『売れるネット広告社』が取り組んでいる、ECサイトにイノベーションを起こす方法
こんにちは。『売れるネット広告社』取締役 CTO開発部最高責任者の福本朋哉です。
『売れるネット広告社』では『売れるネット広告つくーる』という通販会社向けのクラウドサービスを提供しています。主に単品通販会社向けに、新規顧客獲得効率(広告の費用対効果)を最大化することを目的としたサービスで、『売れるネット広告社』が過去に実施してきた“1100回以上”の【A/Bテスト】の成果である“最強の売れるノウハウ®”を標準搭載していることが最大の特徴です。
一般的な「汎用型カートシステム」とは異なり、ランディングページやフォローメールといった、広告入口での新規顧客獲得施策とそこからのCRM機能にフォーカスしているという特徴があり、言うならば「特化型のECプラットフォーム」です。
『売れるネット広告つくーる』を通じて、ECサイトのイノベーションについて『売れるネット広告社』がどのようにアプローチしているのかを見ていきたいと思っています。
新しいことをやるのは、しんどい?
テクノロジーの進歩は著しく、EC(ネットショップ、ネット通販)をめぐる状況も日進月歩ですが、ECサイト業界も20年目近い歴史を有する中で、過渡期に差し掛かっています。
昨今の「〇〇Pay」というキャッシュレスブランドの隆盛は、これまでECサイトの裏方として、ECサイトありきで機能していた電子決済機能が、主客逆転し決済システムのアプリケーションを主軸としてEC取引を主導する可能性を切り拓いたといえますし、5Gなど通信関連技術の普及によって、ECサイトの表現はもちろん、インターネット上で物を売る/買うという行為そのものが質的に変化していく可能性もあります。
このような時代の流れと比較して、現場で運用・稼働している既存のECサイトの進化スピードは極めて遅くなりがちです。平たく言えば、「新しいことをやるのは、しんどい」という状況が生まれているのです。
それはなぜか?
EC事業者や、『売れるネット広告社』のようなEC支援サービス提供者が、新しいことに取り組みにくくなっている、「阻害要因」は大きく3つあると考えています。
1.「安定稼働」が優先されてしまう
ECは今や無くてはならない「売り場」であり、高可用性・安定稼働の有無が事業の売上にインパクトを与えるものです。通販会社にとっては「ミッションクリティカル(目的達成のために無くてはならない要素)」なシステムになっているのです。
原理的には、システムにとって新しい機能の追加は、それ自体が不具合やサーバーへの負荷増リスクをはらんでいますので、運用者は安定稼働を優先するあまり、新しいこと(従来の根幹的なロジックに影響を及ぼす革新的な内容であればなおさら)を無意識的に避けるようになります。
2.「新しいこと」による利益を計算できない
1のように、「新しいこと」を行うに際してのコストは不可避的に割高に試算されますが、一方で「新しいこと」が生み出すバリューを算定することは非常に難しいのです。
新しい施策によって、売上がどのくらい上がるのか・そもそも上がるのかどうかすら算定が難しいからです。
3.「持続的イノベーションの罠」にはまる
「持続的イノベーション」というのは、「イノベーションのジレンマ」(クリステンセン著・1997年)に登場する概念で「破壊的イノベーション」という言葉と対で使われています。
「持続的イノベーション」:従来製品の改良
「破壊的イノベーション」:従来製品の価値を破壊して全く新しい価値を生み出す
元来の言葉の定義は上記でややニュアンスは異なりますが、ECサイトに「新しいこと」を組み込む際に、効果は低いが手をつけやすい簡易な改修に終始し、革新的で大きなリターンが期待できる改修を行わなくなるという状況は容易に起こりえます。
革新的で大きなリターンが期待できる改修は難易度が高いので、開発工数も大きく、リスクも高くなります。
簡易な改修で、数パーセントの微小な売上改善や業務効率化が行われてしまうと、「新しいこと」を取り入れたという自己満足だけが満たされてしまい、本当に革新的でビジネスを2倍・3倍に拡大する可能性がある「新しいこと」を導入できなくなってしまうのです。
『売れるネット広告社』の取り組み
『売れるネット広告社』では、会社全体として半永久的な【A/Bテスト】の立案、実施、蓄積・共有を企業理念・行動指針に盛り込んで仕組み化しています。【A/Bテスト】のIDEAは経理や総務スタッフまで含めて全社員が持ち寄って社内コンペを行い選抜し、各コンサルタントが積極的にクライアントである通販事業者に提案・実施します。
実施結果自体は当然confidentialですが、社内で「蓄積・共有」され、すべてのクライアントに勝利IDEAを提供しています。
さらに5社以上のクライアントで成果の挙がったIDEAは、冒頭に触れたクラウドサービス『売れるネット広告つくーる』に新機能として随時追加を行っています。このように、「新しいこと」の導入コストを最小化し、【A/Bテスト】結果という形として「新しいこと」が生み出すバリューを可視化することで、クライアントである通販会社がより気楽に「新しいこと」にチャレンジできる環境を提供しているのです。
一方で、日常的な【A/Bテスト】の積み重ねだけでは、「持続的イノベーションの罠」を完全に払しょくすることはできないと考えています。
【A/Bテスト】そのものも人が判断して行っている以上、安定稼働を優先する無意識によって小規模なテーマにシュリンクしていくリスクは存在しているからです。
この点について、『売れるネット広告社』では、意図的に【A/Bテスト】に依らない機能開発にも取り組んでいます。直近『売れるネット広告つくーる』の主要な大きな改修としては、下記の3新機能をリリースしました。
・「アンケートランディングページ」
・「フォローSMS®配信機能」
・「ダブルアップセル」
このうち、【A/Bテスト】の結果を踏まえて機能実装したのは「アンケートランディングページ」機能です。事前の【A/Bテスト】でCPO最大9.2倍の好結果を受けて機能化を行いました。
残りの2機能は、【A/Bテスト】の検証をせずに新たなチャレンジとして機能実装を行っています。『売れるネット広告社』でも鋭意テスト準備中ですが、最近公開したばかりの「ダブルアップセル」機能を使ったクライアントから、さっそく顧客単価がアップしたという報告が入ってきています。
このように、「破壊的イノベーション」とまでは言えなくとも、これまでにない結果を生み出す可能性があるが、システム実装が先行しないと【A/Bテスト】すらできないという類の施策については、これからも積極的に機能開発を検討していきたいと考えています。
10年後のスタンダードは?
テクノロジーと一般消費者が「物を買う」体験の進化スピードは非常に速く、10年後の未来では今の常識は通用しない可能性が高いです。
例えば、Amazonのスマートスピーカー「Alexa」は、音声ナビゲーションを用いてAmazonのショップで商品を購入できるだけではなく、スキルと呼ばれるサードパーティアプリケーションを利用することで、各通販事業者がAlexaとAmazonPayを連携させ、自社の独自ドメインECサイトと連携しながら商品購入やCRMを行うことができます。
このような購買体験は、ブラウザベースのWebサイトとカートシステムを組み合わせた従来のECサイトの在り方そのものを陳腐化させる可能性を秘めていることを想定しておくべきです。
スマホにしろPCにしろ、デバイスとブラウザを立ち上げ、特定のドメインにアクセスして個人情報や会員IDを入力するプロセスと、リビングに常駐してスタンバイしている装置に「話しかけるだけ」のプロセスではどちらが直観的か。音声ECが消費者の習慣として根付くかどうかは別問題ですが、こういった新しい購入体験は次々に世の中に現れてきます。
数十年後に振り返った時に、カートシステムやランディングページも含む、現状のECサイトの「当たり前の在り方」や、現時点で最新ともてはやされている表現(対話型のチャットコマースや、ソーシャルコマース、動画コマースetc)ですらインターネット黎明期の技術的制約に基づいた発展途上の一時的な形態だったと評価される可能性もあります。
ECの機能を、消費者と商品とのマッチングであると捉えると、ECサイトのシステムや店舗の販売形式が今の形のままである必然性は全くなく、「売れる」ECというのはテクノロジーの浸透や消費者の心理によって日々少しずつ姿を変えていくべきものであると再確認することができます。
『売れるネット広告社』では、今後もイノベーションをキャッチアップし続けていくために、積極的に【A/Bテスト】や『売れるネット広告つくーる』の機能改修を行っていきたいと考えています。
※「最強の売れるノウハウ」は売れるネット広告社の登録商標です。登録商標第5927186号
※「フォローSMS」」は売れるネット広告社の登録商標です。登録商標第5840408号
※「アンケートランディングページ」は『売れるネット広告社』が特許および商標を出願中です。
※「ダブルアップセル」は『売れるネット広告社』が特許および商標を出願中です。
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