費用対効果を高めるためのLINE活用とは?[後編]

松元由布子

2023年6月からLINE公式アカウントの料金プランが改訂されます。
顧客とのコミュニケーションにおいては、単に配信コストを減らすことだけでなく、いかにユーザーのエンゲージメントを高め、売上につなげるかという視点が重要です。後編では、より具体的にLINE活用で費用対効果を高めるためのセグメント配信についてご紹介していきます。
※1 出典:【重要】LINE公式アカウント 料金プラン改定及び日割り廃止のお知らせ|LINE for Business
https://www.linebiz.com/jp/news/20221031/

【後編】 ・セグメントを決めるユーザーデータ
・自社ECのアクティブ層に次の購買行動を促すセグメント配信を行う方法
【前編】
・SMSはLINEの代替えになるのか?
・配信コスト対策+売上に効く「LINEのセグメント配信」

セグメントを決めるユーザーデータ

いざセグメント配信を導入する際、重要なのは、①誰に?(どのセグメントを対象に)②どんなメッセージを届けることで③どんなアクションをとってほしいか?という設計です。

この時、“誰に?”の部分、つまりセグメントを決定するために重要なのがユーザーデータです。

当然のことですが、ユーザーデータが正確かつ詳細であればあるほど、リーチしたいユーザーの解像度が高くなり、よりニーズにマッチした情報を届けることで期待したアクションにつなげることができます

どんなデータを使ってセグメントを分類するのか?

それでは具体的に「活用するデータ」毎にどんなセグメント配信ができるのかの例を挙げてみます。

1.LINE上のデータを元にしたセグメント配信

LINE上のデータを活用したセグメント配信です。

【配信例】
・LINEのみなし属性(年齢・性別・地域等)を利用して30代女性に配信
・過去に配信したLINEのメッセージを開封した人に配信
・過去に配信したLINEのメッセージのリンクをクリックした人に配信
・特定の経路で友だち追加した人に配信

LINE公式アカウントの標準機能、LINE Official Account Managerの「絞り込み配信」+「オーディエンス」で設定・配信できるので、追加のコストをかけることなく手軽にセグメント配信ができるメリットがあります。

ただし、セグメント分けに使えるデータは、みなし属性やメッセージの開封・クリック状況などLINE公式アカウント上で取得できるものが中心となるため、どちらかといえば、興味関心・比較検討層などアッパーファネル向けに有効なセグメント配信といえます。

※LINE Official Account Managerに配信対象のユーザーIDをアップロードする方法でセグメント配信を行うことも可能ですが、アップロードするユーザーID(UID)の取得にはMessaging APIが必要となるため、LINE Official Account Managerの基本機能だけでユーザーを指定したメッセージ配信はできません。

2. 配信ツール内に蓄積したデータを活用したセグメント配信

配信ツールを導入し、配信ツール内に収集・蓄積したデータを活用したセグメント配信です。配信ツールの機能を利用して、LINE上で行うアンケートやチャットなどを通じて配信ツール内にユーザーの情報を収集・タグ付けを行い、その情報を元にセグメント配信を行います(※導入する配信ツールの機能によって異なります)。

ツール導入で手軽にLINEの友だちにセグメント配信ができる点がメリットですが、セグメント配信に利用するデータはツール内で収集・管理する必要があるため、ツールを通していかに正確なユーザーデータを収集・蓄積するのかがその後のセグメント配信の設計や精度を左右します。また、ECなど自社の顧客データや購買データを別で持つ場合、これらの自社会員データとどのように同期するかという課題もあります。

【配信例】
・LINE上でアンケート実施し、「〇〇に興味あり」と回答のあった友だちにセグメント配信
・LINEでボットやリッチメッセージなどを利用して新規利用かリピート利用か選択を促し、回答結果をもとに顧客情報にタグ付けをし、セグメント配信
・アンケートで利用する店舗の選択回答を促し、店舗毎にセグメント配信

3. 自社の顧客データを活用したセグメント配信

自社が保有する顧客データを活用したセグメント配信です。

LINEのID連携(※)によって、LINEのIDと自社サービスの会員IDを紐づけた上で、自社会員のユーザーデータや行動履歴をもとに配信するセグメント配信です。

自社の顧客データを活用したセグメント配信の強みは、詳細な顧客データや変化する顧客のニーズをとらえて、自社サービスのアクティブ層に次の購買行動を促すセグメント配信ができる点です。

【配信例】
・会員限定のクローズドセールの案内を配信
・初回購入者限定のクーポンメッセージを配信
・再入荷通知
・カゴ落ち配信(商品をカートに入れたまま離脱したユーザーへリマインド配信)
・ポイント失効通知
・過去の閲覧/購入情報・商品情報に基づいたレコメンド配信
・トライアル商品を購入した人にステップ配信
・自社サービスのロイヤル顧客向けに先行販売の案内を配信

※LINEのID連携とは、LINEのIDと自社サービスの会員IDを紐づけることです。ID連携することで、「どの会員がどの友だちか」が分かるようになるので、会員属性やサイト訪問履歴、購入履歴などに応じて、クーポンやレコメンド、在庫通知といったセグメント配信が可能になります。
※ID連携とは?企業が導入するメリットと活用事例、効果的な実装方法を解説
https://www.socialplus.jp/content/line-id-connect

ID連携のメリット①LINEが自社会員とのコミュニケーションチャネルに

ID連携を行うと、LINE公式アカウントの友だちがどの自社会員なのかを識別した上で、LINEのメッセージを配信できるようになります。
つまり、LINEが自社会員とのコミュニケーションチャネルになります。

メールに代わって、もしくはメールと併用する形で、自社サービスのアクティブユーザー、モチベーションの高いユーザーに対してLINEのセグメント配信ができるので、購入などのアクションや顧客との関係構築につなげられることができます。

【事例】ひかりTVショッピング~約5年でLINE経由の売上が約4倍に成長
ひかりTVショッピングでは、「もっと好きになってもらうアカウント作り」を目指し、常にお客様視点でLINE公式アカウントの運営を行うことで、5年でLINE経由の売上が4倍にまで成長しています。
画一的な情報の配信だけでは、開封率や購入率が低く、ブロックに繋がる懸念があること、“読まれない公式アカウント”化を防ぎたいということからID連携を活用したセグメント配信を導入されています。
「セグメント配信で一番反応が良いのはサイトでアクティブなユーザーへのメッセージ配信絞り込み配信です。アクティブなお客様にセールの情報をお知らせするなど、何かしらサイトで行動されたあとにLINEで通知をすると、購入につながるといったケースが多いですね」(ひかりTVショッピング山﨑様)
https://blog.socialplus.jp/case/20220525-seminar-report2

ID連携のメリット②具体的な“ニーズ”に合わせたセグメント配信が売上につながる

ID連携を活用したセグメント配信では、「自社の会員情報やECサイト・サービスにおける行動データ」の活用で、リーチしたいユーザーの解像度が高くなります。

購買行動における具体的な”ニーズ”にあわせた情報を届けられるため、購入(CV)などのアクションにつながりやすいという強みがあります。

【事例】ナースリー~LINE活用でリピート売上が新規売上を逆転!
ナースリーでは、LINEログインの導入でID連携率は80%にまで伸長し、セグメント配信の基盤構築に成功しています。セグメント配信では、お客様の購買履歴や誕生月ごとのクーポンメッセージの配信や、ID連携済のお客様限定プレゼントキャンペーンの当選通知配信等を行っています。
「今まではLINE経由でご購入いただいているお客様がどのような人かが分からず、LINEに関する施策を考えるための分析が上手くできなかったのですが、ID連携数が伸びたことでLINE経由でご利用いただいているお客様の像がよりクリアになりました。その結果、LINE限定でターゲットを絞り込んだ施策や、より多様なキャンペーンやアプローチもできるようになったことも、うれしく思っています」(株式会社ナースステージ門井様)
https://www.socialplus.jp/case/nursery

4.電話番号でマッチングし友だち以外にも配信 LINE通知メッセージ

LINEに登録されているユーザーの電話番号情報と企業が保有する電話番号情報をマッチングすることで、友だちとして登録されていないユーザーに対しても重要性や必要性の高いメッセージを配信することができるのが「LINE通知メッセージ」です。

例えばECサイトでは、購入完了・発送完了通知などに活用されています。

携帯電話番号情報をもとに幅広くリーチできるという点でSMSと似ていますが、LINE通知メッセージは、LINEの公式アカウントへの友だち追加やID連携、自社サービスの会員登録のきっかけになるケースも多く、継続的なLINEでのコミュニケーションにつなげられるメリットがあります。

【配信例】
・予約・登録・申込完了通知
・料金確定通知
・購入完了・発送完了・支払い完了通知
・リマインド通知
・障害通知
友だち追加されてないユーザーにも重要なメッセージを配信できる「LINE通知メッセージ」
https://www.socialplus.jp/line/notification-message

まとめ

顧客とのコミュニケーションにおいては、単に配信コストを減らすことだけでなく、いかにユーザーのエンゲージメントを高め、費用対効果を高めていくのかという視点が重要です。

費用対効果と言っても全てを売上にという事ではなく、時には心地良い顧客体験の視点を持って関係性を高めることに振り切るコンテンツの配信も効果的です。

他のコミュニケーションチャネルと比較してLINEをどういう位置付けにしたいのか、他社はどんな配信をしているのか、今よりももっと良くできる方法がないのか等を改めて考える機会になればうれしいです。


著者

松元由布子 (Yuko Matsumoto)

ソーシャルログイン・ID連携サービス「ソーシャルPLUS」のマーケティング担当。2015年にフィードフォースに入社後、ブログメディア編集長としてコンテンツマーケティングに従事。2022年6月よりソーシャルPLUSに転籍し、現在に至る。会員IDとプラットフォームのID連携により、CV導線の簡略化から、友だち追加の促進、会員情報に応じたセグメント配信まで顧客体験を豊かにするためのLINEのCRM施策をご提案。

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https://www.socialplus.jp/sociallogin
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