【第13回】検索エンジンの今を捉え、得意領域で検索獲得を
タキシード、燕尾服、モーニングコート、フォーマルスーツ・・・
メイドインオオサカの紳士礼服を製造販売するフォーマル専門店ノービアノービオ。1952年に礼服の生地問屋として創業、今は製造から小売(ネットと実店舗)まで手がける、いわゆるSPA企業ですが、小さな小さな町工場です。
バブル最盛期、従業員230人 年商65億円、紳士礼服メーカーとして業界2位。バブル崩壊後、従業員20人、負債45億円、在庫は倉庫に14億円分。
年商65億から負債45億円、約100億円のジェットコースターを下りきった頃、服の「フの字」も知らない素人だった僕は楽天市場店のスタッフとして、この会社にやってきました。
順調に伸びていた頃、相次ぐ大手の参入で再び窮地に。首の皮一枚すらちぎれそうなとき、次々と訪れた出会いと気付きと・・・たくさんの先達に出会い、学び、SNSを使ってV字回復。
SNSは次々にピンチをチャンスに変えてくれました。
これから記させて頂くことは特筆すべき秀でたスキルなど何もない普通の僕がやってきた、「今日から誰にでもできるお話」です。
このお話を通じ、皆さんのお店のコンバージョン率+0.1%~に少しでもお役に立つことができればと、経験した全てをお伝えしていきたいと思います。
【1~11回のガイド付きまとめ】
https://ecnomikata.com/column/20041/
【第12回twitterはお店が「探す」「引き出す」に使えるSNS】
https://ecnomikata.com/column/20125/
アップデートし続ける人と繋がる大切さ
ネットでお花を販売されるゲキハナの古屋悟司さんも再びコラムを連載されていますね。古屋さんはゲキさんの愛称で親しまれ、会計を学びV字回復、著書もロングセラーの知る人ぞ知るカリスマ店長。
1回目のコラムでは、数年で月商3,000万円を超え、楽天EXPOで憧れの黄色の名札を下げ、肩で風きってホテルのラウンジで1杯1,000円のコーヒーを飲んで優越感に浸っていた頃のことが書かれています。
その頃の僕は月商1,000万円以下の白の名札を下げていました。その頃に古屋さんと出会っていたら、きっとお友達にはなれなかったでしょう(笑)
そんなゲキさんですがやがて売上至上に陥り、歯車が狂い始め赤字続きに。その後、会計を学びV字回復。その軌跡と体験談を基に書かれているのが今回の連載コラムです。
【第1回】売上が上がると年収がアップするって本当ですか?
とても良記事ですが、別に読まなくても大丈夫です。
https://ecnomikata.com/column/20168/
先週、【第3回】損益分岐点売上高がわかると年収がアップするって本当ですか?
が更新されています。ECサイトに限らず、会社・店舗には非常に参考になる記事ですが、これも別に読まなくていいです。
https://ecnomikata.com/column/20290/
一方の僕は不運だったのか、初めて出たカンファレンスで月商の大きなお店の方から、とても辛い当たりを受け嫌な思いを体験しました。
まだECも分からない、知り合いもない。ここでは売上げが全てなのか?数字だけでこんな扱いを受けるのかと落ち込み、そういうイベントには足が遠のいていきました。
あんな嫌な思いはしたくない。自分は自分の道で頑張ろうと、のめり込んだのが自社サイト・いわゆる本店です。
その軌跡を記したのがこちら。編集部さんがガイド付きでまとめて下さいました。
古屋さんのコラムそっちのけで、お読みくださいませ。
https://ecnomikata.com/column/20041/
東京と大阪、遠く離れた場所で面識もないゲキさんと僕が、様々なご縁でのおかげで友人として切磋琢磨する仲になるんですから不思議なものですし、SNS無しでは出会っていなかったかもしれません。
今では古屋さんとYouTubeチャンネルも開始しています。ECサイト運営者のヒントになるトークライブを中心にお届けしておりますので、是非チャンネル登録お願いします。
https://www.youtube.com/channel/UCjFq1MzH2g9UPeXxfjpQ3vg
ゲキさんと共に、以前コラムを連載されていた自転車グッズのキアーロのヨナーイ佐々木さんにも仲良くして頂いていますが、昨年の今頃は存在を知っている程度だったんですよね。
ヨナーイさんには「いつか出会うべきだったんだよ。早いとか遅いとかじゃなく。お互いの最もいい時に出会えたと思ってる」と言って頂きました。
ヨナーイさんは週末になるとポケモンGOに繰り出す陽気なポケモンおじさんですが、かつては故郷、岩手・盛岡の日本酒の造り酒屋「あさ開」在籍中には楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを7度受賞。
ご結婚を機に大阪へ越し、奥様のご実家の家業「自転車グッズのキアーロ」の運営に携わり、4年間で売上を400%伸ばした凄腕おじさんです。いつもいろんなコトを学ばせてもらっている兄貴のような存在。コラムもとても参考になるので、ぜひご一読ください。
https://ecnomikata.com/column/11433/
このコラムのお声がけを頂いた編集部の皆さん含め、本当にご縁だけで生かせてもらっていると、感謝新たにする所存です。
特筆すべきスキルもない僕は、こうしたご縁だけで生かされていると感じます。想いや志を持ち、走り続ける人と伴走して自分自身をアップデートしていくことも本当に大切だと思います。僕自身、そういう方々に出会えて成長させて頂いていると感じています。
目まぐるしく変わる検索エンジンの今を捉える
もう一つアップデートといえば、ECサイトなどWEBで仕事をする上で切っても切れないのが検索エンジンのアップデートですね。
Googleでは8月、9月で3度ほど検索アルゴリズムアップデートと思しき動きがありました。そんな矢継ぎ早のアルゴリズムの変化の中、検索順位を落としてしまったサイトさんからの相談が相次いでいます。
ECだけに限らず、企業、実店舗や教室のオーナーさんからの相談もあり、半年で半減、1/3、問い合わせがゼロになったなんてところからも。
先日ご相談にいらした所は会員制サービス。半年前には毎日入会申し込みがあったのに9月がゼロ。アクセスを観ると、3月、8月、9月と強めのアップデートごとにアクセスを落としているのが顕著に数字に表れ、アクセス数は半年で半分以下に。
その中にあって「〇〇 ■■では1位なんですが。アクセスもあるし」とおっしゃる方もおられますが、それで問い合わせや受注がないということは、それはお店とお客さんとを購買や契約で結びつけるクエリではないことになり、キーワード構成の抜本的な見直しが必要ですね。
アクセスがあるのに、購入に至っていないキーワードについては前回ご紹介した「インフォメーショナルクエリ」や「トランザクショナルクエリ」の段をご参照頂ければと思います。
https://ecnomikata.com/column/20125/
そして検索エンジンのアップデートがあったと思われる日から数日間、自社のサイトがどう動いたかを掴んでいるのが、初動のポイントだと思っています。
1:徐々に順位が上がっている
安心してください。大丈夫。
2:維持している
これも大丈夫。でも、下位から急伸したサイトに追い抜かれているようでしたら、そこをベンチマーク。
3:上がった後下がった
レアなケースですが1~4の波の中で一瞬、浮き上がったように見えることが稀にあります。しかし、その後下がっているようであれば、これも4と同じです。
4:順位が不安定
これは要注意。アップデートのより戻しで順位を回復しても、今後のアップデートでは落ちる可能性がある薄氷状態です。
5:下がった
これは早急な手直しが必要です。圏外にぶっ飛んだ、自社名で検索してもインデックスされていないという相談もありました。
公開したばかりのサイトや記事がいきなり上位に出てきて、その後下降する、いわゆる「Googleハネムーン」や、逆に公開したページが中々検索結果に出ずに埋もれる「Googleサンドボックス」などもこの端境期に見られるものではないかと考えています。
この2つについてはGoogleも公式に否定をしているものの「アップデートの狭間でそう見える現象が起こる事はありうる」という見解を示しています。
自分の「好きコンボ」「得意コンボ」で射程圏内を拡大
冒頭のご相談や専門家派遣事業で1ヶ月に10サイト近いアクセスデータを拝見することがあります。アクセスが多いのに売上や問い合わせが少なくて悩んでいるケースは少なく、多くはアクセスを伸ばすことに悪戦苦闘されていることがほとんどです。
商材によって違いはあれど、平均2%~3%と言われるコンバージョン率ですから、アクセス数の母数は大前提として必要ですよね。
ページの整備が済んだらアクセスは伸ばしたいもの。継続的にコンテンツ(ブログ)を更新し、じわじわとアクセスを伸ばした事例は11回目でご紹介した、「抱っこひも収納カバー・ルカコ」をモデルケースとしてご覧頂ければと存じます。
https://ecnomikata.com/column/19825/
広告で瞬発力をつけるのもありですが、できたてのサイトで狙いを外すとコストだけが出ていく場合もあり、まずはコンテンツでお客さんの傾向や自社の強みをある程度掴んでからの運用が賢明かなとは思います。
とはいえ、コンテンツ更新は腰を据えて行わねばならないもの。そこで、お手伝いするサイトさんで従事するスタッフさんに最初に書いて頂くのが、上図の「自己領域分析シート」と名付けたものです。
図は僕の例ですが、スタートは自社の商材やサービス、職業から始まります。
1:僕であれば、紳士礼服専門店、商材はタキシードや燕尾服などです。
2:続いて右上、自分の好きなもの。僕ならアニメ・ゲーム・漫画など。
3:続いて左上、好きなもの2。詳しいもの。僕は戦国武将や戦国時代が好き、詳しいかも。
4:そして左下、特技・得意なもの。ITやWEBの技術や最新情報を調べたり吸収するのが好きです。
SNSはこの全領域を繋げて発信ができるものと考えています。
初期のコラムでも書いていますが、僕はアパレル未経験でこの会社へやってきました。ですので、ブログを始めた当初はフォーマルの薀蓄や歴史を調べながら書き、徐々にアニメや漫画作品、ドラマに見るフォーマルウェアを題材にしていきました。
そのことが、子供の頃から大好きな山寺宏一さんにお会いできるきっかけにはなっていると思います。
【第5回】拝啓 山寺宏一様。30年かけて届けた手紙。
https://ecnomikata.com/column/18570/
更に戦国武将好きを活かして、戦国武将をモチーフに、ご当地素材を使った「武将スーツシリーズ」を開発。クラウドファンディングで活用し、メディアにも多く取り上げて頂けました。真田幸村、石田三成、上杉謙信の御子孫に公認を頂くなど、大きな反響を呼びました。
そして、ITやWEBの新技術を知ることが好きなことが高じてサイト構築や運営、SEOのお手伝いをさせて頂いている今があると思います。
お手伝いしているブライダル事業の会社さんでは、SNSを中心に回すことになったスタッフさんに、この自己領域を書いて頂きました。
その方は、下記のように埋めて頂きました。
1:ブライダルプランナー
2:海外のファンシーキャラクター好き
3:幼い頃からピアノを続けている
4:映画好き
1+2で「キャラクターの舞台をテーマにしたような結婚式しませんか?」
1+3で「私はピアノを習ってきましたが、新婦からの生演奏のおもてなしも素敵」
1+4で「私は◯◯という作品が好き。新郎新婦の思い出の映画をBGMにしては?」
というような職業と趣味・特技を組み合わせながらコンテンツを作っていくと、苦なく始められるはずですし、自分の好き・得意なことでアクセスが獲得できればやがて自信に変わっていくはずですね。この領域は四角形に留める必要はなく、どんどん自分の好きな領域を増やし多角形にしていけば、ネタ切れは起こしにくいのではないかなと感じます。
ECサイトに名物店長・名物スタッフを育成する大切さ
現在、鳥取県下の商工会・協会など3つの組織に専門家として登録され、毎月鳥取県でサイトの構築や運営の相談のお仕事をさせて頂いています。
その中の一つに「敷板net」という立ち上げて間もないサイトがあります。文字通り工事現場やぬかるみに敷く板です。従来の鉄板は重く死亡事故も多いことから開発された軽くて丈夫な樹脂製の敷板を扱うサイトです。
もう、商材からして「ド・ニッチ」ですよね。一般家庭にはまず無いですし、個人が購入する機会もほぼ皆無のBtoBメインの商材です。その商材でECサイトに挑みました。
https://www.shikiita.net
店長を務める尾崎さんもサイト運営を任され初めて触る商材。知識もゼロからのスタートでした。それでも、探究心の強い彼女は専門機関などに素材の試験などに出向くなど、とにかく一生懸命で真面目。
対面で話していると面白いキャラクターなのに、しかし、その真面目さゆえサイトでは途端に表現が硬くなり面白さが激減。
研究熱心な姿勢と普段の面白さをなんとか伝えたいということで、ブログをリニューアルしました。それが上図の「敷板師さき子ブログ」です。
工事現場、凹み、溝、ぬかるみなど敷板に適した場所をスマホでめちゃくちゃたくさん撮影していたのです。その写真がとても面白く、「私はここに敷板をパーン!と敷きたいんだ!」という商品愛に溢れていました。
そこで、そんな想いを発信しようと「ここにも敷板パーン!」「あそこにもパーン!と敷きたい」溢れ出る「敷板愛」を思う存分語ってもらうようなコンテンツに変更しました。
すると、工事現場や、建設現場で扱う、縁の下の力持ち商材を愛する女の子というキャラクターが注目を集めたのか、商材とのミスマッチさが新鮮だったのか、徐々にアクセスは増加し大口のオーダーも入り始めています。
商品のことを語らせたら右に出る者がいないぐらいのスタッフさんがいるのに、その力を出し切れていないというもったいないケースにもしばしば遭遇します。
押し出し方、表現の仕方を変える。あるいは「こういう書き方でもいいんだよ」と軽く背中を押してあげるだけで、どんどん殻を破りコンテンツが化ける場合も少なくありません。
ぜひ、皆さんも、お店のスタッフさんと一緒に、「仕事、得意なこと、好きなこと」を線つなぎで考えてみてください。
きっと、そこにお店のアクセス増、売上増のヒントになる「コンテンツの種」があるはずです!
第13回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
ぜひぜひ今回のご感想・温かいお言葉をよろしくお願いします。
http://www.machicollege.jp/contact
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次回のお話はECサイトにも県民性は意外なほど出る!?です。ECの方が意外と見ていないデータに着目した事例をご紹介したいと思います。
更新は
10月23(火)ごろを予定しております。
次回も宜しくお願いします!