門機関、ユーザーの声など)
⇒全額返金制度

5)決断要素
⇒『もう1個プレゼント』、『2個目無料』、『送料無料』など
⇒『期間限定』、『個数限定』にする

6)その他
⇒『支払方法の柔軟性』、『ラッピング包装の綺麗さ』、『会員ポイントの倍率』、『定期購入の次回発注のやり易さ(都合の良さ)』、『最低利用期間などのしばりの有無』など付加価値

このようなポイントを押さえておく必要があります。『送料無料』や『お試し無料』ばかりを打ち出して、上記のポイントのを含んでいない失敗してしまいます。

また、たまに見かけるのですが、LPで完結せずに更に本店サイトやモール店に誘導するために『詳しくはこちら!』と別サイトに誘導しようとするケースがありますが、これは絶対にタブーです。別サイト誘導して効果(=サイトに行ってくれる、サイトに行って買ってくれる)を得られるのは有名商品か有名企業だけです。初回限定で『送料無料』や『お試し無料』企画を実施する場合は、必ずLP内で『説明』と『申込み』が完結出来るような内容にしましょう。


著者

出口 康介 (Koussuke Deguchi )

大手上場コンサルティング会社で7年に渡りメーカー、卸(問屋)、小売業まで、流通の商流全てのコンサルティングに従事。その後、EC総合支援ベンチャーを経て2013年に出口総合コンサルティングを立ち上げる。小手先のテクニックやノウハウではなく、中小・零細企業がWebを活用して永続的に売上アップを実現するための現場実行支援を得意とする。特に、ECショップ支援については、『商品』、『立地』、『客層』を重視して小売業のマーケティング原理・原則に則ったコンサルティングサービスをご提供しています。『ECの売上アップに必要なのは、集客でもデザインでも価格でもない。お客様をセグメントし、お客様が欲しい商品を、力相応に勝てる立地で、お客様の予算に合わせて売れる仕組みを作ることだ』をモットーとしています。

会社URL : http://ide-con.com/
メール : ideguchi@ide-con.com